ツール・ド・フランス第6st:クラシックスタイルステージで逃げ切り決着!ヒーリーが飛び出しステージ勝利と総合8位へ!クラシックの帝王ファン・デル・ポエルがマイヨ・ジョーヌを再び奪取!

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昨日の個人TTで今大会における総合上位勢の大まかな現在地が見えたが、その翌日のステージはまるでクラシックのようなアップダウンが一日中続くハードなステージが用意されていた。総合勢は無理をすることなく、逃げ切りが容認される可能性が高いステージは、予想通り逃げ集団から勝者が生まれることとなった。すでにジロ・デ・イタリアでのステージ勝利を挙げているアイルランド人選手のベン・ヒーリー(EFエデュケーション・イージーポスト)が逃げ集団から残り42㎞でタイミング良く飛び出すと、そのままゴールまで独走を続け勝利を手にした。これで総合でも大きく順位を上げ総合8位まで順位を上げた。
また同じ逃げに乗っていたのはクラシックの帝王マシュー・ファン・デル・ポエル(アルペシン・ドゥクーニンク)、すでに今大会ステージ勝利も上げ総合リーダーの証マイヨ・ジョーヌも獲得していたが、昨日の個人TTでそれを失っていた。しかしこの日逃げに乗ると最後はぐったりしながらもメイン集団に追いつかれることなくゴールラインを通過、これにより僅か1秒逆転マイヨ・ジョーヌの再奪取に成功した。
総合勢は集団でゴール、大きな動きはなくハードなステージを乗り越えたが、ヴィズマ・リースアバイクの戦略としてはポガチャルに総合リーダージャージをキープさせたかったようだ。そうすることで翌日以降もチームが集団コントロールの仕事をせねばならないだけではなく、ステージ終了後の表彰式やインタビューなどの対応など、時間と気を遣わねばならないことが増えるからだ。だがこの日はポガチャルとしてもチームとしても総合リーダージャージは手放したかったようで、最後まで積極的な走りは見られなかった。

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この日は5つの3級山岳と一つの4級山岳、さらには上りゴールというハードなステージ、そして状況からして逃げ切りには大いに可能性のあるステージとなることが予想された。だがこの日の中間スプリントはスタートから20㎞に設定されており、ポイント賞ジャージを狙っているヨナタン・ミラン擁するリドル・トレックとビニアム・ギルメイ擁するインターマルシェ・ワンティはそれまでは逃げを容認しなかった。そして中間スプリントをミランが制すると、そこから激しいアタックが始まる。
最初に動いたのはヒーリーとクイン・シモンス(リドル・トレック)、しかしその後の上りでこの動きは吸収されてしまう。だがこの日のヒーリーは積極性を失わない。スタートから65㎞、ようやく決まった8名の逃げにしっかりとその名を連ねた。ファン・デル・ポエル、ヒーリーに加え、マイケル・ストーラー(チュードル・プロサイクリング)、シモンス、エディー・ダンバー(ジェイコ・アルーラ)、ウィル・バル多(モビスター)、ハロルド・テハダ(XDSアスタナ)、更にはサイモン・イェーツ(ヴィズマ・リースアバイク)というかなりな実力者が揃う逃げが決まる。

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そしてこの逃げは予想通り容認されることとなった。その差は徐々に広がっていき、逃げ切りが確定的となりかけたそのタイミングで、ヒーリーが動く。躊躇なく独走態勢へと持ち込むとライバルたちはそれを見送ってしまう。残り30㎞の段階で追走する逃げの残りのメンバーに対して46秒差、そしてメイン集団との差は5分以上にまで広がってしまう。
ここからストーラーとシモンスがヒーリーを捉えるべく追走を始めるが、強者同士の追走はなかなか足並みが揃わない。お互い基本協調はするが、お互いにアタックを仕掛けるなど、そのタイム差は縮まるどころはじわじわと広がっていってしまう。そして残り10㎞では、ヒーリーとストーラーら追走二人のタイム差は2分にまで広がり、その背後のファン・デル・ポエルらとは2分半、そしてポガチャルら総合勢とは7分にまで広がっていく。これでステージ勝利はほぼ確定、あとはただひたすらにゴール目指してこぎ続けるだけとなった。

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そのままヒーリーは快調に飛ばし続け、結局ステージ2位のシモンスに2分44秒の大差をつけてステージ勝利を手にして見せた。これで総合で8位に順位を上げたのみならず、新人賞ジャージ争いでも3位へと順位を上げた。そしてストーラーが3位でゴール、逃げたメンバーが順次ゴールする中、その最後尾でファン・デル・ポエルがぐったりしながらゴールラインを超えた。
無駄なタイムロスを避けるべく、お互い牽制しながらゴールラインを迎えたメイン集団は、結局ポガチャルがその先頭を取ったが、うまく狙い通りジャージを手放すことに成功、戦略的にはうまくいったと言えるステージとなった。

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ベン・ヒーリー(ステージ1位、総合8位)
「ただただ信じられないよ。この勝利の為にずっと戦ってきたんだよね。それは今年に限ったことではなく、ずっとだよ。チームや皆の努力が、こうして結果となって帰ってくるのは本当にうれしい。本当に最高の気分だよ。去年ツールを走ったのは本当にかちがあったよ。あの時に気づきがあり、いずれツールでステージ勝利は上げられるという確信を持てたんだよ。今日は絶対に逃げに乗るべきだと思っていたから序盤からは全力だったよ。でもそこで少し力を使い過ぎたかもね。あとは逃げの集団から飛び出していかねば勝利できないことも分かっていたから、タイミングを見計らっていたんだ。少し早いぐらいのほうが皆を出し抜けるかと思ったんだけど、うまくいったよ。」
クイン・シモンス(ステージ2位)
「もともと僕もアタックをして逃げ集団から抜け出す予定だったんだよ。でもその前に先を越されてしまったんだ。このコースはまさに僕の為にカスタムメイドされた王なコースだったからチャンスだったんだよ。でもその最大のチャンスを逃してしまったんだ。そりゃがっかりしているよ。だって2位になるためにレースをしているわけではないからね。ツール・ド・フランスのステージ優勝は人生を変える力があるんだよ。2位では何も変わらないんだよ。」
タデイ・ポガチャル(ステージ9位、総合2位)
「ヴィズマが最後ペースアップをしたので仕方なくついていったよ。多分僕にリーダージャージをキープさせたかったんだろうね。でも惜しかったね。」
ツール・ド・フランス第6ステージ順位
1位 ベン・ヒーリー(EFエデュケーション・イージーポスト) 4h24’10”
2位 クイン・シモンス(リドル・トレック) +2’44”
3位 マイケル・ストーラー(チュードル・プロサイクリング) +2’51”
4位 エディー・ダンバー(ジェイコ・アルーラ) +3’21”
5位 サイモン・イェーツ(ヴィズマ・リースアバイク) +3’24”
6位 ウィル・バルタ(モビスター) +3’29”
7位 ハロルド・テハダ(XDSアスタナ) +3’52”
8位 マシュー・ファン・デル・ポエル(アルペシン・ドゥクーニンク) +3’58”
9位 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツXRG) +5’27”
10位 ヨナス・ヴィンゲガード(ヴィズマ・リースアバイク)
ツール・ド・フランス総合順位
1位 マシュー・ファン・デル・ポエル(アルペシン・ドゥクーニンク) 21h52’34”
2位 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツXRG) +01”
3位 レムコ・エヴァネポエル(ソウダル・クイックステップ) +43”
4位 ケヴィン・ヴォークラン(アルケアB&Bホテルズ) +1’00”
5位 ヨナス・ヴィンゲガード(ヴィズマ・リースアバイク) +1’14”
6位 マッテオ・ヨルゲンセン(ヴィズマ・リースアバイク) +1’23”
7位 ジョアオ・アルメイダ(UAEチームエミレーツXRG) +1’59”
8位 ベン・ヒーリー(EFエデュケーション・イージーポスト) +2’01”
9位 フロリアン・リポウィッツ(レッドブル・ボーラハンスグロエ) +2’32”
10位 プリモズ・ログリッチ(レッドブル・ボーラハンスグロエ) +2’36”
H.Moulinette












