ツール・ド・フランス第1st:バルデが念願のマイヨ・ジョーヌ獲得!Fファン・デン・ブロックと二人で完璧なチームワークで逃げ切り1‐2!中盤UAEのペースアップで総合勢に早くも脱落者


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2025年に中盤にロードレースを引退し、グラベルへの移籍を決めている男にとっては、今年が最後のツール・ド・フランスとなる予定、そんなロメイン・バルデ(チームDSMフィルメニッヒ・ポストNL)はついに念願のマイヨ・ジョーヌを獲得した。チームメイトのフランク・ファン・デン・ブロック(チームDSMフィルメニッヒ・ポストNL)と共に必死の逃げを続け、猛追してくるメイン集団を辛うじて5秒振り切り、見事なチーム1‐2を達成した。約50㎞を逃げたバルデに対して、F .ファン・デン・ブロックは約180㎞の大逃げを決め、最後はエースのバルデにステージ勝利と総合リーダーの座を譲ったが、自らもポイント賞ジャージと新人賞ジャージを獲得、更には敢闘賞も獲得した。

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その背後ではスプリンター要するリドル・トレック、ヴィズマ・リースアバイクらが先導しながら猛追した集団によるスプリントとなった。レース中盤のUAEチームエミレーツの壮絶なペースアップに総合勢を含む多くの選手たちが犠牲となり、集団自体はかなり絞られていた。そしてそんな中ステージ3位を獲得したのは、「過去一体調が悪い」と大会前にぼやいていたワウト・ファン・アールト(ヴィズマ・リースアバイク)、そして4位には今大会の大本命タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ)がスプリンターたちを抑えて入った。早くも見せたUAEチームエミレーツの攻撃的な走りに、2年連続総合トップ10のチームのエースダビ・ガウドゥ(グルーパマFDJ)が早くも撃沈、初日にしてそのチャンスを失うこととなった。

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イタリアで開幕を迎えた今年のツール・ド・フランス、まるでクラシックレースのようなアップダウンの多い激しいコースは、予想通り激しく動くレースとなった。まずは206㎞のスタート直後からアタックが始まりバルデもそのチャンスに賭けた。しかしF.ファン・デン・ブロックやマテイ・モホリッチ(バーレーン・ヴィクトリアス)ら7名が抜け出すと集団はこれを容認、この日の逃げが確定した。そして少し遅れてヨナス・アブラハムセン(Uno-Xモビリティ)が他1人とこれに合流、逃げは9名となる。
逃げは5分以上までその差を広げるが、それと同時にこの日多く設定されていた山岳ポイントで次々と脱落者が出て、その数を減らしていく。その背後では残り70㎞手前からUAEが「チームの調子を試す」という名目で一気にペースアップ、これにはたまらず多くの選手たちが次々と脱落していってしまう。グルーパマFDJは初日でエースのガウドゥをここで失い、また多くのクライマーたちもこの展開にまさかの上りで遅れていくという屈辱を味わうこととなる。またこの日をスプリンターステージにしようと目論むスプリントチームの幾つかもエースをここで失い、この日の仕事を終えてしまう。

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残り50㎞を切り、バルデが新たな動きを見せる。UAEのペースアップもあり一気に1分半まで縮んだ先頭との差を確認すると、人数を50名ほどまで減らした集団からアタックを敢行、総合タイムよりまずは最初のマイヨ・ジョーヌ獲得を目指し大博打に出る。そしてここでチームDSMフィルメニッヒ・ポストNLは素晴らしいチームワークを見せる。このアシストの為に先頭にいたF.ファン・デン・ブロックが足を緩め先頭集団を離脱、そしてバルデに合流を果たすと猛烈な牽引を開始する。するとそのまま二人は最後まで先頭であがくアブラハムセンとヴァレンティン・マデゥアス(グルーパマFDJ)に追いつき、そのまま置き去りにして二人旅へと移行していく。
背後ではこの動きに追いつこうとベン・ヒーリー(EFエデュケーション・イージーポスト)が飛び出すがこれは不発、追いつくことができない。そのままこの日最後の山岳を通過し、先頭のバルデらはメイン集団とのタイム差をジワリと広げ2分弱までもっていくと、スプリンターたちをまだ残しているリドル・トレックやヴィズマ・リースアバイクらが集団の先頭でペースを上げ、ゴールまでに先頭の二人を捉えるべく猛追が始まる。

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先頭の二人は綺麗にローテーションをしながら歯を食いしばって全力で逃げ続ける。しかし田美沙は徐々に縮まっていき、遂に10㎞1分の法則(小集団と大集団では10㎞で1分のタイム差が詰まる)の範囲内に突入し、2人の逃げ切りに赤信号が見え始める。しかしここから2人は素晴らしい粘りを見せる。歯を食いしばりバイクも左右に揺らしながら必死の形相で走るバルデ、まるで無尽蔵のスタミナがあるかのF.ファン・デン・ブロック、この二人は一瞬たりとも諦めの表情を見せない。

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気が付けばメイン集団は背後に迫り、そのタイム差はどんどんと縮まり30秒、20秒と詰まっていく。残り1㎞を切りおよそ10秒差、だがチームカーからの無線で「行け!お前らならできる!」と絶叫する監督の声の後押しを受け、2人はゴールラインぎりぎりまで歯を食いしばり踏み込み続けた。そしてわずか5秒のタイム差を残しゴールラインに先着、バルデは自らの勝利だけでなく、両手でF.ファン・デン・ブロックを指差し、この勝利が彼なくしては成し得なかったことへの感謝を示した。
ロメイン・バルデ(ステージ1位、総合1位)
「とにかくフランク(ファン・デン・ブロック)が強かったよ、だからこれはいけるかもしれないと確信したんだ。きょうの彼の走りは勝利に値するものだったよ。でもそれを僕へのアシストに徹してくれたことには感謝しかないよ。僕は選手としての目標として、マイヨ・ジョーヌ獲得を掲げてきたんだ。でも何度となく手が届きそうで届かなかったんだ。だから今日も半信半疑ではあったんだよ。でも今日はフランクがいてくれたおかげでそれが現実のものとなったよ。人生を振り返ったときに必ず思い出す、そんな素晴らしい瞬間になったよ。」
タデイ・ポガチャル(ステージ4位、総合4位)
「初日は上出来だったよ。チームとして上りで脚を確かめた感じだね。いいペースを刻めたし、今日の暑さにもかかわらずいい感じでこなせたよ。他のチームの状態とか、現在地がはっきりとわかったのはボーナスだったね。最後はスプリントしてみたんだよ。あとちょっとで最強スプリンター二人とも撃破できたね。まあでも今日はバルデとフランクにおめでとうと言いたい。あの走りには脱帽したよ。」
ツール・ド・フランス第1ステージ順位
1位 ロメイン・バルデ(チームDSMフィルメニッヒ・ポストNL) 5h07’22”
2位 フランク・ファン・デン・ブロック(チームDSMフィルメニッヒ・ポストNL)
3位 ワウト・ファン・アールト(ヴィズマ・リースアバイク) +05”
4位 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ)
5位 マクシム・ファン・ギルス(ロット・デスティニー)
6位 アレックス・アランブル(モビスター)
7位 マッズ・ペデルセン(リドル・トレック)
8位 レムコ・エヴァネポエル(ソウダル・クイックステップ)
9位 ペッロ・ビルバオ(バーレーン・ヴィクトリアス)
10位 アルベルト・ベッティオール(EFエデュケーション・イージーポスト)
ツール・ド・フランス総合順位
1位 ロメイン・バルデ(チームDSMフィルメニッヒ・ポストNL) 5h07’12”
2位 フランク・ファン・デン・ブロック(チームDSMフィルメニッヒ・ポストNL) +04”
3位 ワウト・ファン・アールト(ヴィズマ・リースアバイク) +11”
4位 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ) +15”
5位 マクシム・ファン・ギルス(ロット・デスティニー)
6位 アレックス・アランブル(モビスター)
7位 マッズ・ペデルセン(リドル・トレック)
8位 レムコ・エヴァネポエル(ソウダル・クイックステップ)
9位 ペッロ・ビルバオ(バーレーン・ヴィクトリアス)
10位 アルベルト・ベッティオール(EFエデュケーション・イージーポスト)
H.Moulinette