ジロ・デ・イタリア第6st:雨で連鎖落車!ピーダースンはじめ多くの選手が落車でこの日のステージタイムはニュートラルに、そんな荒れたステージはスプリントも大荒れ、グローヴスが混戦制す


©Giro d’Italia
時代が変わって機材が進化しても、雨はいつでも選手たちの天敵となる。昨今のハイスピード化も加わり、昨今落車は増加傾向にある。そしてディスクブレーキなったからと言え、急には止まれない乗り物なのである。それどころか濡れた路面で急激な制動力を求めようとブレーキングすると、滑ってスライド、落車してしまうというケースが相次いだ。第6ステージではステージ途中からの大雨で、残り70㎞で大集団落車が発生、先頭で起きた落車を避けようとした選手たちがことごとくスリップをして40台以上が落車する連鎖が発生、これによりサポートカーも入り乱れての大混乱となった。これにより主催者はレースを一時ニュートラル化、さらに選手たちを完全に止めて意見交換を行った結果、この日のタイムもニュートラル化し、ゴールした全員がステージ優勝者と同タイム扱いになることが決まった。
昨日までの総合リーダー、マッズ・ピーダースン(リドル・トレック)も落車に巻き込まれ、この日は無理をせずゴールを目指すこととなった。また優勝候補筆頭のプリモズ・ログリッチ(レッドブル・ボーラハンスグロエ)は山岳でのエースアシスト、ジェイ・ヴァイン(レッドブル・ボーラハンスグロエ)を失うこととなってしまった。また総合上位候補のリチャード・カラパズ(EFエデュケーション・イージーポスト)、デレック・ジー(イスラエル・プレミアテック)、アダム・イェーツ(UAEチームエミレーツXRG)らも巻き込まれる形となった。

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そんな荒れたステージでも勝者は勝者、総合タイムに影響が出ないことで積極的に動かない選手も出ることから、勝利のチャンスはより広がることとなった。そんなステージはスプリントに持ち込まれたが、ここでもアシストなきノーガードの打ち合いとなり、その結果パンチ力抜群の男、カデン・グローヴス(アルペシン・ドゥクーニンク)が今シーズン初勝利を掴み取った。また繰り上げでポイント賞ジャージを着用しているオラフ・コーイ(ヴィズマ・リースアバイク)はマッテオ・モシェッティ(Q36.5 プロサイクリング)の脇を駆け上がろうとしたが十分なスペースがなく、結果的にスプリントに参加できずにステージ10位に沈んだ。今大会非常に厳しい最低が多い中で、モシェッティは進路妨害を取られて降格処分となったが、状況的にあれを進路妨害と取るには厳しすぎるのでは、という疑問符のつく裁定となった。
227㎞の長丁場のステージ、注目はピーダースンがこの日も勝利を狙うかの一点だった。しかし結果としてピーダースンも落車に巻き込まれたことで、リドル・トレックは集団の主導権新生から撤退する。そうなれば勝利が欲しいチーム、そしてスプリンターたちにとっては千載一遇のチャンスが広がることとなった。しかしこの日逃げに乗り、ニュートラル化後もそのタイム差を維持したまま再スタートを切ったタコ・ファン・デル・ホーン(インターマルシェ・ワンティ)とエンツォ・パレーニ(グルーパマFDJ)の2人が想像以上の粘りを見せる。

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残り20㎞で30秒あったタイム差は、残り5㎞になっても20秒あり、この踏ん張りがスプリンターチームの理想の展開を大きく狂わせることとなる。ヴィズマ・リースアバイク、アルペシン・ドゥクーニンクら勝利を狙うチームでさえ人数を減らしているため、消耗を避けたいが故に追走には消極的であり結局残り2.5㎞まで逃げを捉えることができなかった。更に入り乱れての大混戦となったことで、まずはヤンセン・プロウライト(アルペシン・ドゥクーニンク)がまさかの飛び出しを見せる。更にはこれにワウト・ファン・アールト(ヴィズマ・リースアバイク)がこれを捉え前に出ると、ここでようやくスプリンターたちに火が付く。そして最後はがら空きのコースど真ん中を駆け上がったグローヴスが勝利を手中に収めた。2位にはミラン・フレティン(コフィディス)が入り、3位にはポール・マニエ(ソウダル・クイックステップ)が入った。
総合系はタイムを失わなかったが、各チームアシストやエースに痛手も出ており、今回の落車が場合によっては今後のステージで影響を及ぼしそうだ。

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カデン・グローヴス(ステージ1位)
「今シーズンは出遅れたから、ようやく勝ててほっとしているよ。僕は寒いのが得意な方だから、今日の雨はあまり問題ではなかったよ。それよりもチームを信頼していたので、勝利できると確信していたよ。」
マッズ・ピーダースン(総合1位)
「落車したからね、簡単ではなかったよ。でももっと細工だって考えられたことを思えば、ましだったと思いたいよ。あの時は時速65㎞ぐらい出ていたからね。、体のどこかには必ずしわ寄せがあると思うよ。体の右側で衝撃を受けたので、明日以降こちら側が痛くないといいけどね。間違いなく痛みで夜はよく眠れないと思うよ。」
ジロ・デ・イタリア第6ステージ順位
1位 カデン・グローヴス(アルペシン・ドゥクーニンク 4h59752”
2位 ミラン・フレティン(コフィディス)
3位 ポール・マニエ(ソウダル・クイックステップ)
4位 マックス・カンター(XDSアスタナ)
5位 ジョバンニ・レナルディ(ポルティ・ヴィジットマルタ)
6位 ミケル・ジラード(チュードル・プロサイクリング)
7位 マルティン・マルセルシ(VGグループバルディアーニCSFファイザネ)
8位 ルーカ・モッツァート(アルケアB&Bホテルズ)
9位 マテブ・ゴブカー(バーレーン・ヴィクトリアス)
10位 オラフ・コーイ(ヴィズマ・リースアバイク)
ジロ・デ・イタリア総合順位
1位 マッズ・ピーダースン(リドル・トレック) 20h11’44”
2位 プリモズ・ログリッチ(レッドブル・ボーラハンスグロエ) +17”
3位 マティアス・ヴァチェック(リドル・トレック) +24”
4位 ブランドン・マクナルティー(UAEチームエミレーツXRG) +31”
5位 アイザック・デル・トロ(UAEチームエミレーツXRG) +32”
6位 ホァン・アユソ(UAEチームエミレーツXRG) +35”
7位 マックス・プール(ピクニック・ポストNL) +43”
8位 アントニオ・チベリ(バーレーン・ヴィクトリアス) +44”
9位 マイケル・ストーラー(チュードル・プロサイクリング) +46”
10位 ジュリオ・ペリッツァーリ(レッドブル・ボーラハンスグロエ) +50”
H.Moulinette