ツール・ド・フランス第6st:昨日の余韻残るスプリントステージを制したのはグローネウェーヘン、フィリップセンは僅差の2位も降格処分でギルメイが繰り上げで2位に
総合勢にとっては大きな一日となる個人TTを前に、連日の熱いスプリントが繰り広げられた。昨日のカベンディッシュの歴史的勝利の余韻に未だ浸っている中、そのカベンディッシュの連勝なのか、それとも世代最強がそろうスプリンターたちが逆襲の勝利をつかむのかに注目が集まった。そしてこの日のスプリントは写真判定にまでもつれ込む僅差の勝負となり、ディラン・グローネウェーヘン(ジェイコ・アルーラ)がステージ優勝を挙げ雄たけびを上げた。2022年以来の通算ツール・ド・フランスステージ6勝目を挙げた。
写真判定で2位となったヤスパー・フィリップセン(アルペシン・ドゥクーニンク)だったが、その後ワウト・ファン・アールト(ヴィズマ・リースアバイク)に対する進路妨害を取られ降格処分、その結果ビニアム・ギルメイ(インターマルシェ・ワンティ)が繰り上げで2位となり、さらにポイントを積み重ねる結果となった。
第6ステージは個人TT前の重要なステージ、総合系の選手たちは極力体力の温存を図るため動かないことは明白だった。そうなれば平坦ステージはスプリンターのためのステージ、各チーム喉から手が出るほど欲しいツール・ド・フランスステージ優勝目指しての駆け引きが行われた。この日は横風が予想されていたため、無理なアタックはスタートからはかからず、しかしながら分断を恐れるあまりにハイペースで展開し続ける。
そして予想通り中盤に入ると分断作戦を仕掛けるチームが出始める。そしてこの分断によりUAEチームエミレーツは主力選手が後方に取り残される状況となる。しかしその後先頭集団が足を緩めたため、集団はまた一つへと戻る。ヴィズマ・リースアバイク、レッドブル・ボーラ・ハンスグロエ、イネオス・グレナディアスが組織的な走りに終始し、安定した走りを見せたのに対し、最強クライマー集団を組織しているUAEチームエミレーツは平坦での組織力の無さという弱さが露呈する形となった。
そしてそのままスプリンターチーム主導のままゴール勝負へと持ち込まれていく。終盤に主導権を握っていたのはアスタナ・カザフスタン、昨日の続く二匹目のどじょうを狙ったが、そうは問屋が卸さなかった。山岳賞ジャージのヨナス・アブラハムセン(Uno-Xモビリティ)の素晴らしい牽引から、 Uno-Xモビリティがきれいな隊列でエースのアレクサンダー・クリストフをゴール前へと導いていく。しかし最終コーナーを立ち上がると、それを力でねじ伏せてきた世界チャンピオンジャージのマシュー・ファン・デル・ポエル(アルペシン・ドゥクーニンク)のリードアウトからフィリップセンが早めの仕掛けに出る。だが昨年のようにリズムよく勝利できていないフィリップセンの走りには焦りがあった。結局ステージ2位も失い、107位扱いとなってしまった。
9か月の出場停止明けに新天地のジェイコ・アルーラの復帰してから復活してきたグローネウェーヘンは、同じ轍は踏まぬと徹底してクリーンなスプリントに終始しており、今回も力業で勝利をもぎ取って見せた。
ディラン・グローネウェーヘン(ステージ1位)
「凄くうれしいよ。オランダナショナルチャンピオンジャージで勝てたのがさらに最高だよ。昨日はチームがいい仕事をしてくれたのに、僕がしくじって本当にがっかりしたよ。でも今日もいい仕事をしてくれて、今回は僕らが勝利を掴み取ったよ。でも今日は必死過ぎて周りを見ている余裕がなかったから、最後もどうなったかわからなかったんだよ。まずは第1週目で勝ててほっとしているよ。」
ツール・ド・フランス第6ステージ順位
1位 ディラン・グローネウェーヘン(ジェイコ・アルーラ) 3h31’55”
2位 ビニアム・ギルメイ(インターマルシェ・ワンティ)
3位 フェルナンド・ガヴィリア(モビスター)
4位 フィル・バウハウス(バーレーン・ヴィクトリアス)
5位 ファビオ・ヤコブセン(チームDSMフィルメニッヒ・ポストNL)
6位 アルノー・デ・リー(ロット・デスティニー)
7位 アルノー・デマール(アルケアB&Bホテルズ
8位 アレクサンダー・クリストフ(UNO-Xモビリティ)
9位 パスカル・アッカーマン(イスラエル・プレミアテック)
10位 ピエ・アレガート(コフィディス)
ツール・ド・フランス総合順位
1位 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ) 26h47’19”
2位 レムコ・エヴァネポエル(ソウダル・クイックステップ) +45”
3位 ヨナス・ヴィンゲガード(ヴィズマ・リースアバイク) +50”
4位 ホァン・アユソ(UAEチームエミレーツ) +1’10”
5位 プリモズ・ログリッチ(レッドブル・ボーラ・ハンスグロエ) +1’14”
6位 カルロス・ロドリゲス(イネオス・グレナディアス) +1’16”
7位 ミケル・ランダ(ソウダル・クイックステップ) +1’32”
8位 ジョアオ・アルメイダ(UAEチームエミレーツ)
9位 ギウリオ・チッコーネ(リドル・トレック) +3’20”
10位 イーガン・ベルナル(イネオス・グレナディアス) +3’21”
H.Moulinette