ブエルタ・ア・エスパーニャ2024第4st:7人での山頂スプリントを制したログリッチが総合リーダーに!アルメイダ、ランダらも奮闘、最大勾配20%越えの山頂勝負でクス、ロドリゲスらが苦戦
第4ステージにして今大会最初の総合勢直接バトルとなったステージは明暗がくっきりと分かれた。最大勾配20%越えの激坂がゴール前で選手たちを大きく苦しめた。そんな中駆け引きの中から逃げ出した7人によるスプリントバトルとなったが、地力あるプリモズ・ログリッチ(レッドブルボーラハンスグロエ)が4度目のブエルタ制覇へ向け好調さを見せ勝利した。ステージ2位にはレナート・ファン・イートフェルト(ロット・デスティニー)が僅差で入ったが、最後一瞬自らの勝利を確信したかのように手を挙げかけたところで外側から豪快に駆け上がってきたログリッチに刺される形となった。
残り4.7㎞で逃げを捉えると、フェリックス・ガル(デカスロンAG2Rモンディアル)が飛び出していく。これに反応したのがログリッチ、イートフェルト、エンリック・マス(モビスター)、ジワリと間を詰めるとこの3名がガルに合流を果たす。しかし残り2㎞手前でガルが脱落し、先頭ではマスがペースアップを図る。だがここで後方からジョアオ・アルメイダ(UAEチームエミレーツ)、マシュー・リッチテロ(イスラエル・プレミアテック)がガルを拾いペースアップし、そのまま先頭まで追い付いてくる。このままこの6名による勝負になるかと思われた残り680m、今度はミケル・ランダ(T-REX/クイックステップ)が粘りの走りで更に合流、これで7名の先頭集団となった。
この山頂への上りに入った段階でセップ・クス(ヴィズマ・リースアバイク)、アダム・イェーツ(UAEチームエミレーツ)、カルロス・ロドリゲス(イネオス・グレナディアス)、リチャード・カラパズ(EFエデュケーション・イージーポスト)らが全くペースについていけず順番に脱落、それぞれバラバラでゴールを目指す形となっていた。
そんな中先頭は7人によるスプリントバトルへと突入、一番スプリント力のあるログリッチに対して、イートフェルトが先行して仕掛けた。だが冷静にそれを猛追したログリッチは、ゴールラインでギリギリイートフェルトをかわしてゴール、レッドブル・ボーラ・ハンスグロエと言うチーム名になって初めてのグランツール勝利をチームにもたらした。
これで総合順位も大きく変動、ログリッチが総合1位となり、着慣れたマイヨ・ロホに袖を通した。総合2位にはステージ3位に入ったアルメイダがジャンプアップを果たした。総合3位にはマス、総合4位にはアントニオ・チベリ(バーレーン・ヴィクトリアス)がジャンプアップを果たした。大会連覇を狙うクスは1分14秒遅れの総合13位となっている。
気温38度の酷暑の中、選手たちは乾いた山岳へと進路を取った。そんな第4ステージは序盤から逃げが発生、その中には昨日までの総合6位のマウロ・シュミット(ジェイコ・アルーラ)やブルーノ・アルミレール(デカスロンAG2Rモンディアル)までもが名を連ねる危険な動きとなった。しかしこの動きは危険と判断され抑えられたが、アルミレールは再びアタック、遂に他4人とこの日の逃げを決める。
最大で3分半も度までその差を広げたが、この日はレッドブル・ボーラ・ハンスグロエが明確な意思をもって集団をコントロール、その差をじわじわと詰めていった。しかしそれでもパブロ・カストリロ(エキッポ・ケルンファルマ)と共に逃げ続けたアルミレールは最後まであきらめることなく逃げ続け、ゴールまでの頂上ゴールバトル勃発する残り4.7㎞まで持ちこたえて見せた。
この日ログリッチは積極的に動く予定ではなかったが、チームメイトのお膳立てから先頭集団へとうまく戦略がハマったことで、勝利を狙うこととなった。そして予定してはいなかったようだが、早々とこの段階でステージ勝利と総合リーダージャージを手中に収めた。
プリモズ・ログリッチ(ステージ1位、総合1位)
「今日は骨折箇所(背中)が痛かったんだよね。でもチームがあれだけお膳立てしてくれたらさ、やるしかないじゃない。今日は誰も僕には話しかけてくれなかったんだよね。聞かれていたら、そんなにペースアップしなくても、と言えたんだけど、選択の余地がなかったよ。まあ選手誰しもどの勝利が人生最後の勝利となるかわからないから、とにかく今はこの勝利の余韻に浸っておくよ。」
レナート・ファン・イートフェルト(ステージ2位)
「正直心折れているよ。でも数日したらこの結果が素晴らしいものだと改めて認識できると思う。それに体がよく動いているし、好調なのも分かった。僕個人としても、チームとしてもいい兆候だよね。」
セップ・クス(総合13位)
「きつかったよ。とにかく暑かったしね。それに上り始めでまだ集団が大きすぎて、神経質にならざるを得なかったよ。まあでも今日のステージでは30秒のタイムロスに抑えられたことをよしとしないとね。今日みたいな暑い日は、皆体力温存しながら走っていたよね。オーバーヒート即アウトだからね。ログリッチはブエルタの暑さになれているからね。麓から山頂まで強かったよ。」
ブエルタ・ア・エスパーニャ第4ステージ順位
1位 プリモズ・ログリッチ(レッドブル・ボーラハンスグロエ) 4h26’49”
2位 レナート・ファン・イートフェルト(ロット・デスティニー)
3位 ジョアオ・アルメイダ(UAEチームエミレーツ)
4位 エンリック・マス(モビスター)
5位 フェリックス・ガル(デカスロンAG2Rモンディアル)
6位 マシュー・リッチテロ(イスラエル・プレミアテック)
7位 ミケル・ランダ(T-REX・クイックステップ)
8位 アントニオ・チベリ(バーレーン・ヴィクトリアス) +18”
9位 ジョージ・ベネット(イスラエル・プレミアテック) +28”
10位 パヴェル・シヴァコフ(UAEチームエミレーツ)
ブエルタ・ア・エスパーニャ総合順位
1位 プリモズ・ログリッチ(レッドブル・ボーラハンスグロエ) 14h33’08”
2位 ジョアオ・アルメイダ(UAEチームエミレーツ) +08”
3位 エンリック・マス(モビスター) +32”
4位 アントニオ・チベリ(バーレーン・ヴィクトリアス) +38”
5位 レナート・ファン・イートフェルト(ロット・デスティニー) +41”
6位 フェリックス・ガル(デカスロンAG2Rモンディアル) +47”
7位 ブランドン・マクナルティー(UAEチームエミレーツ) +50”
8位 マティアス・スケルモース(リドル・トレック) +58”
9位 ミケル・ランダ(T-REX・クイックステップ)
10位 アレクサンダー・ヴラソフ(レッドブル・ボーラ・ハンスグロエ) +1’00”
H.Moulinette