ツール・ド・フランス第10st:お待たせしました!昨年度ポイント賞のフィリップセンが超スローペースのステージでのスプリントでようやくのステージ勝利、総合勢はのんびりクルージングデー
昨今のレースの傾向とは全く逆のステージとなった。とにかくゆっくりのんびりと平均時速40㎞前後で展開したステージは、途中で小さなアタックが一つ発生しただけで、あとはただひたすら集団走行をするだけの退屈なステージとなった。しかしそんなことはゴール前になれば一気に忘れる熱いスプリントとなった。今大会度のスプリントでも各チーム隊列が作れず混沌としたスプリントとなったが、この日はようやくアルペシン・ドゥクーニンクが最強だった昨年度を彷彿とさせるマシュー・ファン・デル・ポエルの完ぺきなリードアウトからのヤスパー・フィリップセンの黄金コンビが機能、ようやくの勝利を手にした。昨年の圧倒的勝利の再現を見るかのような完勝、大会中盤に来てようやくチームが本来の機能を果たした。
ステージ2位にはポイント賞ジャージのビニアム・ギルメイ(インターマルシェ・ワンティ)が入り、さらにポイントをしっかりと積み重ねた。
休息日前に「なぜこんな詰まらないコース設定にしたのかわからない、自分ならこんなコース設定はしないよ。」と大会中盤のステージを名指しで指摘していた総合リーダーのタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ)だが、まさにその言葉通りあまりにも展開が少ない、そしてスローな展開となった。結果トータルで187.3㎞の9割以上の距離をただひたすらクルージングし続け、そしてスプリントへと向かっていった。まるで二日続けての休息日ともいえるようなスローなステージは、中盤のスプリントポイントではコービー・グーセンス(インターマルシェ・ワンティ)らが動いた。グーセンスはギルメイのためにライバルに最高ポイントを取らせない戦略で動き、きっちりとその役割を終えると、また集団へと戻っていった。この日の敢闘賞はこの動きを先導したグーセンスがそのまま獲得した。
横風区間ではいったん総合系チームがペースアップをし、平均時速70㎞ほどまで跳ね上がるが、それも長くは続かない。結局またペースが落ち、そのままスプリントを迎えることとなった。そしてこの日の救済措置区間に突入し残り2㎞を切るとコーナーが連続、ここで隊列が一気に縦長になり、アルペシン・ドゥクーニンクが主導権を握る。そしてそのまま最終コーナーを抜けると世界チャンピオンジャージのファン・デル・ポエルが今大会初めて先頭で猛チャージ、その速度域についていけないライバルたちを尻目にフィリップセンはそこから発車するとさらに加速、誰にも文句を言わせない圧倒的な速度でステージ優勝を決めた。
ヤスパー・フィリップセン(ステージ1位)
「先週はまあ酷かったね。終わりがない泥沼だったよ。もちろん不運もあったけど、ようやく僕ららしいチームワークを披露できたよ。この勝利のためにここに来たんだからね。大会2週目のスタートで勝利できて安堵しているよ。ギルメイには大きく引き離されてしまっているんで、まずは目的は次のステージ勝利、勝てるだけ勝ちたいね。」
ツール・ド・フランス第10ステージ順位
1位 ヤスパー・フィリップセン(アルペシン・ドゥクーニン) 4h20’06”
2位 ビニアム・ギルメイ(インターマルシェ・ワンティ)
3位 パスカル・アッカーマン(イスラエル・プレミアテック)
4位 ワウト・ファン・アールト(ヴィズマ・リースアバイク)
5位 フェルナンド・ガヴィリア(モビスター)
6位 サム・ベネット(デカスロンAG2Rラモンディアル)
7位 ジョン・デゲンコルブ(DSMフィルメニッヒ・ポストNL)
8位 フィル・バウハウス(バーレーン・ヴィクトリアス)
9位 ディラン・グローネウェーヘン(ジェイコ・アルーラ)
10位 アクセル・ジングル(コフィディス)
ツール・ド・フランス総合順位
1位 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ) 40h02’48”
2位 レムコ・エヴァネポエル(ソウダル・クイックステップ) +33”
3位 ヨナス・ヴィンゲガード(ヴィズマ・リースアバイク) +1’15”
4位 プリモズ・ログリッチ(レッドブル・ボーラ・ハンスグロエ) +1’36”
5位 ホァン・アユソ(UAEチームエミレーツ) +2’16”
6位 ジョアオ・アルメイダ(UAEチームエミレーツ) +2’17”
7位 カルロス・ロドリゲス(イネオス・グレナディアス) +2’31”
8位 ミケル・ランダ(ソウダル・クイックステップ) +3’35”
9位 デレック・ジー(イスラエル・プレミアテック) +4’02”
10位 マッテオ・ヨルゲンセン(ヴィズマ・リースアバイク) +4’03”
H.Moulinette