ブエルタ・ア・エスパーニャ第8st:総合勢はしばしの休戦、スプリンターの競演を制したのはフィリップセン!狭い隙間を貫きヴィヴィアーニをかわして大会2勝目!ヴィヴィアーニはのち降格
勝負というのは最後までわからない、特にスプリントは実力のみならず一瞬の勘とひらめき、そして運、それらが複雑に折り重なった先に勝利の女神が微笑むことがある。ヤスパー・フィリップセン(アルペシン・ドゥクーニンク)は今大会数少ないスプリントステージで確実にポイントを稼ぐべくこのステージでも勝利を目指していた。しかし右へ左へと曲がりくねるコース、さらには道幅なども影響しチームお得意のトレインが組めない。ライバルたちに完全に後れを取り、更にはリードアウトからもはぐれてしまう。それでもライバルたちの動きを冷静に確認しながら、スプリントを開始、唯一細い糸のように開いたコース左側ゴールバリアとエリア・ヴィヴィアーニ(ロット)の隙間を目指して躊躇なく飛び込んでいく。そして左側に飛び込まれたヴィヴィアーニは一瞬驚いたような表情を見せると、この一瞬が命取りとなった。誰もいないと思ったコース左側、そこを閉めにかかった時にそこにはフィリップセンがいたのだ。

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そしてフィリップセンはその狭い隙間で最後まで踏み抜き、見事ステージ勝利を奪って見せた。一時は世代を代表するスプリンターだったヴィヴィアーニは久しぶりの大チャンスだったが、僅かに及ばず2位、ゴール後悔しがってハンドルを強く叩きつけた。フィリップセンはこれで今大会2勝目となった。ヴィヴィアーニはその後左へ寄った動きが斜行とみなされ105位へ降格処分がくだった。スプリンターの明と暗がくっきりと分かれる形となった。
ヴィヴィアーニの降格処分を受け、ステージ2位はイーサン・ヴァーノン(いアスラエル・プレミアテック、3位にはアルネ・マリット(インターマルシェ・ワンティ)が入った。フィリップセンの最大ライバルと目されていたマッズ・ピーダースン(リドル・トレック)だが、昨日の難関山岳での大逃げが響いたのか、全く勝負に絡むことができなかった。山岳もこなせるスプリンターだけに、昨日差をつけることができた形だが、結局9位に沈み、昨日の努力のツケを払うこととなった。

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総合勢はこの日は小休息、集団でのゴールとなりトースタイン・トレーエン(バーレーン・ヴィクトリアス)がこの日も総合リーダージャージを守った。チームは総合系の選手が軒並みタイムを失っており、トレーエンの総合リーダージャージを守ることが当面の目標へと切り替わったようだ。
163㎞の第8ステージは、スタートから5㎞ほどで3人の逃げが発生、しかしスプリント勝負が見込まれていただけに逃げに乗る人数が少なく、逃げ切りの公算は最初から低かった。メイン集団のペースもここ数日の山岳での主催者予測の最速を上回るハイペースとは打って変わって、主催者予想の最遅タイムをさらに下回るスローペースで展開する。

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逃げとのタイム差はじわじわと縮まっていき、そんな中で迎えた中間スプリントではピーダースンがきっちりと4位通過でポイントを確保して見せた。そしてこの日2周回するコースに入ると、スプリンターチームは一気にペースアップ、逃げのメンバーとの差は一気に縮まり、残り17㎞で吸収されてしまった。一気に激しくなる主導権争いと隊列の組合いで、ペースはさらに上がっていく。何度となく訪れるラウンドアバウトでは、その左右どちらを回るかで大きく影響が出る状況となる。そして迎えたスプリント、ロットはしっかりと隊列を組みエースのヴィヴィアーニを送り込むが、入り乱れてのカオスとなった展開でコース逆側ではヴァーノンが必至の走りを見せる。
だがそんな全てを吹き飛ばしたのはフィリップセン、自らも単独でその勝路と航路を切り開きライバルたちを一蹴した。これで自身グランツールは15勝目となった。

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ヤスパー・フィリップセン(ステージ1位)
「勝利して文句などないよ。僕もリードアウトからはぐれてしまったんだ。あのカオスな展開の中ではチームメイトとコミュニケーションを取るのも難しいからね。だから自分でゴールまでの道筋を探ったんだけど、最後は脚がコンクリのような重さだったよ。何とか勝利できたね。グランツールの勝利はいつも特別だよ。これから厳しいステージが続いていくけど、この勝利があったおかげで乗り越えていけそうだよ。」
トースタイン・トレーエン(総合1位)
「昨日より全然このジャージを楽しめたよ。」
ブエルタ・ア・エスパーニャ第8ステージ順位
1位 ヤスパー・フィリップセン(アルペシン・ドゥクーニンク) 3h43’48”
2位 イーサン・ヴァーノン(イスラエル・プレミアテック)
3位 アルネ・マリット(インターマルシェ・ワンティ)
4位 アンダース・フォルドガー(ジェイコ・アルーラ)
5位 マディス・ミーケルス (EFエデュケーション・イージーポスト)
6位 ティボー・グルーエル(グルーパマFDJ)
7位 ファビオ・クリステン(Q36.5プロサイクリング)
8位 ベン・ターナー(イネオス・グレナディアス)
9位 マッズ・ピーダースン(リドル・トレック))
10位 ダビ・ゴンザレス(Q36.5プロサイクリング)
ブエルタ・ア・エスパーニャ総合順位
1位 トースタイン・トレーエン(バーレーン・ヴィクトリアス) 29h01’50”
2位 ヨナス・ヴィンゲガード(ヴィズマ・リースアバイク) +2’33”
3位 ジョアオ・アルメイダ(UAEチームエミレーツ) +2’41”
4位 ジュリオ・チッコーネ(リドル・トレック) +2’42”
5位 ロレンツォ・フォーチュナト(XDSアスタナ) +2’47”
6位 マッテオ・ヨルゲンセン(ヴィズマ・リースアバイク) +2’49”
7位 ジャイ・ヒンドリー(レッドブル・ボーラハンスグロエ) +2’53”
8位 ジュリオ・ペリッツァーリ(レッドブル・ボーラハンスグロエ)
9位 イーガン・ベルナル(イネオス・グレナディアス) +2’55”
10位 フェリックス・ガル(デカスロンAG2Rラモンディアル) +2’58”
H.Moulinette












