ジロ・デ・イタリア第4st:本格的スプリントステージは伏兵のファン・ウーデンに軍配!総合リーダーのピーダースンとリドル・トレックは運にも見放されチームワーク発揮できずも4位でマリア・ローザキープ

いい日もあれば悪い日もある、それが人生でありロードレースだ。昨日まで3ステージで2勝を挙げたリドル・トレックとそのエース、マッズ・ピーダースンだったがこの日は運にも見放される形となった。ゴールまでに機材交換や落車による足止めなどで何度となく集団最後方まで下がる事態となり、主導権を握るどころか位置取りさえピーダースン自身の判断と極力に頼らざるを得ない状況となった。何とかゴールスプリントでは集団前方までは上がったものの、ライバルチームは徹底してピーダースンをマーク、進路を塞がれ、スプリントで駆け上がるスペースも十分に与えてもらえず、思ったようなスプリントができずに4位に沈んだ。

©Giro d’Italia
代わりにステージ勝利を挙げたのはキャスパー・ファン・ウーデン(ピクニック・ポストNL)、23歳の伏兵がとてつもなく大きな仕事をやってのけた。オラフ・コーイ(ヴィズマ・リースアバイク)は2位、マイケル・ジラード(チュードル・プロサイクリング)が3位に入った。ピクニック・ポストNLは今現在2026年からのワールドツアーチーム18チームのライセンス獲得争いをXDSアスタナとコフィディスと繰り広げており、XDSアスタナが今シーズンポイントを荒稼ぎしているのに対し、この勝利が今シーズンのワールドツアー初勝利となった。
イタリアに入って最初のステージは、単独の逃げが決まる。フランシスコ・ムニョス(ポルティ・ヴィジットマルタ)は淡々と逃げ続け、最大でメイン集団との差は5分まで広がるが、そこからタイム差は徐々に縮まっていく。その背後では中間スプリントではピーダースンがポイント賞ジャージを目指しスプリントを行い、レッドブルキロメーターではプリモズ・ログリッチ(レッドブル・ボーラハンスグロエ)がスプリントをしボーナスタイムを獲得、これでピーダースンとのタイム差が少し縮まることとなった。

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そして残り56.5㎞で早々とムニョスを吸収すると、ここから激しい主導権争いが始まる。そしてまたしても中間スプリントでコーイの後塵を拝したもののしっかりとピーダースンはポイントを積み重ねていく。しかしそのピーダースンに試練が待ち受けていた。残り22㎞でこの日リードアウトを予定していたクラー・アンダーソン(リドル・トレック)が落車、これで足止めを食らってしまったピーダースンはここからチームメイトの献身的な牽引で集団復帰を果たす。しかしこの日は総合系のジュリオ・チッコーネ(リドル・トレック)もアシストに使うわけにはいかず、ピーダースンは少ないチームメイトに頼ることとなる。ダン・ホール(リドル・トレック)とマティアス・ヴァチェック(リドル・トレック)の2人のアシストこそ受けられたが、残り距離が少なくなっても何度となくメイン集団後半をうろうろする状態となり、集団スプリント参加は不可能に思われた。
しかしここから驚異的な嗅覚でテクニカルなコースを迎える段階で先頭まで上がっていく。だがアシストを使い切り、最後は自力での勝負を余儀なくされた。先頭はピクニック・ポストNLとヴィズマ・リースアバイク、お膳立てはヴィズマ・リースアバイクのコーイ有利に見えた。しかしファン・ウーデンが得意とするロングスパートを仕掛けると、そのままゴールラインまで力で豪快に踏み抜いた。
キャスパー・ファン・ウーデン(ステージ1位)
「信じられないよ。この勝利は選手からスタッフまでチーム一人一人全てが機能したからこそ成し得たものだよ。残り200mまでは完璧に脚を温存できたよ。そしていけるとかんじたんで、そのままスパートを仕掛けたんだよ。あとは成るようになるさと思ったんだよ。」
マッズ・ピーダースン(リドル・トレック)(ステージ4位、総合1位)
「あれはマジでクソな展開だったね。アシストのアンダーソンが落車して、それで足止めを食らってしまった。でも幸運だったのは僕自身は落車しなかったことだよ。残り15㎞で集団復帰のために脚を使う、あれで足を結構使ってしまったよ。そしてホールに牽引を頼んで集団復帰を果たしたことで、チーム隊列が組めなくなってしまったんだ。あとはいかに耐えしのいで、出来ることをやるか、というだけだったよ。更にその後も集団後方から前方への移動も大変だったよ。今日は最後に脚がもう残っていなかったよ。でもそんな日もあるさ。」

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ジロ・デ・イタリア第4ステージ順位
1位 キャスパー・ファン・ウーデン(ピクニック・ポストNL) 4h02’21”
2位 オラフ・コーイ(ヴィズマ・リースアバイク)
3位 マイケル・ジラード(チュードル・プロサイクリング)
4位 マッズ・ピーダースン(リドル・トレック)
5位 カデン・グローヴス(アルペシン・ドゥクーニンク)
6位 サム・ベネット(デカスロンAG2Rラモンディアル)
7位 ポール・マニエ(ソウダル・クイックステップ)
8位 ベン・ターナー(イネオス・グレナディアス)
9位 マッテオ・モシェッティ(Q36.5プロサイクリング)
10位 エンリコ・ザノンチェッロ(VFグループバルディアーニCSFファイザネ)
ジロ・デ・イタリア総合順位
1位 マッズ・ピーダースン(リドル・トレック) 11h44’31”
2位 プリモズ・ログリッチ(レッドブル・ボーラハンスグロエ) +07”
3位 マティアス・ヴァチェック(リドル・トレック) +14”
4位 ブランドン・マクナルティー(UAEチームエミレーツXRG) +21”
5位 アイザック・デル・トロ(UAEチームエミレーツXRG) +22”
6位 ホァン・アユソ(UAEチームエミレーツXRG) +25”
7位 マックス・プール(ピクニック・ポストNL) +33”
8位 アントニオ・チベリ(バーレーン・ヴィクトリアス) +34”
9位 マイケル・ストーラー(チュードル・プロサイクリング) +36”
10位 ジュリオ・ペリッツァーリ(レッドブル・ボーラハンスグロエ) +40”
H.Moulinette