ツール・ド・フランス第4st:総合バトル勃発!ポガチャルが豪快に勝利し自らの通算100勝目を祝う!ファン・デル・ポエルは2位も総合首位キープ、総合上位候補勢タイムロスで早くもサバイバル開始
この日の第4ステージはまたしてもクラシックのようなステージ、アップダウンがあることから総合勢が動き出すことが予想された。昨今のグランツールでは大会序盤から総合勢による激しいバトルが繰り返され、昨年もタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツXRG)が攻撃は最大の防御という信条の通り攻め抜いて見せた。そして今大会、以下にライバルたちが戦略をとるかに注目が集まったが、ここまでの3ステージで積極的な動きを見せたのは王者奪還を狙うヨナス・ヴィンゲガード(ヴィズマ・リースアバイク)擁するヴィズマ・リースアバイクだった。そしてこのステージでもその戦略は引き続き継続された。しかしこの日はそれに対してポガチャル擁するUAEチームエミレーツは緻密というよりは個々のアシストの力量の任せたパワープレイのような対抗策に打って出る。

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そしてそのままライバルたちを削っていくと、最後のゴールスプリントでもジョアオ・アルメイダ(UAEチームエミレーツXRG)のリードアウトからマイヨ・ジョーヌのマシュー・ファン・デル・ポエル(アルペシン・ドゥクーニンク)とまたしてもスプリント勝負を演じる。第2ステージでは力負けしたが、この日はアシストのおかげで足を温存できたポガチャルに対し、自力で総合勢の戦略に対抗してきたファン・デル・ポエルには脚が残されていなかった。最後に力尽きてポガチャルに勝利を奪われた。ポガチャルはこれが記念すべき自らの通算100勝目、まだ26歳にして早くもプロでの通算勝利数が3桁の大台に乗った。
ポガチャルに敗北こそしたが、ファン・デル・ポエルは総合首位をキープ、先日の勝利でロードでの通算勝利数を55勝目に伸ばしている男は、総合争いでのライバルでは決してないが、間違いなくポガチャルのロードレースにおける最強のライバルの一人と言えるだろう。

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そして総合争いも大きく絞られることとなった。レムコ・エヴァネポエル(ソウダル・クイックステップ)が辛うじてポガチャルとヴィンゲガードの動きに最後までついていけたが、それ以外の総合上位を狙う有力勢は軒並みタイムを失うこととなった。エンリック・マス(モビスター)、プリモズ・ログリッチ(レッドブル・ボーラハンスグロエ)、カルロス・ロドリゲス(イネオス・グレナディアス)までが何とか40秒ほどのタイムロスにとどめたが、それ以外のベン・オコナー(ジェイコ・アルーラ)はこのステージだけで2分近くのタイムを失い、さらに他の選手たちはもっと多くのタイムを失う結果となった。
この日は獲得標高1700mが後半60㎞に凝縮されたステージ、この日は山岳ポイントも多く、これがが間違いなく総合勢にとっては最初の力試しと運試しとなる。スタート直後に初日体調不良で大きく出遅れ総合のチャンスの芽が潰えたレニー・マルチネス(バーレーン・ヴィクトリアス)を中心とした4人の逃げが決まる。
この日も終盤に入るとまたしても落車が頻発する。何でもないストレートでの接触からの落車は不注意としか言えないものも多かったが、不幸中の幸いか初日のような大きなケガやリタイアは発生しない。

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そして山岳ポイントへと突入すると、一気に逃げとのタイム差が大きく縮まっていく。そしてそんなか今大会完全復調を見せているジュリアン・アラフィリップ(チュードル・プロサイクリング)に不運が訪れる。この日のステージも適正があっただけに狙っていたようだが、まさかのパンクから、バイク交換までに1分を要してしまう。何とか集団復帰を狙ったが、ペースが上がった集団に追いつくことに労力を使い過ぎてしまい、結局この日の勝負には絡むことがなかった。

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逃げが捉えられると、そこからはUAEチームエミレーツXRGが動き出す。まずは山岳賞ジャージを身にまとうティム・ウェレンス(UAEチームエミレーツXRG)がその独走力を発揮してペースを一気位に上げていく。そして今度はヴィズマ・リースアバイクが主導権を奪い返すが、残り6㎞で今度はアルメイダが牽引をすると遂にポガチャルが動く。残り5.4㎞でポガチャルがアタックを仕掛けると、それについていけたのはヴィンゲガードだけだった。一旦はヴィンゲガードも遅れるが、そこからジワリと追いつき頂上を超え下りに入っていく。2人でそのままゴールまで行くかに思われたが、そこはまだ第4ステージ、そこまでのリスクを取ることなく、後続の合流を待ち、そしてゴール勝負へと向かっていく。

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ヨルゲンセンがステージ勝利を狙うべく揺さぶりを仕掛けるが、結局最後はアルメイダがゴール前までリードアウト、そしてそこからポガチャルが渾身のスプリントを開始する。横並びとなったファン・デル・ポエルだったが、最後まで踏み切れずにポガチャルの後塵を拝することとなった。
この日はゴールエリアで刃物を持った暴漢が観衆を脅し警察官を刺すに至り、結果警察官が容疑者に発砲をして取り押さえる事件があった。観衆が多く集まるイベントだけにこのようなケースが今後起きないことを願いたい。
タデイ・ポガチャル(ステージ1位、総合2位)
「ツールでの勝利はいつでも特別だよ。そしてこの世界チャンピオンジャージで勝てるのは最高だね。ましてやそれが通算100勝目ならさらに最高だよ。あれだけ豪華なメンバーが揃えば、ゴール勝負は緊張するよ。最後の瞬間までどうなるかわからないからね。アドレナリンでまくりだよ。それがレースだし楽しいんだよね!ここまでのツールは本当に楽しいよ。この調子で行きたいね。」
ヨナス・ヴィンゲガード(ステージ3位、総合3位)
「あの頂上ま出は結構きつかったんだよ。ポガチャルにとってもきつかったから、結果僕と同じペースで上り切ったんだよ。今年の僕は好調で爆発力があるよ。あの1分間の出力は、たぶん過去最高だったと思うよ。体調も万全だし、これからのステージが楽しみだよ。まあゴールスプリントになれば、3位という順位は満足だよ。まあ2位に近かったからちょっと惜しかったけどね。」
レムコ・エヴァネポエル(ステージ7位、総合9位)
「いい日だったよ。最後はスプリントする脚は残っていなかったけど、でも納得の走りができたよ。3秒のタイムロスは全然問題ではないよ。まだまだ総合優勝への道はしっかりと開けているよ。」

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ツール・ド・フランス第4ステージ順位
1位 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツXRG) 3h50’29”
2位 マシュー・ファン・デル・ポエル(アルペシン・ドゥクーニンク)
3位 ヨナス・ヴィンゲガード(ヴィズマ・リースアバイク)
4位 オスカル・オンレイ(ピクニック・ポストNL)
5位 ロメイン・グレゴワール(グルーパマFDJ)
6位 ジョアオ・アルメイダ(UAEチームエミレーツXRG)
7位 レムコ・エヴァネポエル(ソウダル・クイックステップ) 3”
8位 マッテオ・ヨルゲンセン(ヴィズマ・リースアバイク)
9位 マティアス・スケルモース(リドル・トレック) 7”
10位 ケヴィン・ヴォークラン(アルケアB&Bホテルズ) 10”
ツール・ド・フランス総合順位
1位 マシュー・ファン・デル・ポエル(アルペシン・ドゥクーニンク) 16h46’00”
2位 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツXRG)
3位 ヨナス・ヴィンゲガード(ヴィズマ・リースアバイク) +08”
4位 マッテオ・ヨルゲンセン(ヴィズマ・リースアバイク) +19”
5位 ケヴィン・ヴォークラン(アルケアB&Bホテルズ) +26”
6位 エンリック・マス(モビスター) +48”
7位 オスカル・オンレイ(ピクニック・ポストNL) +55”
8位 ジョアオ・アルメイダ(UAEチームエミレーツXRG)
9位 レムコ・エヴァネポエル(ソウダル・クイックステップ) +58”
10位 マティアス・スケルモース(リドル・トレック) +1’02”
H.Moulinette












