パリ五輪男女個人TT:ツールで疲れたからとしっかり休養のエヴァネポエルが渾身の走りでガンナを撃破し金メダル!女子を制したのは引退表明しているブラウン!ダントツの走りで金!
パリの街中を駆け抜ける個人TTが行われた。男女ともに雨という悪コンディションの中、女子では落車が頻発し有力候補が苦戦する中、全くノートラブル、ノーミスで走り切ったグレース・ブラウン(オーストラリア)が圧倒的なタイムで金メダルを獲得した。今シーズン限りでの引退を宣言していたベテランが、最後に大きな花火を打ち上げて見せた。オーストラリアにとっては初の女子個人TTでの金メダル獲得となった。東京5輪では4位でメダルを逃したが、2022,2023年の世界選手権の個人TTではそれぞれ銀メダルを獲得、頂点まではあと一歩届いていなかったが、32歳のブラウンが遂に大きな仕事をやってのけた。
銀メダルを獲得したのはアンナ・ヘンダーソン(イギリス)、ブラウンからは1分31秒遅れだったが、ダイガートのタイムをわずか1秒上回り、大金星となる2位のタイムを叩き出した。
TT世界チャンピオンのクロエ・ダイガート(アメリカ)は今大会ロードとトラックで3つの金メダルを狙っていたが、最初の個人TT最初のチェックポイントをブラウンにわずか5秒差で通過したものの、その後のコーナーで落車、そこから攻めたい気持ちと他の競技もあることから無理ができない気持ちの板挟みの中での走行となった。それでも最終的には銅メダルを獲得、さすが世界チャンピオンというところを見せつけた。
男子は年間スケジュールの関係もあり、TTスペシャリストが少なめの寂しい顔ぶれとなった。しかし勝てばオリンピックチャンピオンの称号と金メダルが獲得できるのであれば、それは誰にとってもチャンスだ。男子でもルーク・プラップ(オーストラリア)が落車するなど、滑りやすい路面は選手たちを神経質にさせた。大本命のレムコ・エヴァネポエル(ベルギー)は先日まで行われていたツール・ド・フランスでの激戦を終えた後は、「疲れすぎてベッドでごろごろしている」と語っていたが、しっかりとコンディションを調整、見事最強TTスペシャリストのフィリッポ・ガンナ(イタリア)を抑えて金メダルを獲得して見せた。これで2022年のエリートロード世界チャンピオン、2023年の個人TT世界チャンピオンに次いで新たなタイトルを獲得した。今オリンピックに出場していない歴代最強のタデイ・ポガチャル(スロヴェニア)と並ぶ、世代最強の一角として新たな称号を手に入れた。
ガンナも途中路面でスリップしてバランスを崩したが、神がかり的なバランスでTTポジションのまま鉄柵の足を回避、最後までトップスピードで駆け抜けた。銀メダルに終わったガンナは、「望んだ色のメダルじゃないよ。でも”規格外のチャンピオン”に負けたんだから納得はしているよ。」と頭一つ背の低く小柄なエヴァネポエルを称えた。
銅メダルを獲得したのはワウト・ファン・アールト(ベルギー)、これでベルギーは国としてワン・スリーフィニッシュを達成して見せた。ワウト・ファン・アールトは勝利こそないが、これで2020年と2021年の世界選手権個人TTでの銀メダル、2020年と2023年の世界選手権エリートロードでの銀メダル、2021年のリオ五輪銀メダルに続いての主要メダル獲得となった。
パリ五輪女子個人TT
金メダル グレース・ブラウン(オーストラリア) 39’38”
銀メダル アンナ・ヘンダーソン(イギリス) +1’31”
銅メダル クロエ・ダイガート(アメリカ) +1’32”
4位 ジュリエット・ラブス(フランス) +1’41”
5位 デミ・フォレリング(オランダ) +1’51”
6位 ロッテ・カペッキー(ベルギー) +1’56”
7位 キム・カゾウ(ニュージーランド) +2’08”
8位 エリサ・ロンゴ・ボルギーニ(イタリア) +2’11”
9位 オードリー・コルドン・ラゴ(フランス) +2’13”
10位 クリスティーナ・シュウェインベルガー(オーストリア) +2’14”
パリ五輪男子個人TT
金メダル レムコ・エヴァネポエル(ベルギー) 36’12”
銀メダル フィリッポ・ガンナ(イタリア) +15”
銅メダル ワウト・ファン・アールト(ベルギー) +25”
4位 ジョシュア・ターリング(イギリス) +27”
5位 ブランドン・マクナルティー(アメリカ) +1’04”
6位 ステファン・ビセガー(スイス) +1’26”
7位 ネルソン・オリベイラ(ポルトガル) +1’31”
8位 ステファン・キュング(スイス) +1’35”
9位 マックス・シャフマン(ドイツ) +1’38”
10位 ミケル・ビョルグ(デンマーク) +1’43”
H.Moulinette