ツール・ド・フランス第14st:総合上位に変動、エヴァネポエルとスケルモースがリタイア、ポガチャルはステージ勝利ならずもまたもヴィンゲガードを突き放す、ステージを制したのはアレンスマン

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一時代を築いたイネオス・グレナディアスだったが、今ではその面影を見ることができないほどに、総合上位争いができていない。そして今大会もカルロス・ロドリゲス(イネオス・グレナディアス)で総合上位を狙ったものの、思ったような活躍が今のところで来ていない。しかしそのアシストサイメン・アレンスマン(イネオス・グレナディアス)は好調だ。今大会すでに一度2位に入り調子は万全、そうなれば逃げ切りの可能性のある山岳ステージで逃げるのは至極当たり前の判断だったかもしれない。そして逃げ集団から飛び出し独走態勢を築くと、迫りくる総合優勝争いの2人に最後まで追いつかれること無く、初出場のツール・ド・フランスで嬉しい初ステージ勝利を挙げた。

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その背後では激しい総合バトルが予想通り起こった。「ツールはまだ終わっていない」と語った総合2位のヨナス・ヴィンゲガード(ヴィズマ・リースアバイク)からすれば、今は攻撃をするしかない状況、それに対してポガチャルも防戦一方ではないが、無理なアタックを繰り返すことはしない。ヴィンゲガードを振り落とせないことがわかると、すぐさまゴールスプリント勝負へと切り替え、最後は4秒のタイム差もつけてのステージ2位、ボーナスタイムと合わせてさらにその差を広げた。
そしてこのステージの中盤、名物のツールマレー峠で総合3位のレムコ・エヴァネポエル(ソウダル・クイックステップ)が自転車を降りた。まさかの絶不調はこの日も続き、全く総合勢についていくことができずに総合3位のままリタイアとなった。不調なのはフィジカルだけではなく、総合トップ2に全く太刀打ちできなかったことでのメンタル面も大きそうだ。
そしてもう一人マティアス・スケルモース(リドル・トレック)もステージ序盤でロードファニチャーに接触し落車、その後再スタートを切ったが、最終的にリタイアとなってしまった。総合上勢にリタイア者が出たことで、総合トップ10も変動、ダークホースにすら名前が挙がっていなかったフロリアン・リポウィッツ(レッドブル・ボーラハンスグロエ)が総合3位、同じくオスカル・オンレイ(ピクニック・ポストNL)が総合4位、ケヴィン・ヴォークラン(アルケアB&Bホテルズ)が総合5位と思わぬ面々が山岳でも素晴らしい走りを披露し表彰台の一角を争っている。

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この日は超級山岳2つ、さらには1級山岳と2級山岳で総獲得標高5000mという難関ステージだった。だが総合勢が直接対決で駆け引きを繰り返す公算も高く、そうなれば逃げ切りのチャンスがあるのもまた確かだが、スタート直後から大きな動きはなく、中盤のツールマレー峠に入りようやく状況が動く。集団走行のペースにもついていけなかったエヴァネポエルが脱落しリタイアする中、先頭ではアレンスマンを含む20名ほどが抜け出していく。しかしこれはあっという間にアレンスマン、山岳賞ジャージを身にまとうレニー・マルチネス(バーレーン・ヴィクトリアス)、そして英ナー・ルビオ(モビスター)に絞られてしまった。そしてさらに総合8位のトビアス・ヨハンセン(Uno-Xモビリティ)もチャンスを伺い飛び出していく。暫定的に山岳賞を着用しているマルチネスは、この日の山岳で山岳賞ジャージをきちんと自分のものにすべく必死の走りを見せる。
そこからセップ・クス(ヴィズマ・リースアバイク)らが合流、また分裂などメイン集団とのはざまで多くの動きが発生し続ける。そしてこの日3つ目の1級山岳では先行するのはマルチネスら3名、それにアレンスマンら5名が追う展開となる。しかしこれが一つの逃げ集団に再形成されると、ここからアレンスマンが満を持して飛び出していく。一気の加速で追走集団に対し1分以上にまで差を広げると、あとはすいすいと最後の超級山岳ゴールへと突入していった。

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その背後のメイン集団ではUAEチームエミレーツXRGが集団をコントロール、徐々に上がっていくペースに一人、また一人と脱落していく。そしてこちらも最後の山岳へ突入すると、徐々に人数を減らしていき、総合上位勢のみが残る状況となると、満を持して残り4㎞でヴィンゲガードアがアタックを仕掛ける。このアタック一度で30秒のタイム差を削り、先頭のアレンスマンに追いつくのも時間の問題かに思われた。しかしここからポガチャルとヴィンゲガードのにらみ合いもあり、タイム差は縮まらなかった。この恩恵の預かる者これまた運であり実力、アレンスマンが念願のツール勝利を挙げるとともに、チームにとってもようやく一つ結果が達成できた形となった。
総合トップ2に続いたのはフェリックス・ガル(デカスロンAG2Rラモンディアル)、ステージ4位の走りで総合9位から7位へと順位を上げた。そしてそれに続きリポウィッツ、オンレイと続き、今大会でマイヨ・ジョーヌを獲得し一躍時の人となったベン・ヒーリー(EFエデュケーション・イージーポスト)が驚きの走りでステージ7位、これで総合も9位へとじゃっぷアップを果たして見せた。

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サイメン・アレンスマン(ステージ1位)
「信じられないよ。初めてのツールだから、とにかく経験を積む感じだったんだよね。辛抱強く、耐えしのいで前半戦を終えたけど、思っていたよりも活発なステージが多かったんだ。それで山岳まで次は待とうと決めていたんだ。その最初の挑戦でうまくいって勝利できるとは思ってもいなかったよ。とにかくまだ実感がわかないよ!」
タデイ・ポガチャル(総合1位)
「エヴァネポエルのリタイアは残念だよ。彼は新人賞ジャージを狙っていると言っていたからね。何でリタイアしたのかはわからないけど、彼のような才能のある選手がリタイアするのは本当に残念だよ。早い復帰を願っているし、進化して戻ってくると思うよ。でもあまり強くなりすぎないでね(笑)。」
ツール・ド・フランス第14ステージ順位
1位 サイメン・アレンスマン(イネオス・グレナディアス) 4h53’35”
2位 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツXRG) +1’08”
3位 ヨナス・ヴィンゲガード(ヴィズマ・リースアバイク) +1’12”
4位 フェリックス・ガル(デカスロンAG2Rラモンディアル) +1’19”
5位 フロリアン・リポウィッツ(レッドブル・ボーラハンスグロエ) +1’25”
6位 オスカル・オンレイ(ピクニック・ポストNL) +2’09”
7位 ベン・ヒーリー(EFエデュケーション・イージーポスト) +2’46”
8位 プリモズ・ログリッチ(レッドブル・ボーラハンスグロエ)
9位 トビアス・ヨハンセン(Uno-Xモビリティ) +2’59”
10位 ケヴィン・ヴォークラン(アルケアB&Bホテルズ) +3’08”
ツール・ド・フランス総合順位
1位 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツXRG) 50h40’28”
2位 ヨナス・ヴィンゲガード(ヴィズマ・リースアバイク) +4’13”
3位 フロリアン・リポウィッツ(レッドブル・ボーラハンスグロエ) +7’53”
4位 オスカル・オンレイ(ピクニック・ポストNL) +9’18”
5位 ケヴィン・ヴォークラン(アルケアB&Bホテルズ) +10’21”
6位 プリモズ・ログリッチ(レッドブル・ボーラハンスグロエ) +10’34”
7位 フェリックス・ガル(デカスロンAG2Rラモンディアル) +12’00”
8位 トビアス・ヨハンセン(Uno-Xモビリティ) +12’33”
9位 ベン・ヒーリー(EFエデュケーション・イージーポスト) +18’41”
10位 カルロス・ロドリゲス(イネオス・グレナディアス) +22’57”
H.Moulinette












