UCIグラベル世界選手権2024:男子はファン・デル・ポエルが新たなアルカンシエル獲得!ポガチャルばりの独走勝利で圧巻勝利!女子もオランダのフォスが勝利でこちらも最強の称号アップデート
タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ)の強さばかりに焦点が行きがちだが、世代最強と言えばマシュー・ファン・デル・ポエル(オランダ)も忘れてはならない存在だ。総合系の選手ではないだけに、ポガチャルと比較されると難しいところがあるがポガチャルが史上最強のロード選手ならばファン・デル・ポエルは史上最強のオールラウンドサイクリストという称号がふさわしいかもしれない。MTBヨーロッパ王者(世界選手権では3位が最高)、シクロクロス世界王者(6回)、ロード世界王者、そして今回のグラベル世界王者で、トラック競技以外の主たる自転車競技全で結果を残したこととなる。オンロード・オフロード両方の自転車競技でその強さを発揮、まさにバーサタイルなその強さは最強の称号にふさわしい一人だろう。
先日の世界選手権ロードではポガチャルの独走を許し、世界選手権連覇が潰えてロードのアルカンシエルを失ったが、そのお返しとばかりにグラベルではファン・デル・ポエルが何度となく仕掛けて先頭集団の人数を減らしていくと、最後は残り13.5㎞でアタックを決めてゴールまで逃げ切って見せた。圧倒的数的優位に立つベルギー勢に対して、躊躇なくアタックを仕掛ける攻撃スタイルは、まさにロードのポガチャルの「攻撃は最大の防御」を実践したかのような見事な力技だった。
182㎞のこの日のレース、まずはスタートから60㎞程で最初のアタックを決めると、これにより先頭集団はあっさり16名に絞られてしまう。それでも数的優位に立つベルギーはこの中に7名を残すこととなる。しかしさらにアタックを繰り返し先頭集団はわずか7名にまで絞られる。この段階でも連覇を狙うマテイ・モホリッチ(スロヴェニア)、コーナー・スイフト(イギリス)とファン・デル・ポエルに対して4名のベルギー人選手が残り数的優位は揺るがない。さらにアタックを仕掛け一時はスイフトとファン・デル・ポエルの二人逃げとなりかけるが、ベルギー勢が必至の追走で何とかこれを吸収する。
すると残り40㎞で昨年度銀メダルのフロリアン・フェルメーシュ(ベルギー)がアタック、これにファン・デル・ポエルは反応、ここから二人旅が始まる。そして残り13.5㎞、フェルメーシュの速度が上がらないと見るや強烈なアタック一撃、これで勝負あり、まったく追うこともできなかったフェルメーシュは2年連続の銀メダルとなった。そして銅メダル争いもベルギー3人対イギリスとスロヴェニアとなったが、クインテン・ヘルマンス(ベルギー)が制した。さらには4,5位、8位から11位もベルギー勢が占め、グラベル最強国としての面目を保った。
グラベル世界選手権男子
金メダル マシュー・ファン・デル・ポエル(オランダ) 4h41’23”
銀メダル フロリアン・フェルメーシュ(ベルギー) +1’03”
銅メダル クインテン・ヘルマンス(ベルギー) +3’47”
4位 ヤスパー・ストゥーヴェン(ベルギー)
5位 ジャンニ・フェルメーシュ(ベルギー)
6位 コナー・スイフト(イギリス)
7位 マテイ・モホリッチ(スロヴェニア)
8位 ティム・メリエール(ベルギー) +4’15”
9位 ティモ・キーリッヒ(ベルギー)
10位 トゥーン・アールツ(ベルギー)
そして女子でも37歳の大ベテランマリアンヌ・フォス(オランダ)がグラベル初制覇、こちらも史上最強女子といわれるフォスが制した。これでオランダ勢は男女ともに頂点に立つこととなり、圧倒的選手層を誇るベルギーに対して力の差を見せつけた形だ。フォスはこれでロード世界王者(3回)、ロード五輪金メダル(1回)、シクロクロス世界王者(8回)、トラック競技世界王者(2回)、トラック五輪金メダルに加えて、新たにグラベル世界王者も獲得、ファン・デル・ポエルのMTBの代わりにトラック競技でも結果を残しておりまさにオールラウンドに様々な競技でその強さを結果として残している。
残り50㎞で最強ライバルで先日のロード世界選手権覇者のロッテ・カペッキー(ベルギー)と二人旅となるが、こちらも最強ベルギーの一角を担うカペッキーは積極的に協調はしない。またロードシーズン中とは異なるバイクに乗って出場しているカペッキーは体への負担があるのか何度となくストレッチを繰り返す。残り5㎞からはほとんどフォスが先頭を引くこととなったが、それでも年齢で9つ上の最強姉御ライダーは最強だった。最後はスプリント勝負となったが、残り100mでフォスが豪快にスプリントを開始すると、そのまま一気にゴールラインを駆け抜けて見せた。フォスに次ぐ女子最強継承者として名前が挙がっているカペッキーだが、フォスはまだまだその称号は譲らないという姿勢を見せた。こちらはオランダがトップ10に6人が入り、オランダが最強国となっている。
グラベル世界選手権女子
金メダル マリアンヌ・フォス(オランダ) 4h01’07”
銀メダル ロッテ・カペッキー(ベルギー) +01”
銅メダル ロレナ・ウィーベス(オランダ) +3’57”
4位 パック・ピータース(オランダ) +4’09”
5位 ロミー・カスパー(ドイツ) +4’15”
6位 ソラヤ・パラディン(イタリア) +6’00”
7位 リエンヌ・マーカス(オランダ) +6’04”
8位 フェムケ・マーカス(オランダ) +8’52”
9位 エマ・ノースガード(ノルウェイ)
10位 ルシンダ・ブランド(オランダ)
H.Moulinette