パリ~ニース2025:総合はヨルゲンセンが連覇、ヴィンゲガードは第5ステージでの落車で念のためリタイアで再調整へ、昨年ブエルタ総合7位のリポウィッツが総合2位、メリエールはステージ2勝


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春の最大級のステージレースパリ~ニース、グランツール総合系選手の出場が比較的少なく、総合優勝争いはヨナス・ヴィンゲガード(ヴィズマ・リースアバイク)圧倒的有利かに思われた。しかし総合首位で迎えた第5ステージで思わぬ落車に見舞われたヴィンゲガードは最後の上り勝負で苦戦、ステージを完走するもチームメイトのマッテオ・ヨルゲンセン(ヴィズマ・リースアバイク)に総合リーダーの座を明け渡し、そのままその遺志を継いだヨルゲンセンが見事に大会連覇を達成して見せた。

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昨年度この大会で一気にその才能を開花させ総合優勝を成し遂げたヨルゲンセンは、、ステージ優勝こそ第3ステージのチームTTのみだったが、このステージでまずは総合リーダージャージを獲得する。しかし翌日のステージでチームメイトのヴィンゲガードにそのジャージを明け渡すが、第5ステージのヴィンゲガードの落車で再び総合リーダージャージを手にする。

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本来ヴィンゲガードでの総合優勝を狙う予定だったヴィズマ・リースアバイクだが、彼のリタイア後の第6ステージでは総合リーダーに躍り出たヨルゲンセンを中心として横風区間を利用した分断作戦を残り60㎞で仕掛ける。これが見事にはまり総合上位勢が軒並み脱落、僅か16名でのゴールとなった。このステージでジョアオ・アルメイダ(UAEチームエミレーツXRG)やレニー・マルチネス(バーレーン・ヴィクトリアス)といった強豪勢がタイムを失い、これによりヨルゲンセンの総合リーダーの座は揺ぎ無いものとなった。
チームはヴィンゲガードとヨルゲンセンの2名を表彰台に上げる戦略だったが、それが無くなったことで第6ステージではコースを確認したうえで戦略変更を決定、力勝負でライバルたちをまとめて蹴落とすチーム戦略に出た。「バスの中で戦略を練ったんだよ。今日みたいな悪天候の中での仕掛けはチーム力があってこそだし、いい経験になったよ。」ヨルゲンセンはチームとしての試みを評価した。

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最終第8ステージでは残り12.5㎞で飛び出したマグナス・シェフィールド(イネオス・グレナディアス)を追走、ステージ2位に入りライバル達との差を大きく広げ、見事に大会連覇を成し遂げた。シェフィールドはこれがワールドツアー初勝利となった。期待の新人はまだ22歳だけに、これからの活躍が楽しみだ。
総合2位には昨年度のブエルタ・ア・エスパーニャで総合7位に入り躍進を遂げたフロリアン・リポウィッツ(レッドブル・ハンスグロエ)が入った。総合トップ3がステージ勝利なし、そして総合4位から6位までがステージ勝者という珍しい形となったが、結局大会を通して安定した走りを見せ、第6ステージのヴィズマ・リースアバイクの奇襲に耐えたリポウィッツとサイメン・アレンスマン(イネオス・グレナディアス)が総合表彰台を獲得する形となった。

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スプリンターバトルでは第1と第2ステージを連続勝利したティム・メリエール(ソウダル・クイックステップ)とマッズ・ペデルセン(リドル・トレック)が好調を維持している。ペデルセンは第8ステージでは逃げにも乗るなど積極的な走りを見せており、クラシックタイトルも視野に入れた走りをしている。
なお落車したヴィンゲガード擦過傷と打撲でしばらくの静養の後、次のレースへ向けて調整をすることなりそうだ。グランツールへ向け昨年は最終調整で落車で躓いた経緯があるだけに、この時期の落車が今後にどのような影響を与えるかが気になるところだ。タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツXRG)は落車したストラーデ・ビアンケで優勝、それに対してヴィンゲガードはリタイア、果たして二人が持ち合わせるべき「勝てるもの」が持つ「運」は今シーズンどちらにより多く微笑むのだろう。

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「このレースのことをこの4か月間間考え続けていたよ。ベストを尽くして勝利できたのは本当に安堵できるよ。今回の勝利はチームの勝利だよ。とにかくアシストに守られていたし、今日の最終局面以外は本当にチームの力を感じたよ。それがこのタイム差となって表れているよ。そんな大会を2連覇できたなんて本当に信じられないよ!」勝者となったヨルゲンセンはとにかくチームのおかげだと何度も口にし続けた。
パリ~ニース2025ステージ勝者
第1ステージ:ティム・メリエール(ソウダル・クイックステップ)
第2ステージ:ティム・メリエール(ソウダル・クイックステップ)
第3ステージ:ヴィズマ・リースアバイク(チームTT)
第4ステージ:ジョアオ・アルメイダ(UAEチームエミレーツXRG)
第5ステージ:レニー・マルチネス(バーレーン・ヴィクトリアス)
第6ステージ:マッズ・ペデルセン(リドル・トレック)
第7ステージ:マイケル・ストーラー(チュードル・プロサイクリング)
第8ステージ:マグナス・シェフィールド(イネオス・グレナディアス)
パリ~ニース総合順位
優勝:マッテオ・ヨルゲンセン(ヴィズマ・リースアバイク) 26h26’42”
2位:フロリアン・リポウィッツ(レッドブル・ハンスグロエ) +1’15”
3位:サイメン・アレンスマン(イネオス・グレナディアス) +1’58”
4位:マグナス・シェフィールド(イネオス・グレナディアス) +2’17”
5位:マイケル・ストーラー(チュードル・プロサイクリング) +3’03”
6位:ジョアオ・アルメイダ(UAEチームエミレーツ) +3’57”
7位:クレモン・シャンプーサン(XDSアスタナ) +4’00”
8位:ハロルド・テハダア(XDSアスタナ) +4’53”
9位:トビアス・フォス(イネオス・グレナディアス) +4’59”
10位:イラン・ファン・ワイルダー(ソウダル・クイックステップ) +5’26”
H.Moulinette