ツール・ド・フランス第13st:山岳個人TTでポガチャルが描くの違いを見せ今大会4勝目!ヴィンゲガード2位の好タイムも総合は4分差に、エヴァネポエルは総合3位死守も連日のバッドデイ

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力と力の勝負である個人TT、チームの戦略など関係なく、個人の力が問われるステージが、山岳TTという形で用意された。間違いなく今大会の総合争いを左右するステージは大会中盤に配置されていたが、なんとそのステージが早々と総合優勝を決定づけるステージになってしまったかもしれない。最終走者のタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツXRG)は、先に出走していたヨナス・ヴィンゲガード(ヴィズマ・リースアバイク)が塗りかえていた中間計測でのタイムをことごとく塗り替えていく。ヴィンゲガードも必死の走りで最高のパフォーマンスを披露、ゴール前では2分前に出走していたレムコ・エヴァネポエル(ソウダル・クイックステップ)を捉えて先着し、圧倒的なトップタイムを叩き出して見せた。
しかしこの日の為にバーテープなし、未塗装の6.9㎏のロードバイクを持ち込んだポガチャルは、もはや別次元の走りだった。ヴィンゲガードがゴール後にまだ呼吸を整えているうちにヴィンゲガードが叩き出したタイムを36秒上回りゴール、第4、7、12、に続いての今大会ステージ4勝目を上げて見せた。これで総合でもライバルたちをさらに大きく突き放し、ヴィンゲガードは総合で4分7秒差、エヴァネポエルとはこのステージだけで2分39秒のタイム差を広げ総合で7分24秒差までその差が広がった。

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エヴァネポエルのタイムもステージ順位で見れば12位と悪いタイムではない、しかしライバルたちが軒並みそのタイムを大きく超えるタイムを叩き出したことで、このステージ最大の敗者となってしまった。TT世界王者は総合トップ10の選手たちと大きく変わらないタイムではあるが、それではトップ2強にはまったく及ばず、個人TT世界王者としては納得のいく結果ではなかった。

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昨日自由を得てタイムを稼ぎ出しステージ3位に入ったフロリアン・リポウィッツ(レッドブル・ボーラハンスグロエ)はこのステージでも好調だった。チームメイトのプリモズ・ログリッチ(レッドブル・ボーラハンスグロエ)のステージ3位に次いでステージ4位のタイムを叩き出すと、総合でもエヴァネポエルに6秒差まで迫って見せた。これで総合ではオスカル・オンレイ(ピクニック・ポストNL)、ケヴィン・ヴォークラン(アルケアB&Bホテルズ)までが、エヴァネポエルから1分以内にひしめき合うこととなり、総合での表彰台争いは一気に激化してきた。
ステージ前半はルーク・プラップ(ジェイコ・アルーラ)が素晴らしいタイムを叩き出し、長らく暫定トップの人間が座るホットシーツでくつろいでいた。しかしこの日の難関山岳個人TTでは総合上勢がいかんなくその実力を発揮して見せた。平坦での能力ではなくクライミングセンスとパワーが要求されるステージ、各選手機材にも違いがみられ、TT系のハンドル回りで走る選手もいれば普段使っているドロップバー走る選手もいた。オスカル・オンレイ(ピクニック・ポストNL)やフェリックス・ガル(デカスロンAG2Rラモンディアル)といったあたりがそれぞれステージ7位と10位で想像を超えるパフォーマンスを披露したことで、山岳での適正のみならず今大会の調子の良さがはっきりとした。今後のステージでも彼らの走りから目が離せない。
そして昨日暑さにやられて完全に機能不全に陥ったヴィンゲガードの最強アシストのマッテオ・ヨルゲンセン(ヴィズマ・リースアバイク)だが、一晩明けて調子を取り戻してきた。このステージでも6位のタイムを叩き出し、総合トップ10に踏みとどまっている。

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タデイ・ポガチャル(ステージ1位、総合1位)
「とても嬉しいよ。この個人TTはコース発表の時から狙っていたんだよ。スタート前から言い準備ができて、いい走りができたよ。もう少しで限界を超えそうだったんだけど、電光掲示板のタイムを見たら、それが最後のひと押しをしてくれたんだよ。このバイクにした理由?これが最大の判断だったよ。このコースではロードバイクで走ったほうがTTバイクで走るより心地よかったので、こっちを選んだんだよ。それに今日は無線抜きで走ったんだ。所々でタイムチェックはできるので、それで十分だったよ。」
「今日みたいにチャンスがあれば勝ちに行くよ。いつが自身人生最後のレースになるかわからない、だからチャンスがあればすべて勝ちに行くんだよ。それにチームは僕に勝つために給料を払っているんだから、勝てるチャンスはすべて狙うのがプロの仕事だよ。それにチームには選手生命を賭けて僕の為にアシストしてくれる仲間がいるんだ、だから勝利を誰かに譲るなんて言う発想は毛頭ないよ。だからツールでは勝てるチャンスはすべて狙うよ。これでステージ4勝だけど、今日の勝利が一番大きかったね。昨日タイム差が付けられていなければ今日の走りはなかったと思う。これで明日からもその日その日に集中して、ステージ勝利を狙いに行けるよ。あとは健康管理に気を付けて、毎朝を最高の目覚めで迎えるだけだよ。そしてこのタイム差とマイヨ・ジョーヌをキープし続けるだけだよ。」
ヨナス・ヴィンゲガード(ステージ2位、総合2位)
「昨日からすれば調子を戻せたよね。昨日は最悪だった、最後の上りまでは良かったのに、突然電源が落ちた感じだった。それを考えれば今日は上出来だよ。昨日の結果だけでは自信は失わないよ。今日も自分を信じて走っていたからね。その結果きちんとこうして調子を戻せたからね。普段ツールでは僕はバッドデイがない人間なんだけど、今大会はここまで2度もそう感じた日があった。これ以上そう感じる日がないことを願うよ。ツールはまだ終わったわけじゃない、最後まであきらめないし、最後まで挑戦し続けるよ。チームは最強だし、それを証明しないとね。」

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レムコ・エヴァネポエル(総合3位)
「悪かったね、それは明確だよ。本来ならこのステージのトップ3には入れたはずなんだよ。本当になぜここまで走れないのかがわからないよ。明日はこうでないことを願っているよ。スタートから5㎞ほどは良かったんだけど、そこからはもう体がついて来なかったんだ。ヴィンゲガードに追い越されたことには何も特に思わないよ。あれだけ僕の調子が悪ければ、普通に走っているヴィンゲガードが追い付くのは当然だよ。とにかく僕自身最悪のパフォーマンスだったよ。そしてもうこれは終わったこと、これ以上考えてもどうしようもないよ。」
ツール・ド・フランス第13ステージ順位
1位 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツXRG) 23’00”
2位 ヨナス・ヴィンゲガード(ヴィズマ・リースアバイク) +36’
3位 プリモズ・ログリッチ(レッドブル・ボーラハンスグロエ) +1’20”
4位 フロリアン・リポウィッツ(レッドブル・ボーラハンスグロエ) +1’56”
5位 ルーク・プラップ(ジェイコ・アルーラ) +1’58”
6位 マッテオ・ヨルゲンセン(ヴィズマ・リースアバイク) +2’03”
7位 オスカル・オンレイ(ピクニック・ポストNL) +2’06”
8位 アダム・イェーツ(UAEチームエミレーツXRG) +2’15”
9位 レニー・マルチネス(バーレーン・ヴィクトリアス) +2’21”
10位 フェリックス・ガル(デカスロンAG2Rラモンディアル) +2’22”
ツール・ド・フランス総合順位
1位 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツXRG) 45h45’51”
2位 ヨナス・ヴィンゲガード(ヴィズマ・リースアバイク) +4’07”
3位 レムコ・エヴァネポエル(ソウダル・クイックステップ) +7’24”
4位 フロリアン・リポウィッツ(レッドブル・ボーラハンスグロエ) +7’30”
5位 オスカル・オンレイ(ピクニック・ポストNL) +8’11”
6位 ケヴィン・ヴォークラン(アルケアB&Bホテルズ) +8’15”
7位 プリモズ・ログリッチ(レッドブル・ボーラハンスグロエ) +8’50”
8位 トビアス・ヨハンセン(Uno-Xモビリティ) +10’36”
9位 フェリックス・ガル(デカスロンAG2Rラモンディアル) +11’43”
10位 マッテオ・ヨルゲンセン(ヴィズマ・リースアバイク) +14’15”
H.Moulinette












