ブエルタ・ア・エスパーニャ第6st:E-スポーツ出身のヴァインが独走逃げ切り勝利!精巣癌から復帰のトレーエンがステージ2位で総合リーダージャージ獲得!総合勢決定打なきバトル、アユソのみ脱落

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UAEチームエミレーツにとっては嬉しさと悲しみが同時に訪れるステージとなった。第6ステージにして総合系にとってもバトルできるような頂上ゴールステージだったが、逃げが容認され逃げ切り勝利を目指す駆け引きが始まると、Eスポーツ出身のジェイ・ヴァイン(UAEチームエミレーツ)が躊躇なくアタックを敢行、そのままゴールまで余裕を持って独走逃げ切り勝利を挙げた。昨年度は山岳賞ジャージを獲得、そして今大会でもステージ勝利を狙うために序盤のステージで戦略的にタイムを失っており、その戦略が見事にはまった形となった。またこの日の走りで今年も山岳賞ジャージを獲得、チッコーネが狙っていると宣言しているだけに、この争いも面白くなりそうだ。
しかしチームエース、ホァン・アユソ(UAEチームエミレーツ)が頂上まで5㎞以上を残して、総合バトルが始まる前に脱落してしまうという非常事態となる。更には総合リーダーのヨナス・ヴィンゲガード(ヴィズマ・リースアバイク)とジュリオ・チッコーネ(リドル・トレック)のアタックでダブルエースのもう一人、ジョアオ・アルメイダ(UAEチームエミレーツ)までもが一時後れを取るなど、総合争いという意味ではかなり苦しい展開となった。170㎞で総獲得標高が3600m、なんと平均時速40.4㎞という別次元の速さで展開したことで、アユソはこのステージだけで12分弱を失い、完全にその犠牲となってしまった。

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そんなステージで輝いた選手がもう一人いる。ヴァインと共に逃げに乗り、途中バーチャルで総合リーダージャージを奪ってからは、そのジャージを現実のものとすべく必死の走りを見せたのがトースタイン・トレーエン(バーレーン・ヴィクトリアス)だった。数年前には精巣癌で苦しんだ男が、そこから復帰しただけではなく、誰も予想すらできなかったグランツールで総合リーダージャージ獲得という大仕事をやってのけた。この日は逃げに乗ったメンバーが総合上位4位までに入り、一気に総合がシャッフルとなった。

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山岳ステージの第6ステージは序盤に10人の逃げが決まる。総合系が大きく動かない限りは逃げ切りが可能となる山岳ステージ、可能性を感じた選手たちに加え、総合系バトルが勃発した際にはアシストに戻れることを想定し、ヴァインが逃げに乗る。
そして逃げは最大で6分近くにまでその差を広げていくが、山岳ポイントを通過しても逃げ自体もハイペースの為メイン集団の追走との差は大きく変動しない。この段階でレース主催者が想定した最速ペースを上回っており、山岳ステージとは思えないハイペースはこの後も最後まで続くこととなる。UAEチームエミレーツとしてはアシストの意味合いも兼ねてのヴァインの逃げだったが、ここへきてメイン集団が追い付くことはかなり可能性が低いという判断となり、ヴィアンにステージ優勝を狙うという選択が決定的となる。

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最終山岳、頂上ゴールへの上りに差し掛かる手前で早々と独走態勢を築くと、残り9.6㎞の上りを淡々と上り続ける。その背後ではトレーエンが逃げから抜け出し単独2位でヴァインを追う。だが二人ともペースが全く緩まず、ゴールまでその差は縮まることなく1分ほどで推移し続けた。ヴァインは余裕を持ってステージ優勝、チームに今シーズン75勝目をもたらした。そしてトレーエンは別のモチベーション、総合リーダージャージという最大の獲物を前にこちらもペースを落とすことなく快走を続け、見事に選手たちの夢であるグランツールの総合リーダジャージに袖を通すことに成功した。
その背後では残り30人ほどとなったメイン集団からなんとアユソが脱落していく。だがUAEチームエミレーツはそこにサポートを割くことをしない。結局アユソはそのままずるずると後退していってしまった。するとさらに人数を減らしたメイン集団からヴィンゲガードとチッコーネがアタック、アルメイダらは引き離されてしまうが、ヴィンゲガードもチッコーネも無理はしない。結局この集団はお互い決定打の無いままゴールまで走り続けた。翌日も続くハードな山岳へ向け、それぞれがお互いの力量とコンディションの確認で終える形となった。

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ジェイ・ヴァイン(ステージ1位)
「今日はステージ優勝を狙いに行きながら、いつでもメイン集団で総合バトルが勃発したらアシストに回る予定だったんだ。今日のゴール(アンドラ公国)に僕は住んでいるので、今回のコースは熟知していたんだ。だから攻めどころも分かっていたし、積極的にいけたよ。それに今日は息子が見ていたので、それが更なるモチベーションにも繋がったよ。息子よ、この勝利はお前のためだよ!」
トースタイン・トレーエン(ステージ2位、総合1位)
「正直現実味がないよ。グランツールの総合リーダーなんて露ほども思っていなかったからね。」
「数日前、ノルウェイの同胞選手と話していて、総合でそれだけリーダーに近い位置につけていながら何もしていないのは負け犬だよ、と言われたんだ。その時アンドラのステージ終了後に総合リーダージャージ来てたらもう負け犬呼ばわりするなよ、と冗談で話していたんだ。マドリッドにゴールしたら彼にビールおごってもらわないとね。明日も厳しい山岳なので、いつまでこのジャージが守れるかわからないけど、チーム戦略は変わるだろうね。でもまずはこのジャージでステージを走れることを楽しみたいよ。」

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ブエルタ・ア・エスパーニャ第6ステージ順位
1位 ジェイ・ヴァイン(UAEチームエミレーツ) 4h12’36”
2位 トースタイン・トレーエン(バーレーン・ヴィクトリアス) +54”
3位 ロレンツォ・フォーチュナト(XDSアスタナ) +1’10”
4位 ブルーノ・アルミレール(デカスロンAG2Rラモンディアル) +1’15”
5位 パブロ・カストリーリョ(モビスター) +1’52”
6位 ジェームス・シャウ(EFエデュケーション・イージーポスト) +2’05”
7位 ルイ・ファルファエケ(T-レックス・クイックステップ) +2’15”
8位 ラムセス・デブルイン(アルペシン・ドゥクーニンク) +2’19”
9位 ライアン・アーチー(EFエデュケーション・イージーポスト) +2’42”
10位 ジョアオ・アルメイダ(UAEチームエミレーツ) +4’19”
ブエルタ・ア・エスパーニャ総合順位
1位 トースタイン・トレーエン(バーレーン・ヴィクトリアス) 20h25’46”
2位 ブルーノ・アルミレール(デカスロンAG2Rラモンディアル) +31”
3位 ロレンツォ・フォーチュナト(XDSアスタナ) +1’01”
4位 ルイ・ファルファエケ(T-レックス・クイックステップ) +1’58”
5位 ヨナス・ヴィンゲガード(ヴィズマ・リースアバイク) +2’33”
6位 ジョアオ・アルメイダ(UAEチームエミレーツ) +2’41”
7位 ジュリオ・チッコーネ(リドル・トレック) +2’42”
8位 マッテオ・ヨルゲンセン(ヴィズマ・リースアバイク) +2’49”
9位 ジャイ・ヒンドリー(レッドブル・ボーラハンスグロエ) +2’53”
10位 ジュリオ・ペリッツァーリ(レッドブル・ボーラハンスグロエ)
H.Moulinette












