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ポイント賞リーダーのワウト・ファン・アールト（ヴィズマ・リースアバイク）に大きく水をあけられていたカデン・グローヴス（アルペシン・ドゥクーニンク）、今大会のポイント賞ジャージダッシュはほぼ不可能に思われたが、ファン・アールトのリタイアというまさかの結果を受け、棚ぼたでポイント賞ジャージを奪取した。だがそれをいつまでも棚ぼたと言わせないためにも、自らの力を明確に示す必要性があった。そしてスプリンター向けのステージと言われたこの第17ステージ、ゴール勝負で圧倒的な存在感を見せ今大会3勝目を挙げた。

総合勢では昨日総合リーダーの座を守り抜いたオコナーだったが、レース主催者が昨日のゴール後のオコナーを数百メートル先の表彰台へエスコートしなかったことで、オコナーは勘違いして山を下ってしまった。結局警察にエスコートされ大幅に遅れて表彰式を執り行ったが、この行為が侮辱行為と取られて罰金とUCIポイント20ポイント剥奪の処分となった。霧で視界も悪く、また誘導がなかったことを考えればただの不可抗力の不運としか言いようがないが、このステージスタート前にもそのことをぼやいていた。

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そんな第17ステージは僅か141.5㎞のショートステージ、スプリンターたちにとっては数少ない輝ける場所だけに、数少ないスプリンター達は必死にゴールを目指した。雨が路面を濡らしリスクが増す中でも、勝利を考えればそれはとるべきリスクとばかりにレースは激しく動く。

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この日の逃げは僅か4名、しかしこの日はスプリント勝負に持ち込みたいアルペシン・ドゥクーニンクがメイン集団をコントロール、常に射程圏内で展開して大きなタイム差を許さない。残り50㎞で4分ほどの差があったが、アルペシン・ドゥクーニンクに加え、チームDSMフィルメニッヒ・ポストNL、エキッポ・ケルンファルマらが協力し、ぬれた路面の上を平均時速47㎞で追い込んでいく。それにより残り25㎞では1分半にまでその差が縮まるが、ここから逃げが更なるリスクを負ってペースを上げる。

そして残り8㎞で30秒までその差を縮めると、ようやくこの日のスプリント勝負が見えてきた。更にこの日設定された救済措置エリアは残り5㎞、つまり総合勢がこれに合わせてペースアップし安全圏を目指したことで、この日の逃げは風前の灯火となった。

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しかしここで新たな動きが発生する。マックス・プール（チームDSMフィルメニッヒ・ポストNL）、マウロ・シュミット（ジェイコ・アルーラ）、ヴィクトル・カンペナールツ（ロット・デスティニー）が逃げを目の前にアタックを敢行、一気に先頭に躍り出てレースを混沌へと導く。そしてこの逃げはパワフルだった。懸命にスプリントへと持ち込もうとするアルペシン・ドゥクーニンクの目の前を3名はゴールライン目前まで逃げ続けた。だが本業のスプリンターの加速は想像以上に早かった。

あっという間に先頭に躍り出ると、そのまま力で豪快にねじ伏せて勝利をものにした。今大会すでに1勝を挙げているビットナーも粘ったがステージ2位、そしてヴィト・ブラエ（インターマルシェ・ワンティ）が3位に入り、ポー・ミケル（エキッポ・ケルンファルマ）、コルビン・ストロング（イスラエル・プレミアテック）がそれに続いた。最後に大博打を狙った3人は、6位にカンペナールツが入るのがやっとだった。

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カデン・グローヴス（ステージ1位、ポイント賞）
「今日はハードだったね。でもチームがうまくコントロールしてくれたよ。でも雨がリスクを増していたので緊張したよ。実質今日が僕が勝利を狙える最後のステージだったから、チームが意気込んでくれて、それがモチベーションにつながったよ。だから今大会3勝目でそれに報いることができたんじゃないかな。」

ブエルタ・ア・エスパーニャ第17ステージ順位
1位　カデン・グローヴス（アルペシン・ドゥクーニンク）　　　3h32’14”
2位　パヴェル・ビトナー（チームDSMフィルメニッヒ・ポストNL）
3位　ヴィト・ブラエ（インターマルシェ・ワンティ）
4位　ポー・ミケルエキッポ・（ケルンファルマ）
5位　コルビン・ストロング（イスラエル・プレミアテック）
6位　ヴィクトル・カンペナールツ（ロット・デスティニー）
7位　エドワード・プランカート（アルペシン・ドゥクーニンク）
8位　マティス・レ・ベレ（アルケアB＆Bホテルズ）
9位　アリアン・リヴェンス（ロット・デスティニー）
10位　シャビエル・ベラサテギ（エウスカルテル・エウスカディ）

ブエルタ・ア・エスパーニャ総合順位
1位　ベン・オコナー（デカスロンAG2Rモンディアル） 　　　68h41’14”
2位　プリモズ・ログリッチ（レッドブル・ボーラハンスグロエ）　　　＋05”
3位　エンリック・マス（モビスター）　　　＋1’25”
4位　リチャード・カラパズ（EFエデュケーション・イージーポスト）　　　＋1’46”
5位　ミケル・ランダ（T-REX・クイックステップ）　　　＋2’18”
6位　ダビ・ガウドゥ（グルーパマFDJ）　　　＋3’48”
7位　カルロス・ロドリゲス（イネオス・グレナディアス）　　＋3’53”
8位　マティアス・スケルモース（リドル・トレック）　　　＋4’00”
9位　フラン・リポウィッツ（レッドブル・ボーラ・ハンスグロエ）　　　＋4’27”
10位　パヴェル・シヴァコフ（UAEチームエミレーツ）　　　　＋5’19”

H.Moulinette