世界選手権へ向けて順調な仕上がり!カナダ遠征のポガチャルはケベックで勝利を逃したが、モントリオールで独走勝利!世界選手権でトリプルクラウンを狙う!最大ライバルは?
今年のポガチャルはまさに無双状態だ。総合系でありながら今シーズンすでに21勝、まるでスプリンターのように勝利を積み重ねている。そして世界選手権への調整で挑んでいるカナダ遠征、グランプリ・シクリスト・デ・ケベックでは残り2.2㎞でアタックを仕掛け独走勝利を狙ったが失敗、スプリント勝負となり7位に沈んだ。これはポガチャルとしては、ワンデイレースでは2022年以来となるワースト順位となった。「失敗した」と語ったことからも仕掛けるタイミングを見誤ったが、次戦のグランプリ・シクリスト・デ・モントリオールではラファル・マイカのアシストから最後の上りでアタック、10秒差で頂上を超えるとそのまま下りでもぐんぐんと差を広げ、単独で追走してきたペッロ・ビルバオ(バーレーン・ヴィクトリアス)を抑え独走勝利を挙げた。これでチームは2022年のポガチャル、2023年のアダム・イェーツ(UAEチームエミレーツ)に続いての3連覇となった。
異なる展開で異なる仕掛けを見せたポガチャル、今年は世界選手権を狙うために、史上初のグランツールスイープを捨ててまで照準を合わせてきている。狙うはジロ・デ・イタリア、ツール・ド・フランス、そして世界選手権、つまりグランツール2勝と世界選手権のトリプルクラウンだ。
このトリプルクラウンを達成しているのは1974年のエディ・メルクスと1987年のステファン・ロッシュのみだ。またグランツール2勝のダブルツール(ジロ・デ・イタリア、ツール・ド・フランス、ブエルタ・ア・エスパーニャのうち2勝)を達成しながらも、世界選手権を勝利できなかった、トリプルクラウンまであと一歩と迫ったのはファウスト・コッピ、べルナール・イノー、ミゲル・インデュライン、ジャック・アンクティル、ジョバンニ・バッタリン、マルコ・パンターニ、アルベルト・コンタドール、クリス・フルームだ。どちらにしてもそこに名を連ねているのは「超一流名選手」ばかりだ。
果たしてポガチャルはトリプルクラウンに届くのだろうか?その最大ライバルとなりそうなのが大会連覇を狙うマシュー・ファン・デル・ポエル(オランダ)だろう。だがそれだけではない、最大のライバルになりうる存在は身近にもいる。同じUAEチームエミレーツのチームメイトであるマルク・ヒルシ(スイス)が絶好調なのだ。オリンピック以降出場したワンデイレースで5連勝中と勢いに乗っているのだ。来シーズンからチュードル・プロサイクリングへの移籍も決まっている26才は、クラシカ・サンセバスチャン、ブルターニュ・クラシックのワールドツアーレースを連勝すると、その勢いのままにGPインドゥストリア・エ・アルティジャナート、コッパ・サバティーニ、メモリアル・マルコ・パンターニと名だたる大会をすべて力でねじ伏せた。新チーム移籍に際して、世界チャンピオンジャージは最高の手土産となるだけに、普段のチームメイトに牙を剥きそうだ。
あとわずかに迫った世界選手権、今年は見ごたえがありそうだ。
H.Moulinette