ツール・ド・フランス第3st:落車連発の荒れたステージ、初日勝者のフィリップセンは鎖骨と肋骨骨折でリタイア、エヴァネポエルは救済されるも落車、ステージを制したのはメリエール
今年のツール・ド・フランスも落車が多い。来シーズンはそれを改善すべくスピードを抑制するようなルール変更がまた行われるが、ペースが遅いこの日のようなステージでも落車が頻発することを考えると、原因はほかにもあると言わざるを得ない。またしても落車だらけとなったこの第3ステージ、その最大の犠牲者となったのは初日勝者でポイント賞ジャージを身にまとったヤスパー・フィリップセン(アルペシン・ドゥクーニンク)だった。中間スプリントでの位置取り争いの中で、進路を右に取ろうとしたブライアン・コカード(コフィディス)が、チームのエーススプリンターを引き上げてきたローレンス・レックス(インターマルシェ・ワンティ)と接触、そのままバランスを崩してフィリップセンをなぎ倒す形となった。これによりフィリップセンは時速60㎞で激しく路面に叩きつけられ、そのまま即ドクターストップによるリタイアとなった。検査の結果鎖骨と肋骨の骨折は現段階で判明しており手術が必要な状況となった。

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またこの日は総合上位勢でもレムコ・エヴァネポエル(ソウダル・クイックステップ)が救済措置となる5㎞までは先頭集団にいたはずが、それを超えてほっとしたわけではないだろうが残り3㎞で発生した落車に巻き込まれてしまった。しかしソウダル・クイックステップのチームメイトティム・メリエール(ソウダル・クイックステップ)が得意のカーブしながらのスプリントでヨナタン・ミラン(リドル・トレック)を僅差で振り切り勝利、今大会ステージ1勝目をチームにもたらした。またチームとしてはこの日突如話題となったエヴァネポエルのレッドブル・ボーラハンスグロエやイネオス・グレナディアスへの移籍話の火消しに奔走、忙しい一日となった。
この日の第3ステージは完全平坦ともいえるステージ、スプリンターにとっては勝利を狙える格好のチャンスでもあり各チームエーススプリンターが牙を研ぎ覚ますステージとなった。ステージ序盤から逃げが発生するもそのまま吸収されると、この日はペースが上がらないまま、しかし逃げも発生しないステージとなった。総合リーダージャージとポイント賞ジャージの2枚を有するアルペシン・ドゥクーニンクが終始集団をコントロールし続けたが、それが中間スプリントで一変することとなった。
スプリント賞を狙うスプリンターたちにとっては、ゴール勝負のみならず中間スプリントも基調は勝負の場、当然激しい動きが発生する。フィリップセンは余裕をもって位置取りしていたが、その右横にいたコカードが背後から迫るライバルチームの選手を確認しないままに進路を変え接触、そのあおりを食らい路面に叩きつけられてしまった。皮肉にもポイント賞ジャージ最有力候補のフィリップセンが不運なアクシデントでリタイアとなったことで、ポイント賞ジャージ争いは一気に過熱することとなった。ひときわ体の大きいミランが中間スプリントを制すと、集団はまた一つになるが、ここでフィリップセンの所属するアルペシン・ドゥクーニンクと、コカードと所属先のコフィディス、さらにはインターマルシェ・ワンティの間で激しい言葉の応酬が繰り広げられた。

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そしてそのままレースは進むが、残り38㎞でまたしても落車が発生、すると今度はそのタイミングで先頭に躍り出たティム・ウェレンス(UAEチームエミレーツXRG)がこの日唯一の山岳ポイントを狙うべく単独で飛び出していく。ただこれに対して集団はほぼ無反応、それにより余裕をもってウェレンスは山岳ポイントを獲得し山岳賞ジャージをチームのエースタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツXRG)から引き継ぐ形となった。そしてウェレンスはそのまま逃げ続けるのではなく、ペースを落とし集団へと戻る選択を取る。
しかしこの日の落車の連鎖はここでは終わらず、残り3㎞で比較的前方で落車が発生すると、エヴァネポエルら有力選手も巻き込まれてしまう。難を逃れたスプリンターたちはそのまま激しく競い合いながらゴール勝負へと突入、リドル・トレックが綺麗な隊列で優位に思えたが、最終コーナー出口ではまたしても落車が発生、ケース・ボル(XDSアスタナ)らが激しく接触し、数名の選手たちがコースバリアに叩きつけられてしまう。その激しいクラッシュの前で、メリエールは自力で前方へと位置取りを上げていき、最後はミランの背後から一気に飛び出していく。2人の力は拮抗、最後は写真判定へともつれ込んだが、緩くカーブしながらのスプリントを得意としているメリエールに軍配が上がった。

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ティム・メリエール(ステージ1位)
「きついステージだったね。とにかくポジション取りが難しかったよ。チームは残り5kmまで素晴らしいアシストをしてくれたんだ。そこからはなかなかいい位置取りができなくて右往左往したよ。残り2㎞で何とか前方に移動できて、残り500mでようやくミランのそばまでこれたよ。彼のそばはきついのはわかっていたけど、マークすべきは彼だったからね。」
マシュー・ファン・デル・ポエル(総合1位)
「今日は本当に喜べない一日だよ」

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ツール・ド・フランス第3ステージ順位
1位 ティム・メリエール(ソウダル・クイックステップ) 4h16’55”
2位 ヨナタン・ミラン(リドル・トレック)
3位 フィル・バウハウス(バーレーン・ヴィクトリアス)
4位 ソレン・ワーレンショルト(Uno-Xモビリティ)
5位 パヴェル・ビットナー(ピクニック・ポストNL)
6位 ビニアム・ギルメイ(インターマルシェ・ワンティ)
7位 カデン・グローヴス(アルペシン・ドゥクーニンク)
8位 パスカル・アッカーマン(イスラエル・プレミアテック)
9位 アマリー・カピオ(アルケアB&Bホテルズ)
10位 アルベルト・ダイネーゼ(チュードル・プロサイクリング)
ツール・ド・フランス総合順位
1位 マシュー・ファン・デル・ポエル(アルペシン・ドゥクーニンク) 12h55’37”
2位 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツXRG) +04”
3位 ヨナス・ヴィンゲガード(ヴィズマ・リースアバイク) +06”
4位 ケヴィン・ヴォークラン(アルケアB&Bホテルズ) +10”
5位 マッテオ・ヨルゲンセン(ヴィズマ・リースアバイク)
6位 エンリック・マス(モビスター)
7位 ジョー・ブラックモア(イスラエル・プレミアテック) +41”
8位 トビアス・ヨハンセン(Uno-Xモビリティ)
9位 ベン・オコナー(ジェイコ・アルーラ)
10位 エマニュエル・ブッフマン(コフィディス)
H.Moulinette












