ヴォルタ・ア・カタルーニャ2025:最終日逃げ切り独走勝利でログリッチが大逆転総合優勝!今大会2勝で好調な仕上がり、アユソは首位守り切れず総合2位、19歳新星ブレナンがステージ2勝


©Volta a Catalunya
スペインの春の大きなステージレース、ヴォルタ・ア・カタルーニャはグランツール総合上位勢が顔を揃える豪華な大会だ。そしてそれにふさわしい激しいバトルが最後の最後まで展開された。最終日に独走勝利を挙げたプリモズ・ログリッチ(レッドブル・ボーラハンスグロエ)はそのまま総合でも大逆転で優勝、今大会ステージ2勝を挙げ、大会を通して激しく競い合ったホァン・アユソ(UAEチームエミレーツXRG)を最後の最後で土俵際でうっちゃた。

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最終日を1秒リードして迎えたアユソは今大会第3ステージで勝利を挙げ、また第4ステージもステージ2位ながらログリッチと同タイムと完全に互角の勝負を繰り広げた。だが最終日前日のクイーンステージの山岳ステージが、強風のため主催者がコースを短縮、しかし選手からの要望でさらに短縮され、僅か28㎞のステージとなったことで、最終日での直接対決での総合優勝争いとなってしまった。
経験豊かなログリッチからすれば、一発勝負というプレッシャーは何度も経験済み、最終日に勝負に躊躇なく出る。まずは前半でのボーナスポイント獲得の応酬による総合リーダージャージ争いでアユソに脚を使わせる。アユソは今大会何度もログリッチと山頂スプリントを演じたが、アユソにしてみれば短時間高出力が求められる走りは得意ではない。しかしバーチャルでの総合リーダージャージ争奪戦が序盤から発生し、体力を削られてしまう。対して耐久性のある走りができるログリッチは、明確に攻撃の意思を示し続けた。

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ステージ勝利も視野に入れていたレッドブル・ボーラハンスグロエは終盤に繰り返されるアタックにことごとく反応しながらペースを上げていく。これでアユソはアシスト勢を削られてしまう。そうなればログリッチは躊躇なくアタックを決める。「勝つためには勝負に出るしかなかった。」とレース後語ったログリッチは、その言葉通り上りで飛び出すと、そのまま山頂をトップ通過、ゴールまでの残り20㎞を単独で逃げ切ってしまった。アユソはチームメイトもいない状況下で、追走を牽引する羽目になり更に体力を消耗し失速、結果19秒を失い、さらにステージ優勝のボーナスタイム10秒がログリッチに加わり、ティレーノ・アドリアティコに続く総合優勝は成らなかった。
35歳のログリッチは総合優勝、ポイント賞、山岳賞を総なめ、さらにステージ2勝と最高の仕上がりを見せただけではなく、チームの組織力の仕上がりもよく、さらには充実したメンタルも披露して見せた。対して22歳のアユソは粘り切れずに2位に転落、しかし成長を感じさせる走りとなった。

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総合3位にはエンリック・マス(モビスター)が入り、こちらもチームの総合系エースとして調子を上げてきている。またレムコ・エヴァネポエル(ソウダル・クイックステップ)の最強アシストとなるべくソウダル・クイックステップへと移籍をしたログリッチと同い年35歳のベテランのミケル・ランダ(ソウダル・クイックステップ)も総合4位に入り、好調さを印象付けた。
「本当は最終日前日のクイーンステージの山岳で勝負をしたかったんだよ、でもあれが無くなってしまったので、最終日に攻撃的な博打に出るしかなくなったね。まあでも今年は最終日まで絶好調とは言い難い状況だったので、山岳ステージがキャンセルになって一発勝負になったのは見方によっては幸運だったのかもしれないね。」ログリッチはレース後にそう振り返った。

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また今大会で際立った活躍を見せたのはマシュー・ブレナン(ヴィズマ・リースアバイク)だ。エースのヨナス・ヴィンゲガード(ヴィズマ・リースアバイク)がケガのため再調整を余儀なくされており、代わりに抜擢された19歳の若人は今シーズン育成からトップチームへと昇格を果たすと、2月にUCIヨーロッパツアーのレースで優勝、そして今大会直前に行われたUCIプロシリーズの石畳のレース、グランプリ・デ・デナンでも勝利、そしてその勢いのまま第1ステージでUCIワールドツアー初勝利を挙げると、第2ステージでも2位、そして第5ステージで今大会2勝目を挙げて見せた。爆発力のあるスプリントに加え、石畳などの悪路もこなせるタフさも兼ね備えた末恐ろしい新星が誕生した。
ヴォルタ・ア・カタルーニャ各ステージ勝者
第1ステージ:マシュー・ブレナン(ヴィズマ・リースアバイク)
第2ステージ:イーサン・ヴァーノン(イスラエル・プレミアテック)
第3ステージ:ホァン・アユソ(UAEチームエミレーツXRG)
第4ステージ:プリモズ・ログリッチ(レッドブル・ボーラハンスグロエ)
第5ステージ:マシュー・ブレナン(ヴィズマ・リースアバイク)
第6ステージ:クイン・シモンス(リドル・トレック)
第7ステージ:プリモズ・ログリッチ(レッドブル・ボーラハンスグロエ)

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ヴォルタ・ア・カタルーニャ総合順位
優勝:プリモズ・ログリッチ(レッドブル・ボーラハンスグロエ) 24h46’21”
2位:ホァン・アユソ(UAEチームエミレーツXRG) +28”
3位:エンリック・マス(モビスター) +53”
4位:ミケル・ランダ(ソウダル・クイックステップ) +54”
5位:レニー・マルチネス(バーレーン・ヴィクトリアス) +1’00”
6位:ローレンス・デ・プラス(イネオス・グレナディアス) +1’20”
7位:イーガン・ベルナル(イネオス・グレナディアス) +1’31”
8位:レナート・ファン・エートフェルト(ロット) +1’33”
9位:サイモン・イェーツ(ヴィズマ・リースアバイク) +1’46”
10位:リチャード・カラパズ(EFエデュケーション・イージーポスト) +1’59”
H.Moulinette