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©ASO

攻撃は最大の防御、それをモットーとするタデイ・ポガチャル（UAEチームエミレーツ）が最強メンバーを用意したUAEチームエミレーツと共に最強の名にふさわしい走りでライバルたちを圧倒した。ガリビエ峠頂上への上りでUAEチームエミレーツがパワープレイの鬼引きで昨日マイヨ・ジョーヌのリチャード・カラパズ（EFエデュケーション・イージーポスト）ら総合上位勢をことごとく脱落させると、さらにホァン・アユソとジョアオ・アルメイダの両輪がさらに加速し、それに対応できたのはヨナス・ヴィンゲガード（ヴィズマ・リースアバイク）、カルロス・ロドリゲス（イネオス・グレナディアス）、レムコ・エヴァネポエルとミケル・ランダ（共にソウダル・クイックステップ）、そしてプリモズ・ログリッチ（レッドブル・ボーラ・ハンスグロエ）のみとなる。

そして残り1㎞、勾配がきつくなる瞬間にから満を持してポガチャルがアタックを決めると、それに反応できたのはヴィンゲガードだけだった。エヴァネポエルもいっテンポ遅れて追走するがすぐに引き離されてしまう。そして頂上まで400m強を残してヴィンゲガードもついに遅れてしまう。これを確認したポガチャルは山頂からのハイスピードテクニカルダウンヒルでも躊躇なく攻め続ける。ヴィンゲガードは途中までそれに匹敵する走りで追いすがるが、エヴァネポエルは雪解けで濡れた路面でバランスを崩し、リスクを冒すことを躊躇、背後から来たロドリゲス、アユソ、ログリッチらにまで抜かれてしまう。

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そのままポガチャルはゴールまで独走を続け、ツール・ド・フランス通算12度目のステージ勝利を挙げるとともに、昨日失った総合リーダージャージを早くも奪い返した。混沌とした2位争いは、下りきっての僅かな平坦区間でTTを得意とするエヴァネポエルが追い付き、そのままスプリントを制して2位に入りボーナスタイムも獲得した。ヴィンゲガードは下りで最後は追いつかれステージ5位に終わった。これでポガチャルは総合2位のエヴァネポエルに45秒、ヴィンゲガードに50秒の差をつける形となった。さらには最強アシストのアユソが総合4位、もう一人のアルメイダが総合8位とUAEは盤石の態勢を早くも築いている。

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まるでクイーンステージのようなコース、標高2035mのセストリエール峠、標高1860mのコル・デ・モンジェネブル、そして標高2642mのコル・ドゥ・ガリビエが配置された140㎞のステージは、間違いなく「試しの場」となることが予想された。スタート直後にイーガン・ベルナル（イネオス・グレナディアス）とログリッチらが遅れをとる一幕もあったが、セストリエールまでに合流を果たし難を逃れた。そして17名の逃げが先行したが、ガリビエのふもとの段階でそのリードは僅か3分弱、逃げ切りはこの段階で絶望的だった。

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そして遂にUAEチームエミレーツがそのチーム力を発揮する。爆発的な加速で逃げは次々と吸収され、そしてメイン集団もどんどんとその数を減らしていく。頂上まで7.5㎞を残し最後の逃げを捉えると、ここからは各チームのエースが犠牲となっていく。まず脱落したのはサイモン・イェーツ（ジェイコ・アルーラ）、そしてトム・ピドコック（イネオス・グレナディアス）、カラパズと順に脱落していく。

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昨年のツール・ド・フランス総合3位のアダム・イェーツ（UAEチームエミレーツ）も躊躇なくアシストとして最強トレインを牽引し離脱していく。そしてさらにアルメイダとアユソが交互に牽引し、第4ステージで早くも総合上位争いは一気に絞られる形となった。ログリッチは一度は上りで遅れそうになるも踏ん張り切りステージ4位、何とか総合上位戦線に踏みとどまった。

ポガチャルは躊躇ない加速で下りでもリスクを承知で爆走、余裕の表情でガッツポーズを決めた。対して余裕のない表情を見せたのはヴィンゲガード、そしてエヴァネポエルはポガチャルを認めるなど、ポガチャルの圧倒的存在感はさらに輝きを増している。

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タデイ・ポガチャル（ステージ1位、総合1位）
「最高だよ！今日の攻撃は予定通りだよ。今日は攻めたかったんだよ。ステージのコースは熟知していたし、ここは何度も走り込んだんでホームみたいだったよ。脚もよく回っていたし、だったらやるしかないでしょ。上りでは向かい風だったんで、あまり早く仕掛けたくはなかったんだよ。だから1㎞で一気に引きちぎる勢いが必要だったんだよ。下りでは攻められることがわかっていたので、頂上までに少しでも差をつけておきたかったんだ。でも下りではコースが濡れていて怖かったよ。でもコースを知っていたからこそ攻められたよ。」

レムコ・エヴァネポエル（ステージ2位、総合2位）
「最強の男の後ろでステージ2位なら納得でしょ。ガリビエでのポガチャルのアタックについていこうとしたけど、僕のレベルでは無理だったね。でもポガチャル以外の中で先頭でゴールできたのは自信につながるよ。今大会の目標は総合トップ5で、まずはステージ優勝を狙って、そのうえで総合順位を視野に入れるよ。」

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ヨナス・ヴィンゲガード（ステージ5位、総合3位）
「もっと完敗するかと思ったけど、まだ踏ん張れているのはある意味小さな勝利と言えるかもね。前半4ステージでもっとタイムを失うかと思ったけど、結果このステージでしか失っていないからね。今日も場合によっては数分単位で失うことを覚悟していたけど、50秒にとどめられたからね。いずれ僕らが攻撃し返せるタイミングが来ると思うよ。まあでも今日は自信があったわけではなかったんだ。なんとかもタイム差を詰められたらと思って走っていたけど、でも開いていってしまった。でも思ったようにはならないもの、それもレースであり人生だよ。ケガの影響で準備が万全ではないけど、それでも3週間の長丁場でできることをやるだけだし、戦略をきちんと信じているからね。連覇してきているから、それに沿って3連覇を狙っているからね。」

ツール・ド・フランス第4ステージ順位
1位　タデイ・ポガチャル（UAEチームエミレーツ）　　　3h46’38”
2位　レムコ・エヴァネポエル（ソウダル・クイックステップ）　　＋35”
3位　ホァン・アユソ（UAEチームエミレーツ）
4位　プリモズ・ログリッチ（レッドブル・ボーラ・ハンスグロエ）
5位　ヨナス・ヴィンゲガード（ヴィズマ・リースアバイク）　　　＋37”
6位　カルロス・ロドリゲス（イネオス・グレナディアス）
7位　ミケル・ランダ（ソウダル・クイックステップ）　　　＋53”
8位　ジョアオ・アルメイダ（UAEチームエミレーツ）
9位　ギウリオ・チッコーネ（リドル・トレック）　　　＋2’41”
10位　サンティアゴ・ブイトラゴ（バーレーン・ヴィクトリアス）

ツール・ド・フランス総合順位
1位　タデイ・ポガチャル（UAEチームエミレーツ）　　　19h06’38”
2位　レムコ・エヴァネポエル（ソウダル・クイックステップ）　　　＋45”
3位　ヨナス・ヴィンゲガード（ヴィズマ・リースアバイク）　　　＋50”
4位　ホァン・アユソ（UAEチームエミレーツ）　　　＋1’10”
5位　プリモズ・ログリッチ（レッドブル・ボーラ・ハンスグロエ）　　　＋1’14”
6位　カルロス・ロドリゲス（イネオス・グレナディアス）　　　＋1’16”
7位　ミケル・ランダ（ソウダル・クイックステップ）　　　＋1’32”
8位　ジョアオ・アルメイダ（UAEチームエミレーツ）
9位　ギウリオ・チッコーネ（リドル・トレック）　　　＋3’20”
10位　イーガン・ベルナル（イネオス・グレナディアス）　　　＋3’21”

H.Moulinette