ミラノ~サンレモ2025:モニュメントを制したのはファン・デル・ポエル!ポガチャル、ガンナとの三つ巴スプリントを制して大会2勝目でモニュメント通算7勝目!ポガチャルはアタック連発も降り切れず


©Milano Sanremo
壮絶なモニュメントだった。歴代最強のタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツXRG)、世代最強のクラシックレーサーのマシュー・ファン・デル・ポエル(アルペシン・ドゥクーニンク)、世代最強のTTスペシャリストのフィリッポ・ガンナ(イネオス・グレナディアス)の三つ巴となったゴール勝負は歴史に残る名勝負となった。そしてスプリント勝負までもつれた勝負は、スプリントと勝負勘、瞬間的な爆発力と持続力を持ち合わせたファン・デル・ポエルが先行スプリントからの逃げ切りで大会2勝目を挙げた。これでチームとしてはヴァン・デル・ポエルとヤスパー・フィリップセン(アルペシン・ドゥクーニンク)の2人でモニュメント3連覇という偉業を達成した。またファン・デル・ポエルはこれでモニュメント通算7勝目、クラシックレースは通算13勝目となった。モニュメントでは19回出場して7度の優勝は勝率37%、トップ3フィニッシュが驚異の63%と圧倒的な強さを見せている。

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289㎞の長丁場のレースの勝負どころは、残り30㎞からのチプレッサの丘、そこでポガチャルが仕掛けるのは明確だった。そしてその通りティム・ウェレンス、ヨナタン・ナルバエス(共にUAEチームエミレーツXRG)の2人の鬼引きから残り24.6㎞でアタックを決めると、一気に集団は崩壊する。ポガチャルに対応できたのはファン・デル・ポエルとガンナのみだった。3人となったがそれでもポガチャルはさらにアタックを繰り返し、何とかファン・デル・ポエルを振り切ろうとする。ガンナはその都度遅れるが、惑わされることなくマイペースで何度も追いついていく。
追走が集団を形成し1分弱で推移する中、残り10㎞で最後の勝負所ポッジオの丘に入ると、すぐさままたしてもポガチャルがアタックを決める。だがここでもファン・デル・ポエルは対応、そしてガンナはマイペース走法に切り替える。ここでもポガチャルが何度も仕掛けるが決まらず、そして逆に残り6.1㎞でファン・デル・ポエルがアタックを仕掛けると、ポガチャルも反応する。だが僅かだがここでポガチャルに疲れが感じられる。2車体差ほど開きながらも何とか食らいつき追いつくと、そのままポッジオの頂上を超えていく。
そして下りに入るとガンナが猛追し徐々にその差を詰めてくる。ポガチャルとファン・デル・ポエルも追いつかれまいと懸命に距離を保とうとするが、ゴール勝負を見据えて協調体制に綻びが生じる。そして残り1㎞を切り残り600mで遂にガンナが合流を果たす。そして3つ巴でお互いの距離を保ちながら仕掛けのタイミングを伺ったが、ここでポガチャルの戦略に遂に遂に隙が生じる。コース左端で先行していたファン・デル・ポエルはコース右側後方に位置取るポガチャルとの距離が自分が勝てると確信が持てる3車体ほどに広がったことを確認すると、ポガチャルが仕掛ける前に先行して残り300mでスプリントを開始する。

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ガンナとポガチャルはそれに反応してスプリントを開始するが、3者のスプリント力は拮抗、そうなれば先行したものに利があった。ファン・デル・ポエルはそのまま一気にゴールラインを先頭で駆け抜けた。ガンナは惜しくも2位、だがクラシック系ライダーとしても戦えるポテンシャルを見せつけた。そして今シーズンも絶好調で無双に感じられたポガチャルだったが、仕掛けどころの上りが2回と少ないミラノ・サンレモではその走りはライバルに封じられる結果となった。
「正直今日は朝から寒くて、勝ちにこうとは思えなかったんだよ。ポガチャルが狙ってきているのはわかっていたし、彼が強いのは周知の事実だからね。でも結果的にチームとしての大会3連覇というユニークな記録を達成できたね。チプレッサでは間違いなくポガチャルが一番速かったよ。あのアタックはライバルとしてしてしびれたね。何度もアタックに対してカウンターを仕掛けようと思ったんだけど、彼が速すぎて。でも最後はガンナとポガチャルが僕がぎりぎりまで引っ張りたいのだろうと予想してロングスパート勝負に持ち込もうとしている雰囲気があったから、あえて先に仕掛けたんだよ。彼らは面食らっただろうね。」ファン・デル・ポエルは勝利後に三つ巴の勝負を振り返り語った。
2位に入ったガンナは、「彼らのペースに食らいついていったけど、お陰で寿命が縮んだよ。」といかにポガチャルとファン・デル・ポエルの空中戦が激しいものだったのかを語った。
3位以降の争いはスプリント勝負となり、マイケル・マシューズ(ジェイコ・アルーラ)、カデン・グローヴス(アルペシン・ドゥクーニンク)、マグナス・コルト(UNO-Xモビリティ)と上れるスプリンターたちが続いた。

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ミラノ~サンレモ2025順位
優勝:マシュー・ファン・デル・ポエル(アルペシン・ドゥクーニンク) 6h22’53”
2位:フィリッポ・ガンナ(イネオス・グレナディアス)
3位:タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツXRG)
4位:マイケル・マシューズ(ジェイコ・アルーラ) +43”
5位:カデン・グローヴス(アルペシン・ドゥクーニンク)
6位:マグナス・コルト(UNO-Xモビリティ)
7位:マッズ・ペデルセン(リドル・トレック)
8位:オラフ・クーイ(ヴィズマ・リースアバイク)
9位:マッテオ・トレンティン(チュードル・プロサイクリング)
10位:フレッド・ライト(バーレーン・ヴィクトリアス)
H.Moulinette