ツール・ド・フランス第16st:エヴァネポエルなきソウダル・クイックステップがパレ・パントレでモン・ヴァントゥを制す!今大会絶好調のヒーリーが最後まで競り2位、ポガチャル攻撃耐え逆襲

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平坦が続いた後に、最後に名物難関モン・ヴァントゥの頂上ゴールが選手たちを迎え撃った。総合優勝争いはもちろん白熱するが、タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツXRG)とヨナス・ヴィンゲガード(ヴィズマ・リースアバイク)の一騎打ちとなることが予想されることから、総合でのトップ10圏内の選手も含めた逃げ切りを狙った動きが予想された。そしてその通り総合トップ10勢で、今大会マイヨ・ジョーヌも獲得し大躍進のベン・ヒーリー(EFエデュケーション・イージーポスト)とヨナス・アブラハムセン(Uno-Xモビリティ)の2人がこの日も積極的に動いた。

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そしてそれと同時に動いたのが、総合リーダーを失い、ステージ優勝に切り替えざるを得なかったソウダル・クイックステップのアシスト、ヴァレンティン・パレ・パントレだ。本来山岳のアシストとしての役割が期待されていたが、結局その役目を果たす前にエースのレムコ・エヴァネポエル(ソウダル・クイックステップ)がリタイアとなったことで、気持ちを切り替えてステージを狙いに行った。そしてそこでソウダル・クイックステップは本来エヴァネポエルに使うはずだった素晴らしいチームワークを残り1㎞で披露する。先行していたパレ・パントレとヒーリー、そこに追いついてきたサンティアゴ・ブイトラゴ(バーレーン・ヴィクトリアス)の更に後ろから、どこからともなくイラン・ファン・ワイルダー(ソウダル・クイックステップ)が現れたのだ。

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そして駆け引きのアタックの応酬を繰り返していたヒーリーとパレ・パントレの前に出ると、一気にそのままペースを上げてパレ・パントレをリードアウトして見せたのだ。この最後1㎞からの牽引がものを言いパレ・パントレは先行したヒーリーのインサイドに飛び込みそのまま最後まで踏み抜いて見せた。壮絶なアップヒルスプリントの末にヒーリーは勝利こそ逃したが、このステージでも何度となく積極的なアタックと牽引を続けたことで第6、第10ステージに続いて3度目の敢闘賞を獲得しただけではなく、間違いなくグランツールでの適正を見せ始めていると言えるだろう。

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そんな背後ではヴィンゲガードとポガチャルの一騎打ちが残り7.4㎞で幕を開ける。「失う物は何もな、2位にこだわる理由はない」としたヴィンゲガードは何度となくアタックを繰り返すがポガチャルは余裕で対応する。そして対するポガチャルも振り落とせるか様子見のアタックをするが、ヴィンゲガードは食らいつく。そうなれば決着はまたしてもゴールでの勝負、だがここまでくればポガチャルのパワーの前にまたしてもヴィンゲガードは数秒を失う結果となった。しかしこの後でハプニングが起きる。ゴール直後のヴィンゲガードの前にカメラマンが飛び出し接触、ヴィンゲガードは落車してしまった。怪我こそなかった模様だが、沿道の観衆のみならずゴール後の選手たちの動きを確認せず動き回るカメラマンもレースの妨げになってはならないだろう。

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その背後では総合上位勢がそれぞれの走りで頂上を目指した。総合3位のフロリアン・リポウィッツ(レッドブル・ボーラハンスグロエ)に対して総合4位のオスカル・オンレイ(ピクニック・ポストNL)はタイムを失ったが、先着した総合5位のプリモズ・ログリッチをわずかに抑えて総合順位をキープして見せた。そのログリッチに抜かれたのがケヴィン・ヴォークラン(アルケアB&Bホテルズ)、このステージで苦戦して順位を下げた。
激しいステージだった。レース中盤に30名の逃げが決まるが、そこには主力チームの選手が含まれており、総合勢もアシストを先行する作戦となる。ヒーリー、パレ・パントレに加えジュリアン・アラフィリップ(チュードル・プロサイクリング)、サイメン・アレンスマン(イネオス・グレナディアス)、アブラハムセンら有力勢もここに加わる。しかしこの集団も平均時速50㎞以上というハイペースで分裂、先頭はアラフィリップ、エンリック・マス(モビスター)、アブラハムセン、アレンスマンら7名に絞られる。

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そしてこ最後のモン・ヴァントゥに入ると、こからさらに今大会好調なアラフィリップのアタックを号砲に激しいバトルが勃発する。アブラハムセンがもアタックをするが脱落、アレンスマンとアラフィリップ、マスの3名が先行する。そしてそこからマスが抜け出し単独でゴールを目指すが、ここで逃げ集団の追走からヒーリーとパレ・パントレが猛追を開始する。結局この二人はマスに追いつき脱落させると、そのままヒーリーとパレ・パントレはステージ優勝を巡り最後までバトルを繰り広げた。

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その背後では一時は6分差にまで広がったメイン集団から飛び出してきたポガチャルとヴィンゲガードは最終的にはパレ・パントレから43秒差にまで迫って見せた。完全に二人の一騎打ちとなった総合優勝だが、逆転のためにはヴィンゲガードは攻めるしかないが、攻めの一手を欠いているのは間違いない。今後のステージでどこまでどこまで仕掛けられうのかは、この日も不調で脱落したマッテオ・ヨルゲンセン(ヴィズマ・リースアバイク)にかかっているかもしれない。
またこのステージ前には今大会大暴れしていたマシュー・ファン・デル・ポエル(アルペシン・ドゥクーニンク)が肺炎と診断されリタイアとなっている。
ヴァレンティン・パレ・パントレ(ステージ1位)
「最高だよ!でも正直ポガチャルがここでの勝利を狙っているとばかり思っていたから、勝てるとは思ってはいなかったんだよ。大所帯の逃げが発生したら、とりあえず乗っておこうという考えだったんだよ。そういうときって何かが起きるかもしれないからね。でもUAEも選手を送り込んでいたからアシストを仕込んできたなぁと思ったんだよ。でも逆にそこで牽制が始まれば、ステージ勝利も狙えると思ったんだ。それの僕もアシストが二人いたし、彼らにも今日勝てるかもしれない、って途中で話したんだ。ヒーリーは最後まで強かったよ。でもそこで、ここまで来て勝負は捨てられない、最後の一手期まで絞りだすって決めたんだ。しんどかったけど、やり遂げたよ!」
ベン・ヒーリー(ステージ2位、総合9位)
「残念ながらライバルを最後の勾配がきついセクションで振り切れなかったよ。でも脚が良く回っていたんで、もう少し戦略を考えるべきだったね。全てが少し遅くて、少し足りなかったんだよ。頂上付近が少し勾配が緩くなったうえに向かい風だったんでパレ・パントレを振り切れなかったよ。彼のほうが爆発力はあるからね。それで最後は力負けしてしまったよ。総合もステージも狙える立場だから、できることは多いよ。今日は大所帯の逃げが発生したらそれに乗る予定だったんだ。自分から仕掛けるのは最初から考えていなかったんだ。あとは状況に応じて、できる戦略を取っていったんだ。」
タデイ・ポガチャル(ステージ5位、総合1位)
「今日はしんどかったね。でも今日の目標はやりすぎてタイムを失わないことだったよ。だから今日は僅かに余力を残していたんだ。その為にも今日はヴィンゲガードへの対応に徹したよ、大事なのは今日マイヨ・ジョーヌを守り切ることだったからね。」
「僕はスーパーマンじゃないよ。スーパーマンの出身はリュブリャナじゃなかったはずだからね。でも今日は誰もが欲しがるステージだったよね。モン・ヴァントゥを駆け上がっていて、先行していた面々が800m先に見えたんだよ。あれはスーパーマンでも無理な距離だよ。でもまずは勝利したパレ・パントレの走りに脱帽だったよ。今日はヴィズマも攻めてきたし、あの走りが僕ら総合系の限界点だったという事だよ。」
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ツール・ド・フランス第16ステージ順位
1位 ヴァレンティン・パレ・パントレ(ソウダル・クイックステップ) 4h03’19”
2位 ベン・ヒーリー(EFエデュケーション・イージーポスト)
3位 サンティアゴ・ブイトラゴ(バーレーン・ヴィクトリアス) +04”
4位 イラン・ファン・ワイルダー(ソウダル・クイックステップ) +14”
5位 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツXRG) +43”
6位 ヨナス・ヴィンゲガード(ヴィズマ・リースアバイク) +45”
7位 エンリック・マス(モビスター) +53”
8位 ジュリアン・アラフィリップ(チュードル・プロサイクリング) +1’17”
9位 プリモズ・ログリッチ(レッドブル・ボーラハンスグロエ) +1’51”
10位 フロリアン・リポウィッツ(レッドブル・ボーラハンスグロエ) +1’53”
ツール・ド・フランス総合順位
1位 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツXRG) 58h24’46”
2位 ヨナス・ヴィンゲガード(ヴィズマ・リースアバイク) +4’15”
3位 フロリアン・リポウィッツ(レッドブル・ボーラハンスグロエ) +9’03”
4位 オスカル・オンレイ(ピクニック・ポストNL) +11’04”
5位 プリモズ・ログリッチ(レッドブル・ボーラハンスグロエ) +11’42”
6位 ケヴィン・ヴォークラン(アルケアB&Bホテルズ) +13’20”
7位 フェリックス・ガル(デカスロンAG2Rラモンディアル) +14’50”
8位 トビアス・ヨハンセン(Uno-Xモビリティ) +17’01”
9位 ベン・ヒーリー(EFエデュケーション・イージーポスト) +17’52”
10位 カルロス・ロドリゲス(イネオス・グレナディアス) +20’45”
H.Moulinette












