ツール・ド・フランス第8st:アブラハムセン大逃げで山岳ジャージがっちりキープで3度目の敢闘賞獲得、上りスプリントでステージを制したのはまたもギルメイ!フィリップセンまたも勝利届かず
総合リーダー以外のポイント賞と山岳賞、総合勢争いが白熱すると最終的には総合上位勢が奪い取ってしまうことが多いが、それまでいかに長くキープしていることができるかも、各選手たちにとっては重要なことだ。今現在山岳賞ジャージを確保しているヨナス・アブラハムセン(UNO-Xモビリティ)はこの日も少しでも山岳ポイントを稼ぐべくこに日も逃げた。すぐに単独走となったが、そのままこの日の山岳ポイントをすべてトップ通過して、この日も山岳賞ジャージをしっかりとキープして見せた。これで8ステージで3度目の敢闘賞もゲット、今大会間違いなく最も存在感が際立っている。
そんなアブラハムセンを捉えた集団はスプリント勝負へと持ち込まれたが、この日もスプリントは混沌とする。残り1㎞を切ってから下って上るコースは、どのチームにとっても隊列を組むのが難しい状況となった。またしても混沌として入り乱れたスプリントとなったが、最初に仕掛けたのはブライアン・コカード(コフィディス)、しかし勢いがなく上りではまるでスローモーションのような動きになったことで、ライバルたちは一斉に加速をする。コカードの背後から飛び出したポイント賞ジャージのビニアム・ギルメイ(インターマルシェ・ワンティ)はしなやかな走りでそのままゴールラインを先頭で通過した。昨年度の大会で圧倒的なスプリント力でポイント賞ジャージを奪取したヤスパー・フィリップセン(アルペシン・ドゥクーニンク)だが、この日もギルメイの加速の前に力負けし、さらにポイント賞ジャージが遠のく結果となった。
翌日の未舗装路とアップダウンのステージでは総合争いが激しくなる予想があることから、この日は総合勢はあまり動かないことが予想された。細かなアップダウンによる山岳ポイントがあることから、逃げ切りの可能性もあったが、この日の逃げはアブラハムセンとEFエデュケーション・イージーポスト2人の僅か3名、しかしすぐにEFの2人が離脱してアブラハムセンの単独となってしまう。
そのままこの日はスプリント勝負へ向けて、徐々にアブラハムセンとのタイム差を縮めていくと、残り15㎞を切りアブラハムセンを吸収、ここから各チームがエーススプリンターのために隊列を形成していく。この日は平坦ステージではないことから、救済措置範囲は残り3㎞に設定されており、ヴィズマ・リースアバイク、UAEチームエミレーツらがスプリンターチームに交じってまずは安全圏を目指す。しかし選手間が近く、何度となく接触が発生する。幸いなことに落車には至らないが、この日もポジション争いは激しくなる。
そして残り1㎞を切っても激しい位置取り争いが続く中、誰も主導権を取らないうえに隊列が崩れた状況となる。そんなかコフィディスが先頭に躍り出ると、コカードでの勝利を目指し加速する。だがこの日のゴールは上り勾配であり、ピュアスプリンターたちにとってもつらいものとなった。そんな中軽量かつしなやかな筋肉を持ち合わせたギルメイは、力技とは違うしなりとバネを活かした加速で先頭に躍り出ると、そのまま先頭でガッツポーズを決めた。
ビニアム・ギルメイ(インターマルシェ・ワンティ)
「僕は純粋なスプリンターではないし軽量だからこういうコースのほうが好きなんだ。パワーだけではないステージだからこそ僕でも勝てたんだよ。僕と同じ黒人で自転車ファンが世界には大勢いる。僕の勝利でもしかしたら自転車を手にしてくれるかもしれない。だからこの勝利は特別だし、また皮膚の色関係なく同じ土俵で楽しめるのが自転車というスポーツでもあるんだ。」
ツール・ド・フランス第8ステージ順位
1位 ビニアム・ギルメイ(インターマルシェ・ワンティ) 4h04’50”
2位 ヤスパー・フィリップセン(アルペシン・ドゥクーニンク)
3位 アルノー・デ・リー(ロット・デスティニー)
4位 パスカル・アッカーマン(イスラエル・プレミアテック)
5位 マリン・ファン・デン・ベルグ(EFエデュケーション・イージーポスト)
6位 ライアン・ギボンス(リドル・トレック)
7位 アンソニー・チュルギス(トータルエナジーズ)
8位 フレッド・ライト(バーレーン・ヴィクトリアス)
9位 アレックス・アランブル(モビスター)
10位 レムコ・エヴァネポエル(ソウダル・クイックステップ)
ツール・ド・フランス総合順位
1位 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ) 31h21’13”
2位 レムコ・エヴァネポエル(ソウダル・クイックステップ) +33”
3位 ヨナス・ヴィンゲガード(ヴィズマ・リースアバイク) +1’15”
4位 プリモズ・ログリッチ(レッドブル・ボーラ・ハンスグロエ) +1’36”
5位 ホァン・アユソ(UAEチームエミレーツ) +2’16”
6位 ジョアオ・アルメイダ(UAEチームエミレーツ) +2’17”
7位 カルロス・ロドリゲス(イネオス・グレナディアス) +2’31”
8位 ミケル・ランダ(ソウダル・クイックステップ) +3’35”
9位 マッテオ・ヨルゲンセン(ヴィズマ・リースアバイク) +4’03”
10位 アレクサンダー・ヴラソフ(レッドブル・ボーラ・ハンスグロエ) +4’36”
H.Moulinette