ブエルタ・ア・エスパーニャ第16st:抗議デモの影響で急遽ゴール変更、残り8㎞地点で決着、ベテラン2人での勝負を制したのはベルナル!ランダが2位、スペイン外務省はイスラエルの除外を希望
グランツールライダーのベテラン、過去10度のグランツール一桁フィニッシュと表彰台2回のミケル・ランダ(T-レックス・クイックステップ)、ツール・ド・フランスとジロ・デ・イタリアの覇者イーガン・ベルナルが逃げ集団から飛び出してステージ勝利を競い合うことになったこの第16ステージ、またしても抗議活動の影響で残り8㎞からの頂上ゴール勝負が丸ごとカットされることとなった。
スペインは昨日サンチェス首相が「ガザでの虐殺を止める、殺戮者を追求しパレスチナ人を支援する」と発表、さらにはスペイン外務省は安全なレースとスポーツの為にイスラエル・プレミアテックのレースからの除外をすべきとしているが、いまだにレース主催者もUCIもそれに対しては未だに特段対応は検討や対応をしていない為、結果としてまたしても抗議活動に対して警察などが人数的に対処しきれないという判断の元、コース短縮という形となった。ヨナス・ヴィンゲガード(ヴィズマ・リースアバイク)を始めとする選手たちは抗議活動に関しては一定の理解を示してはいるが、やはり選手たちの安全のみならず、勝負を面白くするという意味では何かしらの対応をしなければ、ブエルタ・ア・エスパーニャそのものが白けたものになりかねないというのが現状だろう。この日もイスラエルは和平交渉の仲介役のカタールでも和平交渉に出向いたパレスチナの代表を殺害を試みており、抗議活動は間違いなくこれからも続くと予想される。

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そんなレースは、残り10㎞でコース短縮を知らされた先の2人のベテランがスプリント勝負を展開、ベルナルが見事自身初のステージ優勝を挙げた。ツール・ド・フランスでは総合優勝こそしてはいるがステージ優勝はしていない為、ジロ・デ・イタリアでのステージ2勝に続くグランツールステージ3勝目となった。生存率5%とまで言われた大怪我から不死鳥のごとく復活してきたベルナルは、まだまだ勝てる選手であることを示して見せた。
総合争いはゴール手前の山岳ポイントの激勾配でフェリックス・ガル(デカスロンAG2Rラモンディアル)とジュニオール・ルセレフ(T-レックス・クイックステップ)がともに後れを取り、総合順位を一つずつ下げる形となった。頂上ゴール勝負であった場合、大きくタイムを失っていた可能性が高く、結果的にこの日のゴール短縮に救われる形となった。
この日は逃げがなかなか決まらなかった。スタート直後からアタックと吸収が繰り返され、逃げがようやく決まったのはスタートから50㎞を超えてからだった。合計17人の逃げには、すでに総合上位争いからは一歩引いている総合系のベルナルやランダなども入り、またUAEチームエミレーツはお馴染みのサテライト戦略でマルク・ソレル(UAEチームエミレーツ)を送り込んだ。

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メイン集団ではヴィズマ・リースアバイクが集団をコントロールするが、この日は逃げ切りを予感させるようにタイム差はいつもより大きく開き、5分以上となる。しかし先頭集団も一枚岩ではなく、山岳ポイントでベルナルやランダが加速すると、それについていけた3人による小集団となる。そして構図置くとの差はさらに開き6分台へと突入する。
こうなるとメイン集団ではトースタイン・トレーエン(バーレーン・ヴィクトリアス)の総合順位を守るべくバーレーン・ヴィクトリアスがペースコントトールを始める。先頭はさらに人数を減らし、クレメント・ブラズ・アフォンゾ(グルーパマFDJ)が唯一ベルナルとランダに食らいついていた。しかしブラス・アフォンゾは結局パンクにより離脱、先頭はベルナルとランダの一騎打ちとなった。
そして短縮されたゴールラインがどこかよくわからない状況で残り8㎞のバナーに向けてスプリントしたが、ゴールラインはその手前に道路に引かれた細い白線に設定されていた。その白線を先頭で超えたベルナルが嬉しいブエルタ初勝利を挙げ、ランダにとっては悔しいステージ2位となった。

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総合勢では総合リーダーのヨナス・ヴィンゲガード(ヴィズマ・リースアバイク)がパンクを喫するも、すぐさまチームメイトが自らのバイクを手渡し難を逃れた。あまりにも鮮やかなチームワーク、ブラズ・アフォンゾがニュートラルバイクに後輪交換をしてもらう際にはどうしても時間がかかってしまったが、チームメイトがいることでできる対処の速さは、総合上位を狙う選手たちにとっては必須なのだと感じさせた。
イーガン・ベルナル(ステージ1位)
「総合争いからは脱落してしまったので、どうしてもステージ勝利が欲しかったんだよ。そしてできればこのナショナルチャンピオンジャージで勝ちたかったんだ。グランツールでの勝利は、あの事故以降常に目標としていたことなんだ。そしてそれがこのコロンビアナショナルチャンピオンジャーで達成できたことが本当に特別なものにしてくれたよ。このジャージはあのカフェ・コロンビアのジャージへのオマージュで格好いいからね。最後の上りが無くなってしまったけど、それ以外はとても美しく、しかしきついステージだったよ。とにかくずっと全力で踏み続けたし、ランダと協力して踏み続けたけど、ゴールが急に変更になったから、最後はスプリントで決着をつけた形だね。」
ブエルタ・ア・エスパーニャ第16ステージ順位
1位 イーガン・ベルナル(イネオス・グレナディアス) 3h35’10”
2位 ミケル・ランダ(T-レックス・クイックステップ)
3位 ブリユ・ローラン(グルーパマFDJ) +07”
4位 ニコ・デンツ(レッドブル・ボーラハンスグロエ) +1’02”
5位 クレメント・ブラズ・アフォンゾ(グルーパマFDJ)
6位 ボブ・ユンゲルス(イネオス・グレナディアス) +1’10”
7位 ケヴィン・ファルマルケ(ピクニック・ポストNL) +1’12”
8位 フィンレイ・ピッカリング(バーレーン・ヴィクトリアス)
9位 シャーン・クイン(EFエデュケーション・イージーポスト) +2’48”
10位 ルディ・モラード(EFエデュケーション・イージーポスト)
ブエルタ・ア・エスパーニャ総合順位
1位 ヨナス・ヴィンゲガード(ヴィズマ・リースアバイク) 61h16’35”
2位 ジョアオ・アルメイダ(UAEチームエミレーツ +48”
3位 トム・ピドコック(Q36.5プロサイクリング ) +2’38”
4位 ジャイ・ヒンドリー(レッドブル・ボーラハンスグロエ) +3’10”
5位 ジュリオ・ペリッツァーリ(レッドブル・ボーラハンスグロエ) +4’21”
6位 フェリックス・ガル(デカスロンAG2Rラモンディアル) +4’24”
7位 マシュー・リッチテロ(イスラエル・プレミアテック) +4’53”
8位 セップ・クス(ヴィズマ・リースアバイク) +5’46”
9位 トースタイン・トレーエン(バーレーン・ヴィクトリアス) +6’33”
10位 ジュニオール・ルセレフ(T-レックス・クイックステップ) +8’04”
H.Moulinette












