ブエルタ・ア・エスパーニャ第13st:激勾配のアングリルでアルメイダが躊躇なく最後まで男踏みで勝利!ヴィンゲガードは攻めずひたすらぴたりとマークで2位、ピドコック踏ん張り総合3位キープ

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総合勢の直接バトルは確実だった最大勾配22%越えの激勾配超級山岳アングリルの直接対決は想像以上にハードでサバイバルなものとなった。そんなステージで男踏みを見せたのが総合2位のジョアオ・アルメイダ(UAEチームエミレーツ)だった。今大会でステージ4勝を挙げているUAEチームエミレーツは、序盤から中盤にかけけての勾配20%の区間を山岳賞ジャージのジェイ・ヴァインから今大会初めて山岳での最終アシストとなったフェリックス・グロスシャルトナー(UAEチームエミレーツ)が引継ぎ、素晴らしい牽引でライバルたちを一気に蹴落とし人数を減らしていく。するとそこから前に出たアルメイダがそのままハイペースで延々と踏み続けた。一切の駆け引きなし、ただひたすらに自分のペースでプッシュし続ける走りで、ゴールまで一度もヴィンゲガードに先頭を譲ることなく頂上を超え、そしてゴールを駆け抜けた。ヴィンゲガードは一度も攻撃をすることなく、ただひたすらアルメイダの走りにぴたりと貼りつきステージ2位でゴールした。
この二人に最後までついていったジャイ・ヒンドリー(レッドブル・ボーラハンスグロエ)と元ブエルタ覇者でヴィンゲガードのアシストのセップ・クス(ヴィズマ・リースアバイクはそれぞれ自分の走りに徹し、それぞれ3位と4位でゴール、総合でも4位と10位へとジャンプアップを果たした。
そしてアルメイダと僅差で総合4位の付けていたトム・ピドコック(Q36.5プロサイクリング)は最大勾配22%の区間で後れを取ったが、そこから粘りの走りで先行した総合5位のフェリックス・ガル(デカスロンAG2Rラモンディアル)、ジュリオ・ペリッツァーリ(レッドブル・ボーラハンスグロエ)、そしてマシュ・リッチテロ(イスラエル・プレミアテック)らを必死に追い続けダメージを最小に抑え、総合3位としている。だが先にゴールしたヒンドリーとガルが一気にタイムを詰めてきた。
UAEチームエミレーツとヴィズマ・リースアバイクの一騎打ちの総合優勝争いは一気に激化、完全にこの2強による総合優勝争いが見えてきた。

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202.7km、総獲得標高4000m以上、さらに最後に待ち構えるのはアングリル峠という超難関ステージともいえるこのステージを優勝したアルメイダは平均時速41.6㎞という尋常じゃないハイペースで駆け抜けた第13ステージは、当然逃げの形成から始まった。ただ当然総合の日となるのは明確であり、どこまで総合系を要するメイン集団とのタイム差をつけられるかがポイントとなる。
飛び出していったのは26人の大所帯で当然UAEチームエミレーツはメンバーを一人送り込んでいる。だがメイン集団をコントロールするヴィズマ・リースアバイクは大きくタイムを与えず、常に3分前後のタイム差を維持、平均時速50kmというハイペースで主導権を握る。
過酷なこの日のステージは山岳が逃げ集団をあっという間に粉々にしてしまい、最後のアングリル峠まで先頭で粘れたのは僅か3名、ボブ・ユンゲルス(イネオス・グレナディアス)、ニコラス・ヴィノクロフ(XDSアスタナ)、ジェファーソン・セペダ(モビスター)の3名だった。だが先頭の3人は上り始めてすぐに、道路をふさいだ沿道の観衆により足止めを食ってしまう。2分あった差はあっという間に2分を切り、セペダ、ヴィノクロフと順番に脱落、先頭はユンゲルすのみとなる。
メイン集団もアングリルに入るとUAEチームエミレーツは逃げに乗せておいたイヴォ・オリベイラ(UAEチームエミレーツ)が合流し、集団先頭でペースを上げる最後の一仕事をする。更には山岳賞ジャージのヴァインが次に主導権を握りハイペースを刻む。
すると気が付けば総合4位と6位以外の総合上位勢と数名しか残っていない。
さらにここから今大会ここまで山岳で最終アシストをこなしてこなかったグロスシャルトナーが素晴らしいアシストを見せる。時にアルメイダさえ置き去りにしそうなペースで牽引し、チームのエース、アルメイダを発射する。この牽引で総合上位の人数はさらにふるい落とされ、アルメイダ、ヴィンゲガード、クス、ヒンドリーの4名となった集団は残り5㎞で逃げ最後の一人ユンゲルスを吸収脱落させると、そこからゴールを目指すバトルが始まった。

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だがこの日のUAEチームエミレーツのアングリル峠攻略法は至極シンプル、とにかく先頭でハイペースを維持し続けるというわかりやすい作戦でライバルたちを脱落させるというものだった。戦略的にも駆け引きをしては、歴代最強のタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ)に匹敵するヴィンゲガードに勝利するのは困難、そうなれば駆け引きも先頭に出すこともさせない、頂上まで先頭でハイペースで一気に駆け上がるというシンプルな力技に出たのだ。そしてゴールまで手を緩めず駆け抜けたアルメイダは見事に最難関アングリル峠を制して見せた。
結果ヴィンゲガードだけは最後までアルメイダについていくことができたが、本来駆け引きが始まれば最後までついて行けたであろう総合上位勢も、急勾配山岳を一気に駆け上がるこの戦略というアクセルゼンカイバトルでは苦戦を強いられてしまう。特に初めて総合争いに踏み込んできたピドコックにとっては、短距離高出力のMTBやシクロクロスを上回る長距離高出力はきつかった。だがさすがにそこはロード以外の主力競技全てで世界頂点に立っている男、リズムを体で覚え、一旦は脱落したところから復活し、先行したライバルたちに追いついて見せた。
明日からもハードなステージが続く中で、まるでワンデイレースのようなこれだけの高出力バトルを演じたしわ寄せは、間違いなく明日以降に響いてきそうだ。果たして誰がそれを乗り越えて総合上位争いを演じ続けるだろう。

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ジャアオ・アルメイダ(ステージ1位、総合2位)
「信じられない、素晴らしい勝利だよ!この勝利はチームメイト抜きには達成できなかったよ。最後1㎞はもう限界だったよ。ヴィンゲガードがいつアタックしてくるだろうかと待ち構えていたんだけど、最後まで前には出なかったね。この山岳は間違いなく世界一ハードだよ。ヴィンゲガードとのタイム差はまだまだあるし、今日奪い返せたのは数秒のみ、これを取り戻すのは本当にハードなものとなるけど、それでも最後まで諦めないで総合優勝を目指すよ。」
ヨナス・ヴィンゲガード(ステージ2位、総合1位)
「今日はアルメイダが素晴らしかったよ。UAEは勝利を意識した走りをしていたし、積極的だったからね。勝てなかったのは残念だったけど、これで今大会でマークすべきがアルメイダ一人に絞れたというのは大きいね。」
トム・ピドコック(ステージ7位、総合3位)
「きつい?そんなもんじゃなかったよ。異常にキツイが正解だよ。自分のリズムを見つけることさえ許されない、そんな地獄のような世界だよ。ついていけないことはわかっていたけど、息つく間もなく頂上までバトルだったよ。皆も少しペースを落としていったんで、何とかタイム差を最小限に抑えられたね。最後まで先頭についていけなかったけど、この結果には満足しているよ。」
ブエルタ・ア・エスパーニャ第13ステージ順位
1位 ジョアオ・アルメイダ(UAEチームエミレーツ) 4h54’15”
2位 ヨナス・ヴィンゲガード(ヴィズマ・リースアバイク)
3位 ジャイ・ヒンドリー(レッドブル・ボーラハンスグロエ) +28”
4位 セップ・クス(ヴィズマ・リースアバイク) +30”
5位 フェリックス・ガル(デカスロンAG2Rラモンディアル) +52”
6位 ジュリオ・ペリッツァーリ(レッドブル・ボーラハンスグロエ) +1’11”
7位 トム・ピドコック(Q36.5プロサイクリング ) +1’16”
8位 マシュー・リッチテロ(イスラエル・プレミアテック)
9位 ジュリオ・チッコーネ(リドル・トレック) +2’15”
10位 アベル・ルーメンス(カハルーラル・セグロスRGA) +3’06”
ブエルタ・ア・エスパーニャ総合順位
1位 ヨナス・ヴィンゲガード(ヴィズマ・リースアバイク) 49h33’12”
2位 ジョアオ・アルメイダ(UAEチームエミレーツ +46”
3位 トム・ピドコック(Q36.5プロサイクリング ) +2’18”
4位 ジャイ・ヒンドリー(レッドブル・ボーラハンスグロエ) +3’00”
5位 フェリックス・ガル(デカスロンAG2Rラモンディアル) +3’15”
6位 ジュリオ・ペリッツァーリ(レッドブル・ボーラハンスグロエ) +4’01”
7位 マシュー・リッチテロ(イスラエル・プレミアテック) +4’33”
8位 ジュリオ・チッコーネ(リドル・トレック) +4’54”
9位 トースタイン・トレーエン(バーレーン・ヴィクトリアス) +5’21”
10位 セップ・クス(ヴィズマ・リースアバイク) +5’26”
H.Moulinette












