ジロ・デ・イタリア第5st:絶好調ピーダースンがまたしてもスプリント勝利!ほとんどのスプリンターたちが激坂区間で崩壊する中、ド根性でついていったピーダースンをチームが万全アシスト!


©Giro d’Italia
二度あることは三度ある、その言葉通りマッズ・ピーダースン(リドル・トレック)が第5ステージで早くも今大会3勝目を挙げた。一筋縄ではいかない難コース、残り3㎞の最終盤に迎えた勾配10%越えの激坂区間ではマティアス・ヴァチェック(リドル・トレック)のアシストについていけず、見る見る遅れていくも粘り切りクリア、そこからの平坦区間で一気に先頭まで復帰するとそのまま再びヴァチェックが快心のリードアウトを披露、躊躇なく仕掛けたピーダースンは限界を迎えていたが、ここでもド根性を見せゴールラインまで踏み抜いた。ゴール後には珍しく息絶え絶えでインタビューにも苦労するほど疲労困憊だった。

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際どく迫ったエドアルド・ザンバニーニ(バーレーン・ヴィクトリアス)だったが僅かに届かず僅差の2位、ゴール後に自らの手を嚙んで悔しがった。ステージ3位にはトム・ピドコック(Q36.5プロサイクリング)が入り好調さをアピールした。
この日のステージは151㎞と短め、しかしステージ後半には丘が用意され、純粋なスプリンターにとってはきついコース設定だった。代わりにクライマーやパンチャーにとってはステージ優勝と共に、ライバルたちのコンディションを量るにはもってこいのコース設定となった。そんなステージはスタート直後からイタリア人選手3名の逃げが決まる。この逃げはこの日は終盤まで容認されることとなる。

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レースが動いたのは残り40㎞を切ってからだった。この日も総合リーダーチームの責務として集団をコントロールしていたリドル・トレックだが、終盤に入ると優勝候補筆頭の一人、ホァン・アユソ擁するUAEチームエミレーツXRGが積極的なペースアップを図る。これにより多くのピュアスプリンターたちが脱落していく。
残り12㎞で逃げをすべて吸収すると、展開はさらに混沌としていく。残り10㎞からはヴィズマ・リースアバイクがワウト・ファン・アールト(ヴィズマ・リースアバイク)の為のお膳立てをすべく動くが、気が付けばファン・アールトがついていけずに脱落してしまう。そうなればUAEチームエミレーツXRGとリドル・トレックがまたしても主導権を握る。プリモズ・ログリッチ(レッドブル・ボーラハンスグロエ)は様子見で集団前方に上がりはするが、アタックなどは行わず再び集団内へと戻っていく

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そして迎えたゴール前最後の激坂区間、先行するのはヴァチェック、それに必死についていっていたピーダースンだったが、やはりピュアクライマーたちの軽やかな走りとは違い、必死に上半身を揺らしながら踏み続けるが、次々と抜かれていく。何とか上り切れば僅かだが可能性が残る、そう確信していたピーダースンは辛うじて上りをクリアして平坦区間に入ると、集団前方が若干ペースを緩めた隙にその差を詰めにかかる。そしてそのままヴァチェックと再び合流して、気が付けば集団前方に一気に復帰を果たす。位置取りが勝敗を分ける展開の中で、先行する得意の形へと持ち込むと、残り200mでスプリントを開始する。

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背後にぴたりと貼りついていたピドコックもスプリントで食い下がる中、後方から爆速で駆け上がって来たのはザンバニーニだった。コースわきの狭い隙間をこじ開けるようにスプリントをすると、あと一歩のところまでピーダースンを追い詰めて見せた。しかし最後に笑ったのはピーダースン、ただ本人も勝ったことをすぐに確信はできないほどの全力の勝負、疲労困憊の中でもドンピシャでゴールラインにバイクを投げ出して見せた。
またこのステージでも4位にオールイ・アルラール(モビスター)が入り、好調を維持している。今大会でも第1,3ステージの3位に続き、このステージでも4位、今大会用注目の選手だ。
マッズ・ピーダースン(ステージ1位、総合1位)
「最後の20㎞は凄かったよ。とにかく上りに苦しんだよ。本当にしんどかったし、勝てるとは思っていなかったよ。上り切ったこと段階では、まだ何とか先頭集団に踏みとどまれたことはわかったよ。でも勝負するにはそこから短時間でいい位置取りまでもっていかないといけないことも分かったよ。そこでとにかく脚を使いまくったね。それで何とかヴァチェックと合流できたんだよ。とにかく体力を使いまくったので、最後はどうなることかと思ったけど、幸運にもまだ最後のひと絞りが残っていたよ。いやーマジしんどかった。総合リーダージャージを着たまま勝利できるのはこれ以上ない感動だよ。これは自分が想像していた以上だよ。チームにとっても僕にとっても、最高の結果だよ。明日?(苦笑い)そうね、明日ももちろん全力で勝利を目指すよ。」
トム・ピドコック(ステージ3位)
「僕のスプリントはドンピシャだったよ。でもピーダースン思った以上に伸びなかったね。まあそれでも僕が勝てるわけではないんだけどね。彼をマークしていたんだけど仕掛けるタイミングを見計らっているときに瞬間的に脚を止めなければならなかったからね。でもまあれで釣られて先に飛び出しすのも愚の骨頂だからね。まあ3位は悪くないでしょ。完璧とは言えないけど結構いいスプリントができたと思うよ。」
プリモズ・ログリッチ(総合2位)
「今日はコースが簡単すぎて仕掛ける場所がなかったよ。もちろんジロのレベルが高いのもあるけどね。もう少し上りが長いか、もう少し早いトレインが組めたのであれば状況は変わっていたと思うよ。でも今日のコースでは差が付きそうになかったからね。だから今日は位置取りに気を付けていたよ。もらい事故や巻き添え、無駄な分断で取り残されるのはごめんだからね。」
ジロ・デ・イタリア第5ステージ順位
1位 マッズ・ピーダースン(リドル・トレック) 3h27’31”
2位 エドアルド・ザンバニーニ(バーレーン・ヴィクトリアス)
3位 ティム・ピドコック(Q36.5プロサイクリング)
4位 オールイ・アルラール(モビスター)
5位 フィリッポ・フィオレッリ(VFグループバルディアーニCSFファイザネ)
6位 マイケル・ストーラー(チュードル・プロサイクリング)
7位 クエンティン・パシャール(グルーパマFDJ)
8位 ブランドン・リヴェラ(イネオス・グレナディアス)
9位 ダミアーノ・カルーソ(バーレーン・ヴィクトリアス)
10位 アイザック・デル・トロ(UAEチームエミレーツXRG)
ジロ・デ・イタリア総合順位
1位 マッズ・ピーダースン(リドル・トレック) 15h11’52”
2位 プリモズ・ログリッチ(レッドブル・ボーラハンスグロエ) +17”
3位 マティアス・ヴァチェック(リドル・トレック) +24”
4位 ブランドン・マクナルティー(UAEチームエミレーツXRG) +31”
5位 アイザック・デル・トロ(UAEチームエミレーツXRG) +32”
6位 ホァン・アユソ(UAEチームエミレーツXRG) +35”
7位 マックス・プール(ピクニック・ポストNL) +43”
8位 アントニオ・チベリ(バーレーン・ヴィクトリアス) +44”
9位 マイケル・ストーラー(チュードル・プロサイクリング) +46”
10位 ジュリオ・ペリッツァーリ(レッドブル・ボーラハンスグロエ) +50”
H.Moulinette