ジロ・デ・イタリア第12st:スプリントバトルで決着!ファン・アールトの強烈なアシストからクーイがパワーで押し切り今大会初勝利!ピーダースンは位置逃して4位に沈む


©Giro d’Italia
今大会数少ないスプリントステージは、力と力の真っ向勝負の前に、最終コーナでの位置取りで勝敗が分かれることとなった。ゴール前に設定された左コーナー、ここへの進入がすべての勝敗を分けた。早めにアシストを使い切ったリドル・トレックに対して、今大会でステージ勝利を挙げ安堵感と共に気持ちの切り替えができたクラシックスペシャリストのワウト・ファン・アールト(ヴィズマ・リースアバイクが、強烈な馬力で先頭でコーナーを抜けていく。オラフ・コーイ(ヴィズマ・リースアバイク)はこれにキレイに繋がりそのまま最終コーナーへと突入、そのまま加速すると、リードアウトがいないキャスパー・ファン・ウーデン(ピクニック・ポストNL)が先に左側を駆け上がっていく。それを瞬時に見極めファン・アールトのリードアウトからから発射すると、まるでスイングバイのようにファン・ウーデンを利用しさらに加速、ライバルたちを従えるが前に出すことなく力だ最後まで乗り切って見せた。
ファン・ウーデンは先に仕掛けたが伸びがありステージ2勝目こそ逃したが2位を確保、その背後で猛追を仕掛けたベン・ターナー(イネオス・グレナディアス)がわずかにマッズ・ピーダースン(リドル・トレック)をかわして3位に飛び込んできた。ピーダースンはいい位置取りにも見えたが最終コーナーで僅かに間が空いたことで、完全に後手に回ってしまった。チームのアシストもドンピシャとはいかず、先に手札が尽きてしまいライバルたちの背中を利用することとなったが、想像以上にパンチ力のあったファン・アールトのアシストにしてやられた形となった。それでもポイントを順調に積み重ねている。

©Giro d’Italia
この日もスタートちょくのに逃げが決まり、3人のイタリア人選手たちが飛び出していく。だがスプリントステージの様相強く、逃げの頭数が少ないこともあり逃げ切りはかなり厳しいと言えた。しかしそれでも所属するVFグループバルディアーニCSFファイザネの地元であることからマニュエル・タロッツィは腹をくくって逃げに乗る。しかしスプリンター擁するヴィズマ・リースアバイク、アルペシン・ドゥクーニンク、デカスロンAG2Rラモンディアルらがペースを保ち、その差を手の届く範囲にとどめる。
集団は濡れた路面にもかかわらずハイペースを維持し続ける。横風も予想され、更なるポジション争いも勃発する。そんな中で総合2位のホァン・アユソ(UAEチームエミレーツXRG)はメカトラに見舞われ、バイク交換とそこからの追走を余儀なくされたが事なきを得た。

©Giro d’Italia
そしてこの日の最後の逃げ、アンドレア・ピエトロボン(ポルティ・ヴィジットマルタ)が粘りの走りを見せ続け、レッドブルキロメーターを先頭通過、賞金とボーナスタイムを獲得した。その背後では総合リーダーのアイザック・デル・トロ(UAEチームエミレーツXRG)がまたしてもスプリントを見せ3位通過、ボーナスタイムを獲得した。チームではアユソが膝のケガもあるのか積極的な動きには極力参加しない。代わりにスポットライトを得たデル・トロだが、躊躇なく自らが動くそのスタイルは、どこかタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツXRG)の雰囲気を感じさせてくれる。
もうここまでくればあとは集団でのスプリントへ向かい各チームが先頭手隊列を組んでの意地の張り合いが始まる。リドル・トレックはこの日は動かないかに思われたが、しっかりと最終局面で主役に躍り出る。だが総合上位につけているジュリオ・チッコーネ(リドル・トレック)をレース序盤のようにアシストに使うことは流石にできず、それが結果として”アシストが1枚足りない”状況となってしまった。だがこの日はヴィズマ・リースアバイクが主役に躍り出た。何か吹っ切れた感じのあるファン・アールトが渾身のアシスト、それを活かしたクーイがきっちりと勝ち切って見せた。

©Giro d’Italia
オラフ・コーイ(ステージ1位)
「この勝利を待っていたんだよ。あくまでもサイモン・イェーツ(ヴィズマ・リースアバイク)の総合順位が目的だけどファン・アールトも勝利したし、チームの雰囲気はすごくいいんだ。ここまでのスプリントでは空回りしてしまったけど今日は最高だったよ。あのアシストはファン・アールトしかできないものだったね。彼のようなアシストがいることで、僕は勝利できたんだよ。とにかく感謝しかないよ。まだ大会はこれからも続く、総合もステージもチームとして狙っていくよ。」
ジロ・デ・イタリア第12ステージ順位
1位 オラフ・コーイ(ヴィズマ・リースアバイク) 3h55’40”
2位 キャスパー・ファン・ウーデン(ピクニック・ポストNL)
3位 ベン・ターナー(イネオス・グレナディアス)
4位 マッズ・ピーダースン(リドル・トレック)
5位 カデン・グローヴス(アルペシン・ドゥクーニンク)
6位 ミラン・フレティン(コフィディス)
7位 マックス・カンター(XDSアスタナ)
8位 ポール・マニエ(ソウダル・クイックステップ)
9位 マテヴス・ゴヴェカル(バーレーン・ヴィクトリアス)
10位 マッテオ・モシェッティ(Q36.5プロサイクリング)
ジロ・デ・イタリア総合順位
1位 アイザック・デル・トロ(UAEチームエミレーツXRG) 42h42’39”
2位 ホァン・アユソ(UAEチームエミレーツXRG) +33”
3位 アントニオ・チベリ(バーレーン・ヴィクトリアス) +1’09”
4位 サイモン・イェーツ(ヴィズマ・リースアバイク) +1’11”
5位 プリモズ・ログリッチ(レッドブル・ボーラハンスグロエ) +1’26”
6位 リチャード・カラパズ(EFエデュケーション・イージーポスト) +1’58”
7位 ジュリオ・チッコーネ(リドル・トレック) +2’11”
8位 ブランドン・マクナルティー(UAEチームエミレーツXRG ) +2’18”
9位 アダム・イェーツ(UAEチームエミレーツXRG) +2’35”
10位 サイメン・アレンスマン(イネオス・グレナディアス) +2’35”
H.Moulinette