シクロクロス世界選手権2025:新級王者対決はファン・デル・ポエルに軍配で7度目の虹!ファン・アールトは銀に沈む、銅は鉄人ネイスの息子ティボー・ネイス!ロードで活躍の3人が表彰台独占

昨今シクロクロスからロードへの転向組がロードレースでも結果を残しているケースが非常に増えた。そして彼らはとてつもなくハードでストイック、タフであり、ロードシーズン終了後にそのままシクロクロスシーズンへと突入し、1年間全く休みの無いままにシーズンを送っている。そして2025シーズンのロード開幕後に迎えたシクロクロス最終戦である世界選手権2025は そんなロード転向組が表彰台を独占する形となった。

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今やロードレースを代表する選手となったマシュー・ファン・デル・ポエル(オランダ)とワウト・ファン・アールト(ベルギー)は、共にシクロクロス世界王者に複数回輝いている最強の2人がそろい踏みとなった今年の大会だったが、年間シリーズので決まるスタート位置の差が、そのまま結果へとつながってしまった。ファン・デル・ポエルはファン・アールトに1分以上の大差をつけて7度目の世界チャンピオンに輝いた。これで1960年代から70年代にかけて無双したエリック・デ・フラミニックの7度にならび、シクロクロス歴代最多アルカンシエル(虹色ジャージ)獲得となった。

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一列目に陣取ったファン・アールトが最高のポールショットを決めたのに対し、ファン・アールトは前にいる選手たちをかわしていかなければならない状況、それを理解したうえでファン・デル・ポエルはスタートから全力で仕掛ける大博打に打って出る。なんとこれで勝負あり、4列目スタートで途中落車も喫してしまい1周目を46秒差の16位で通過したファン・アールトはここから猛追で2位まで順位を上げたが、最後までこの広がった差が縮まることはなかった。同じ力量の2人だからこそ明暗を分けたスタート位置の差だった。

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そして2度の世界チャンピオンに輝いたシクロクロスの鉄人鉄人スヴェン・ネイスの息子、ティボー・ネイス(ベルギー)が粘りの走りで3位に入った。終盤昨年度銀メダルのヨリス・ニウエンハイス(オランダ)に追いつくと、そのまま振り切り念願の表彰台を獲得して見せた。Tネイスは2023年シーズンからトレック・セガフレドでロードに進出すると、昨年度はツール・ド・ハンガリーでの総合優勝を筆頭に、ツール・ド・ロマンディやツール・ド・スイスといった主要レースで8勝を挙げ大躍進を遂げた。ファン・デル・ポエルとファン・アールトを一回りこじんまりしたような感じではあるが、間違いなく先輩二人に続いてのシクロクロスからの刺客としてその名をさらに轟かせていきそうだ。
そして4位に終わった ニウエンハイスだが、こちらはロードで活躍ができずにシクロクロスに出戻ってから遅咲きの急成長を遂げているだけに、再びロードシーンに帰ってくる可能性もある。また5位にはファン・デル・ポエルのチームメイトの22歳、エミール・フェルストリンゲ(ベルギー)が入った。2022年のU-23 シクロクロス世界選手権銀メダリストは着実に成長を見せている。

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マシュー・ファン・デル・ポエル:「昨日U-23でチームメイトのティボー・デル・グロッソが勝ったのを見ていて、先行できるなら自分のペースで行ってしまうのがベストだと思ったんだ。特に今回のコースはトリッキーで泥が絡んで走りにくいコースだったからね。手段内でペダルが嵌るかなんて足元にも気を配りながらレースをするのは神経が磨り減るからね。スタートがうまく切れたから、あとは一気に引き離してライバルたちを諦めさせようと思ったんだよ。まあそれがハマったね。序盤にパンクしてそのまま一周走らなければならなくてしんどかったけど、バイク交換の際にタイヤのプレッシャーを上げてもらって、あとは丁寧に走り切るだけだったよ。」

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シクロクロス世界選手権2025
金メダル マシュー・ファン・デル・ポエル(オランダ) 1h02’44”
銀メダル ワウト・ファン・アールト(ベルギー) +45”
銅メダル ティボー・ネイス(ベルギー) +1’06”
4位 ヨリス・ニウエンハイス(オランダ) +1’15”
5位 エミール・フェルストリンゲ(ベルギー) +1’53”
6位 トゥーン・アールツ(ベルギー) +1’56”
7位 ミカエル・ファントゥーレンハウト(ベルギー) +2’00”
8位 ヨラン・ワイスーレ(ベルギー) +2’03”
9位 ラース・ファン・デル・ハール(オランダ) +2’09”
10位 ローレンス・スウィーク(ベルギー) +2’28”
H.Moulinette