ブエルタ・ア・エスパーニャ第14st:山頂バトルを制したのは逃げ続けたソレル!UAEはこれで14ステージで7勝!総合優勝争いのみならずステージを4人の選手で勝利する圧巻のパフォーマンス

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ステージを狙うチームは通常はステージ勝利はあまり狙わない、これは必然的にそのようになることが多いのがグランツールの常識だった。しかし今年のブエルタ・ア・エスパーニャではそれが完全に当てはまらない特殊な状況となっている。この日もマルク・ソレル(UAEチームエミレーツ)は逃げに乗ると、そのままそこからアタックを決め独走でステージ勝利を決めた。これでチームは14ステージで7勝を挙げた。うち1ステージ勝者なしの為、実質的には13ステージで7勝、勝率5割越えという全く意味の分からないパフォーマンスを披露している。チームTTでの勝利を皮切りに、山岳賞ジャージを着用するジェイ・ヴァイン(UAEチームエミレーツ)が2勝、今シーズン限りでチームを去るホァン・アユソ(UAEチームエミレーツ)も2勝、さらに総合2位につけているジョアオ・アルメイダ(UAEチームエミレーツ)が1勝、そしてこの日のソレルと合計で4人の選手がステージ勝利を挙げているのだ。チーム8人中4人がステージ勝利というのもかなり珍しいケースであり、今大会の残り7ステージでUAEチームエミレーツが一体何勝を挙げ、あと何人の選手が勝利を挙げるのかが気になってしまう。
そしてこの全ての勝利は戦略によるもの、逃げに乗った選手が勝負所で下がって総合系のアシストをするという前提のもと、展開次第でステージ勝利を狙うという2刀流のサテライト戦法に出ているのだ。そしてこれが見事にはまり、これだけの勝利を積み重ねている。もし総合優勝ができなかった場合でも、十分にお売りが来る活躍を選手たちは見せており、逆に言えばステージ勝利を狙っているチームが全く勝てていない現状は、スポンサースポーツの自転車競技においては、スポンサー泣かせの結果と言えるだろう。

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そしてソレルの背後に最後は迫った総合争いはヴィンゲガードがゴール直前で前に出てアルメイダに先着、同タイムだがボーナスタイムの差だけ広がる形となった。それに続いてジャイ・ヒンドリー(レッドブル・ボーラハンスグロエ)、フェリックス・ガル(デカスロンAG2Rラモンディアル)、ジュリオ・ペリッツァーリ(レッドブル・ボーラハンスグロエ)、マシュー・リッチテロ(イスラエル・プレミアテック)、トム・ピドコック(Q36.5プロサイクリング)、セップ・クス(ヴィズマ・リースアバイク)が順にゴール、大きなタイム差こそ着かなかったが僅かにそれぞれのタイム差に変動があった。
想像以上の走りを続けているのは、トースタイン・トレーエン(バーレーン・ヴィクトリアス)だ。想定外の総合リーダージャージ獲得から、ジャージをも本格的山岳で素晴らしい走りを続けており、このステージでもステージ11位で、総合9位をキープしている。逆にこの日最大の敗者となったのはジュリオ・チッコーネ(リドル・トレック)、大きくタイムを失い総合トップ10から脱落した。
この日は135.9㎞の短いステージながら総獲得標高4000mを超えるハードなステージだ。昨日のアングリルからの連戦は、各チームと選手にとってはかなり苦しいこともあり、各チームの戦略が問われることとなった。この日は22名の逃げが決まり、その中にはミケル・ビョルグとソレルのUAEチームエミレーツ2人が乗ることに成功した。

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この日選手たちを苦しめたのは向かい風、総合集団は逃げ集団とのタイム差を抑えてはいたが、縮めることに苦戦することとなる。頂上ゴール前の山岳では5分半ほどのタイム差で上りに入ると、UAEチームエミレーツが昨日同様に主導権を握りハイペースで登坂を続け、ヴィズマ・リースアバイクにアタックする隙を与えない。
人数を減らして迎えたゴールまでの最後の上りに入ると、抜け出していた選手を捉えたソレルがそのままアタック、独走態勢でゴールを目指す。万が一総合バトルが勃発したらいつでも下がれるようにしておきながらも、好調なソレルは躊躇なく踏み抜いていく。メイン集団はヴァインが素晴らしいペースづくりでこの日もアルメイダの優位な状況を作っていく。ソレルというもう1枚のカードが残っていることで優位な状況を利用し、昨日も素晴らしいアシストを見せたフェリックス・グロスシャルトナー(UAEチームエミレーツ)が最後のアシストとしてペースを上げる。これに対してヴィンゲガードもアシストがクスのみになってしまう。
するとここで第3の勢力が仕掛けを見せる。総合トップ10に2人の選手を送り込んでいるレッドブル・ボーラハンスグロエがペリッツァーリがヒンドリーの為に牽引に入る。この段階で先頭はソレルのみ、それを追走する形でペリッツァーリ、ヒンドリー、アルメイダ、ヴィンゲガード、クス、ガル、リッチテロ、ピドコック、トレーエンとなる。ソレルは後続の走りを気にすることなく最後まで踏み続け、見事にステージ勝利を奪い去って見せた。

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その背後ではヒンドリーがアタックし、それにヴィンゲガードとアルメイダがついていく展開となるが、最後にヒンドリーを振り切った2人が競り合い、ヴィンゲガード、アルメイダの順でゴールラインを超えた。
白熱する総合争いだが、個の力ではヴィンゲガード崩すのが難しいと判断したUAEチームエミレーツの徹底した戦略が、どこまでヴィンゲガードの体力を削っているのか、それが今後のステージに向けて気になるるところだ。
マルク・ソレル(ステージ1位)
「信じられないね。チームが前ステージの半分勝ってるなんて驚異的だよ。本当は今日は逃げに乗る予定ではなかったんだよ。でもヴィクトル・カンペナールツ(ヴィズマ・リースアバイク)が逃げに乗ったのでついていったんだよ。もうそうしたら勝負をするしかないよね。ゴール地点のことはよく知っていたので、仕掛けどころも後続との距離もすべて頭にインプットされていたよ。」
トム・ピドコック(ステージ8位、総合3位)
「今日もタイムは失ったけど、でもどんどんと良くなっているという実感はあるんだ。間違いなく僕自身進化している実感はあるよ。でもまだそれじゃ足りないんだよ。グランツールにはどこまで行っても簡単な日なんてないんだよ。」
ブエルタ・ア・エスパーニャ第14ステージ順位
1位 マルク・ソレル(UAEチームエミレーツ) 3h48’22”
2位 ヨナス・ヴィンゲガード(ヴィズマ・リースアバイク) +39”
3位 ジョアオ・アルメイダ(UAEチームエミレーツ)
4位 ジャイ・ヒンドリー(レッドブル・ボーラハンスグロエ) +43”
5位 フェリックス・ガル(デカスロンAG2Rラモンディアル) +48”
6位 ジュリオ・ペリッツァーリ(レッドブル・ボーラハンスグロエ) +53”
7位 マシュー・リッチテロ(イスラエル・プレミアテック)
8位 トム・ピドコック(Q36.5プロサイクリング )
9位 セップ・クス(ヴィズマ・リースアバイク)
10位 フィンレイ・ピッカリング(バーレーン・ヴィクトリアス) +1’25”
ブエルタ・ア・エスパーニャ総合順位
1位 ヨナス・ヴィンゲガード(ヴィズマ・リースアバイク) 53h19’49”
2位 ジョアオ・アルメイダ(UAEチームエミレーツ +48”
3位 トム・ピドコック(Q36.5プロサイクリング ) +2’38”
4位 ジャイ・ヒンドリー(レッドブル・ボーラハンスグロエ) +3’10”
5位 フェリックス・ガル(デカスロンAG2Rラモンディアル) +3’30”
6位 ジュリオ・ペリッツァーリ(レッドブル・ボーラハンスグロエ) +4’21”
7位 マシュー・リッチテロ(イスラエル・プレミアテック) +4’53”
8位 セップ・クス(ヴィズマ・リースアバイク) +5’46”
9位 トースタイン・トレーエン(バーレーン・ヴィクトリアス) +6’33”
10位 マッテオ・ヨルゲンセン(ヴィズマ・リースアバイク) +8’52”
H.Moulinette












