ジロ・デ・イタリア第18st:デンツが逃げ切り勝利!エース失ったレッドブル・ボーラハンスグロエが目的ロスから意識転換、一矢報いる勝利、総合勢は最終山岳連戦バトル前に沈黙の日


©Giro d’Italia
最終山岳バトルが始まる前最後のステージはスプリントの様相を呈していた。しかしそこにまさかの落とし穴が待っていた。主力スプリンターたちがメイン集団から飛び出し35人の逃げ集団を形成する中、その集団からまず11名が飛び出していく。さらにそこから残り19㎞で単独で飛び出したニコ・デンツ(レッドブル・ボーラハンスグロエ)は淡々と独走でゴールを目指す。その背後で追走が何度となく形成されるも協調性が全く取れない。自らが脚を使うと勝利のチャンスを逃しかねないという思惑が各選手たちの追走の意欲を削いでしまう。この駆け引きがデンツを最後まで逃がしてしまうこととなった。ゴールラインでデンツは後ろを確認してガッツポーズ、2023年のジロ・デ・イタリア2勝に続く通算3勝目を挙げた。
プリモズ・ログリッチとジェイ・ヒンドリー(共にレッドブル・ボーラハンスグロエ)のエース格2人を失ったチームにとっては、何とか今年のジロ・デ・イタリアで結果を残すべく奮闘してきたが、そもそもが総合争い主体での編成であったため、若手のアシストジュリオ・ペリッツァーリ(レッドブル・ボーラハンスグロエ)が総合で予想以上に善戦を見せている以外に見どころないステージが続いていた。全チーム中トップクラスの予算を持つ最強チームとしては、結果を残せないことほど屈辱的なことはない。またメインスポンサーのレッドブルにとっても、結果を残すことは至上命題でもある。そんな中残ったメンバーの中でジロ・デ・イタリア勝利経験者のデンツが何とか一矢を報いる形となった。

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対して今大会ステージ5勝目を狙ったポイント賞リーダーのマッズ・ピーダースン(リドル・トレック)、勝利を挙げたワウト・ファン・アールト(ヴィズマ・リースアバイク)とカデン・グローヴス(アルペシン・ドゥクーニンク)らはスプリント勝負を狙っていたが、デンツ、さらには小規模追走の背後の第3集団となり、スプリント勝負は空振りに終わってしまった。
総合上位勢はこの日は完全に休戦状態、明日から始まる最終山岳2連戦へ向けて調子を整えるのに専念するステージとなった。不用意な落車やトラブルもなく、総合上位勢は無難にステージを終えた。

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ニコ・デンツ(ステージ1位)
「うちはログリッチで総合優勝を狙っていたからね。その為に全て準備をしてきたんだ。その為に高度トレーニング何週間もしてきたし、僕自身もう3か月も家族にも会えていないんだ。だからエースを失ったとき、チームとして、そしてメンバーとして目標意識を失ってしまうんだ。今までの努力がすべて無駄になった空虚感に襲われるんだ。でもそこから何とか意識を切り替えて、ステージ優勝を狙いに行ったんだよ。」

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ジロ・デ・イタリア第18ステージ順位
1位 ニコ・デンツ(レッドブル・ボーラハンスグロエ) 3h12’07”
2位 ミルコ・マエストリ(ポルティ・ヴィジットマルタ) +1’01”
3位 エドワード・プランカート(アルペシン・ドゥクーニンク)
4位 フィリッポ・マグリ(VFグループバルディアーニCSFファイザネ)
5位 アレックス・エドモンドソン(ピクニック・ポストNL)
6位 ドリエス・デ・ボンド(デカスロンAG2Rラモンディアル)
7位 ダン・フール(リドル・トレック)
8位 ダビデ・デ・プレット(ジェイコ・アルーラ)
9位 ニコラ・コンチ(XDSアスタナ)
10位 ローレンス・ウォーバス(チュードル・プロサイクリング)
ジロ・デ・イタリア総合順位
1位 アイザック・デル・トロ(UAEチームエミレーツXRG) 68h56’32”
2位 リチャード・カラパズ(EFエデュケーション・イージーポスト) +41”
3位 サイモン・イェーツ(ヴィズマ・リースアバイク) +51”
4位 デレク・ジー(イスラエル・プレミアテック) +1’57”
5位 ダミアーノ・カルーソ(バーレーン・ヴィクトリアス) +3’06”
6位 イーガン・ベルナル(イネオス・グレナディアス) +4’43”
7位 ジュリオ・ペリッツァーリ(レッドブル・ボーラハンスグロエ) +5’02”
8位 アイナー・ルビオ(モビスター) +6’09”
9位 アダム・イェーツ(UAEチームエミレーツXRG) +7’45”
10位 マイケル・ストーラー(チュードル・プロサイクリング) +7’46”
H.Moulinette