ブエルタ・ア・エスパーニャ2024第3st:昨日の借りは今日返す!マイヨ・ロホのファン・アールトがグローヴス撃破でブエルタ初勝利!初出場のブエルタで節目のグランツール10勝目
昨日の借りは今日返す、そんな言葉の通り赤色の総合リーダージャージのマイヨ・ロホに身を包んだワウト・ファン・アールト(ヴィズマ・リースアバイク)はあっさりと昨日の勝者であり緑糸のピンと賞ジャージを着用するカデン・グローヴス(アルペシン・ドゥクーニンク)を撃破しステージ勝利を挙げた。これで初出場のブエルタでのこの1勝を含め通算グランツール10勝目を、総合リーダージャージに身を包んで挙げるという記憶に残る勝利となった。
昨日の真逆となったこのステージ、ゴール前で隊列を組んだのはグローヴスとアルペシン・ドゥクーニンク、ファン・アールトは自らのアシストが先に脱落し、さっさとグローヴスの背後に身を潜める。そして残り200m、速すぎると思われたタイミングでグローヴスの右側、コース中央側へと先に仕掛けると、慌ててグローヴスがアシストの左側へと展開しコース左端を駆け上がる。だが一歩先に仕掛けたファン・アールトが先に進路に入ったため、グローヴスは背後から迫り横に並んだアルネ・マリット(インターマルシェ・ワンティ)を追いやりながら自ら進路をコース中央側へと開いた。しかし時すでに遅し、ファン・アールトはすべてを見越して先に仕掛け完勝、作戦勝ちで、自らの個人スポンサーでもあるレッドブルの”翼を授ける”ポーズを決めた。
そしてステージ3位には猛烈な勢いで先行する二人に迫ったヨン・アベラストゥリ(エウスカルテル・エウスカディ)が入り、UCIプロチームが昨日に続きその存在感を見せている。
そしてUCIプロチームでその存在感を見せたのは同じくエウスカルテル・エウスカディの40歳代ベテラン、ルイ・アンヘル・マテだった。この日は191.5㎞、総獲得標高2471mの山岳ステージのような丘陵ステージ、昨日同様に同じくUCIプロチームのイボン・ルイ(エキッポ・ケルンファルマ)と共に2人で2日連続の逃げを開始する。するとこの日はこの二人それぞれのチームメイトもこの逃げに合流、エウスカルテル・エウスカディとエキッポ・ケルンファルマが2名ずつの4名の逃げとなる。マテは引退前最後のグランツール、印象を残そうとこの日の山岳ポイントをしっかりと取りに行く。昨日は同点ながら、前日の順位でステファン・キュングに奪われていた山岳賞ジャージを、しっかりと狙いに行った。この日の山岳ポイントをきっちりと獲得し山岳ジャージを確定させると、今度はそのチームメイトのシャビエル・イササ(エウスカルテル・エウスカディ)が残り38㎞でアタック、独走で体制へと持ち込む。
しかしこの日もスプリント勝負に持ち込みたい大集団は追走の手を緩めない。残り28㎞でイササを捉えると、そのままアルペシン・ドゥクーニンク、EFエデュケーション・イージーポスト、バーレーン・ヴィクトリアスらがペースアップ、時速50㎞をはるかに超えるペースで激しい主導権争いを繰り広げる。何度となく訪れるラウンドアバウト(ロータリー)、狭くなる道幅、そんなコースをハイスピードで駆け抜けると、この日の救済措置圏内の残り4㎞へと突入する。この日も昨日に続いて勾配のあるゴール、まるでクラシックレースのようなコースはファン・アールトにとってはお手の物、昨日と同じ轍は踏まぬと、昨日グローヴスが行った作戦をそのままお返しした。更には先行ですプリントするタイミングまですべてが図ったかのように鮮やかに決まり、ポルトガル最終日に勝利を決めた。
ワウト・ファン・アールト(ステージ1位、総合1位)
「今年はいろいろとしんどかったから、勝ててあのポーズができてほっとしたよ。2022年にツールでマイヨ・ジョーヌを着用してステージ勝利を挙げたのが、今でも忘れない最高の瞬間だったけど、今回もマイヨ・ロホを着用してのステージ勝利、感慨深いよ。僕はレースによってはエースの座を与えられる、それが6か月間も勝利から遠ざかっていたんだから、この勝利がいかに重いものかがわかるでしょ。今日は昨日の逆を狙って、グローヴスが取った作戦をそのままやり返したんだ。残り200mで仕掛けたときに、彼は驚いていただろうね。明日はクライマーたちの戦いになるから、このジャージを楽しまないとね。喜んでチームメイトのアシストに回るよ。」
ルイ・アンヘル・マテ(山岳賞)
「人は幻想を抱いて生きているんだよ。そして40歳になってもその幻想を抱き続けられるんだよ。」
ブエルタ・ア・エスパーニャ第3ステージ順位
1位 ワウト・ファン・アールト(ヴィズマ・リースアバイク) 4h40’42”
2位 カデン・グローヴス((アルペシン・ドゥクーニンク)
3位 ヨン・アベラストゥリ(エウスカルテル・エウスカディ)
4位 アルネ・マリット(インターマルシェ・ワンティ)
5位 パヴェル・ビトナー(チームDSMフィルメニッヒ・ポストNL)
6位 コルビン・ストロング(イスラエル・プレミアテック)
7位 アリアン・リヴェンス(ロット・デスティニー)
8位 ブライアン・コカード(コフィディス)
9位 アントニオ・ソト(エキッポ・ケルンファルマ)
10位 カルロス・カロル(モビスター)
ブエルタ・ア・エスパーニャ総合順位
1位 ワウト・ファン・アールト(ヴィズマ・リースアバイク) 10h05’59”
2位 ブランドン・マクナルティー(UAEチームエミレーツ) +13”
3位 マティアス・ヴァチェック(リドル・トレック) +15”
4位 ステファン・キュング(グルーパマFDJ) +19”
5位 エドアルド・アフィニ(ヴィズマ・リースアバイク) +21”
6位 マウロ・シュミット(ジェイコ・アルーラ) +29”
7位 プリモズ・ログリッチ(レッドブル・ボーラハンスグロエ) +30”
8位 ブルーノ・アルミレール(デカスロンAG2Rモンディアル) +31”
9位 ジョアオ・アルメイダ(UAEチームエミレーツ) +32”
10位 ネルソン・オリベイラ(モビスター) +33”
H.Moulinette