UAEツアー2025:史上最強男、世界チャンピオンのポガチャルが3度目の総合優勝、今年も最強継続へ向け順調な滑り出しで通算91勝、ヨーロッパチャンピオンのメリエールもスプリントで2勝


©UAE tour
現役でありながら歴代最強と言われる世界チャンピオンのタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツXRG)がチームの地元UAEツアーで今シーズンも順調な仕上がり具合を見せている。オープニングのスプリントステージ、個人TTを終えて迎えた第3ステージの山頂ゴールでチームメイトのジェイ・ヴァイン(UAEチームエミレーツXRG)のアシストからの余裕の勝利を見せると、第5ステージでは掟破りの総合リーダージャージを着て逃げに乗るまさかの展開を演出、100㎞以上にわたり逃げ続けて中間スプリントでボーナスタイムを獲得した。そして第7ステージでは山頂まで7.6㎞でアタックを決めると独走でゴールラインを駆け抜けた。これで総合2位のギウリオ・チッコーネ(リドル・トレック)に1分14秒の大差をつけての圧勝での3度目の総合優勝を手中に収めた。今大会でステージ2勝と総合優勝で通算勝利数も91勝となり、今シーズン中の100勝は時間の問題となってきた。

©UAE tour
今大会では第1ステージで総合10位につけると、第2ステージで総合3位へとジャンプアップ、第3ステージで総合首位に躍り出ると、あとは最後までクルージングのように総合首位を守り切って見せた。今大会で見せた走りは圧倒的、余裕を持っての駆け引きとその表情は、明らかに100%の出力を出していなかった。それでも勝ててしまうのは、純粋に個人として強いだけではなく、チーム力の高さ、そしてさらに言えばいかに戦略的に無駄なく走り切るかというところまで、全てがグランツールへのシミュレーションだったように感じられた。

©UAE tour
「今日は多くの選手が何かをしようと狙っているのはわかっていたよ。まずは横風区間で動きがあって混沌としたんだよね。そこで協調体制はないだろうと踏んでいたんだけど、結果的に協調が発生してそれが僕にとってレースを楽なものにしてくれたよ。正直最後の上りまでゆっくりいけたらそれでよかったんだけど、結果的にこの協調したメンバーがペースを上げていったからね。僕もアシストが常にサポートしてくれたので余裕だったよ。最後も山岳要員がいなくなって平坦要員のアシストだけになってしまったので、先に仕掛けたんだよ。途中カウンターアタックとかされても嫌だったから、一気に勝負に出たんだよ。そうしたほうが自分のペースで上り切れるからね。」ポガチャルは最終ステージでも最後まで余裕の表情での走りとなった。

©UAE tour
そんな大会をもう一つ盛り上げたのがスプリンターたちの競演だ。ヨナタン・ミラン(リドル・トレック)とヨーロッパチャンピオンのティム・メリエール(ソウダル・クイックステップ)がそれぞれ2勝ずつを挙げ、今シーズンのスプリント覇権の主役になりうることを示して見せた。
第2ステージでは21歳のジョシュア・ターリング(イネオス・グレナディアス)がステファン・ビセガー(デカスロンAG2Rラモンディアル)とポガチャルを抑えてトップタイムを叩き出した。イギリスは代々TTが速い選手が多く、ターリングも間違いなくその系譜に属しており、今後の活躍が楽しみな存在だ。
また注目の大物新人フィン・フィッシャー・ブラック(レッドブル・ハンスグロエ)は総合7位とまずまずの順位で走り切って見せた。実力を考えればもっと上の順位も期待されたが、まだシーズン序盤という事もあり様子を見ながらのようだ。
UAEツアーステージ勝者
第1ステージ: ジョナサン・ミラン(トレック・セガフレド)
第2ステージ: ジョシュア・ターリング(イネオス・グレナディアス)
第3ステージ: タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツXRG)
第4ステージ: ジョナサン・ミラン(トレック・セガフレド)
第5ステージ: ティム・メリエール(ソウダル・クイックステップ)
第6ステージ: ティム・メリエール(ソウダル・クイックステップ)
第7ステージ: タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツXRG)

©UAE tour
UAEツアー総合順位
優勝: タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツXRG) 3h44’04”
2位 ギウリオ・チッコーネ(リドル・トレック) +33”
3位 ペッロ・ビルバオ(バーレーン・ヴィクトリアス) +35”
4位 イヴァン・ロメオ(モビスター) +49”
5位 オスカル・オンリー(チームピクニック・ポストNL) +1’16”
6位 パブロ・カストリロ(モビスター) +1’25”
7位 フィン・フィッシャー・ブラック(レッドブル・ハンスグロエ) +2’05”
8位 ジュニア・レサーフ(ソウダル・クイックステップ) +2’11”
9位 パトリック・コンラッド(リドル・トレック) +2’33”
10位 ラムセス・デブルイン(アルペシン・ドゥクーニンク) +2’51”
H.Moulinette