ツール・ド・フランス第7st:勝負の個人TTを制したのはエヴァネポエル!ポガチャルはステージ2位でマイヨ・ジョーヌをがっちりキープ、ヴィンゲガードとログリッチも盤石の走り


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このステージの結果で総合上位争いに残れるかどうかが決まるサバイバルでもある個人TT、個人の力が純粋に試されるステージで最速タイムをたたき出したのは、個人TT世界チャンピオンのレムコ・エヴァネポエル(ソウダル・クイックステップ)だった。「総合優勝はまだ狙える実力がないから、まずはステージ優勝を」と口にしていた男が、初めてのツール・ド・フランスで念願のステージ優勝を果たすとともに、「別格」と尊敬の念を込めて語るタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ)とのタイム差を12秒縮めた。途中パンク音のようなものが聞こえたと勘違い、思わずサポートに向けて手を挙げたが、その後すぐにそのままバニーホップで異常がないことを確認すると、そのまま走り続け、勝利を掴み取った。

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ステージ2位にはツール・ド・フランスの個人TT対策で徹底して機材を見直してきたポガチャルが入った。中間計測でも常に2番手タイムを維持し続け、TTでのパフォーマンスの改善が見られたポガチャルだったが、ゴール後はやり切った感で珍しく放心状態となっていた。それでもすぐさま笑顔に戻り、周囲と言葉を交わしていた。また早くも総合争いへ向けた山岳決戦にも思いを馳せていた。

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そしてステージ3位に入ったのは、総合5位だったプリモズ・ログリッチ(レッドブル・ボーラ・ハンスグロエ)、得意のTTで快走を続け、その時点でのトップタイムをたたき出した。しかしながら後から出走したエヴァネポエルとポガチャルの双方に大きくタイムを上回られてしまった。しかし結果的に総合では4位へとジャンプアップを果たし、総合3位のヴィンゲガードに肉薄している。

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そしてステージ4位に入ったのはヨナス・ヴィンゲガード(ヴィズマ・リースアバイク)、中間計測でその時点でのトップタイムをたたき出し続けたが、最後の最後で失速、先に出走していたプリモズ・ログリッチのタイムを上回ることができすにステージ4位に終わり、総合でもポガチャルから1分15秒差まで後退した。
総合上位勢ではポガチャルの最強アシスト二人も力走、ジョアオ・アルメイダ(UAEチームエミレーツ)はステージ8位で総合6位へとジャンプアップ、ホァン・アユソ(UAEチームエミレーツ)は総合順位こそ5位に下げたがステージ15位の走りで、まだまだ総合表彰台は視野に入っている。
総合6位だったカルロス・ロドリゲス(イネオス・グレナディアス)もステージ17位と悪くはない走りを披露、総合では順位を一つ落としたが、まだまだ挽回できそうだ。
このステージの結果でマッテオ・ヨルゲンセン(ヴィズマ・リースアバイク)とアレクサンダー・ヴラソフ(レッドブル・ボーラ・ハンスグロエ)がトップ10入りを果たし、これでポガチャルは総合トップ10にアルメイダとアユソ、エヴァネポエルがミケル・ランダ(ソウダル・クイックステップ)、ヴィンゲガードがヨルゲンセン、ログリッチがヴラソフと、それぞれアシストを上位にしっかりと残す形となっている。状況的にはますます駆け引きに拍車がかかりそうな」展開だ。

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レムコ・エヴァネポエル(ステージ1位、総合2位)
「ツール・ド・フランスに恋したよ。一週目を終えて総合2位、リラックスして楽しめているよ!そしてステージ勝利を挙げられたのは、本当にスペシャルだよ!そして今大会は世界トップクラスのグランツール選手が勢ぞろいしている。そんな中で走れていることが幸せだよ。そんなかで僅差での今日の勝利、これは生涯忘れないと思うよ。」
タデイ・ポガチャル(ステージ2位、総合1位)
「今日では何も差がつかなかったね。エヴァネポエルは素晴らしい走り、ログリッチとヴィンゲガードも好調、現状を考えると、最後の山岳決戦までもつれそうな気がするよ。でもその前に第9ステージの未舗装路とアップダウンの激しいコースがまだあるからね。天候次第や各チームの戦略次第だけど、そこも楽しみではあるんだよね。でも今年のコースはそれ以外中盤に比較的つまらないステージが多いんだよ。誰も逃げにも乗らなければ、ただの消化試合になりかねないステージが続くんだよね。」
プリモズ・ログリッチ(ステージ3位、総合4位)
「優勝候補には挙げられていたけど、あれはあまり良くなかったね。だって今現状は僕よりも調子がよく強い選手がほかにいるからね。でもまあ結果には満足しているよ。出来ることはすべてやったし、前向きにとらえているよ。こんなハードでシビアな第7ステージ、ツールでは味わったことがなかったよ。」
ヨナス・ヴィンゲガード(ステージ4位、総合3位)
「正直最高の走りができたと思う。その結果エヴァネポエルとのタイム差をわずか37秒に抑えることができたからね。現実的に考えたときに、現状からしてもっとタイムを失うと思っていたよ。上りでもいい感じで踏めていたし、調子は上がってきているね。でも今大会は事前準備が万端とはいいがたいのですべてがボーナスのようなものだよ。だからこそことは起こるべくして起こる、それに身を任せるだけだよ。」

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ツール・ド・フランス第7ステージ順位
1位 レムコ・エヴァネポエル(ソウダル・クイックステップ) 28’52”
2位 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ) +12”
3位 プリモズ・ログリッチ(レッドブル・ボーラ・ハンスグロエ) +34”
4位 ヨナス・ヴィンゲガード(ヴィズマ・リースアバイク) +37”
5位 ヴィクトル・カンペナールツ(ロット・デスティニー) +52”
6位 ケヴィン・ヴォークラン(アルケアB&Bホテルズ)
7位 マッテオ・ヨルゲンセン(ヴィズマ・リースアバイク) +54”
8位 ジョアオ・アルメイダ(UAEチームエミレーツ) +57”
9位 ベン・ヒーリー(EFエデュケーション・イージーポスト) +59”
10位 ステファン・キュング(グルーパマFDJ) +1’00”
ツール・ド・フランス総合順位
1位 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ) 27h16’23”
2位 レムコ・エヴァネポエル(ソウダル・クイックステップ) +33”
3位 ヨナス・ヴィンゲガード(ヴィズマ・リースアバイク) +1’15”
4位 プリモズ・ログリッチ(レッドブル・ボーラ・ハンスグロエ) +1’36”
5位 ホァン・アユソ(UAEチームエミレーツ) +2’16”
6位 ジョアオ・アルメイダ(UAEチームエミレーツ) +2’17”
7位 カルロス・ロドリゲス(イネオス・グレナディアス) +2’31”
8位 ミケル・ランダ(ソウダル・クイックステップ) +3’35”
9位 マッテオ・ヨルゲンセン(ヴィズマ・リースアバイク) +4’03”
10位 アレクサンダー・ヴラソフ(レッドブル・ボーラ・ハンスグロエ) +4’36”
H.Moulinette