ジロ・デ・イタリア第20ステージ:ポガチャルが独走で今大会6勝目、総合優勝が確定的に、余裕の走りでライバルたちをまたしても置き去りに、ペリッツァーニとチベリの若手二人も躍動
最終山岳ステージ、ここで総合順位はほぼ確定する。最終ステージはミラノでのパレードステージ的要素が強いため、実質的な直接対決はこの日の山岳が最後とあって、総合で一つでも上の順位を狙う選手たちにとっては、絶対に遅れることのできないステージだった。しかし総合1位のタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ)にとっては、もう一つステージ勝利というものを積み重ね、自らの総合優勝に花を添えるつもりだったようだ。この日も圧倒的な組織力でメイン集団を破壊したUAEチームエミレーツの鬼引きからアタックしたポガチャルに対し、ライバルたちはだれも反応せずただ見送るだけだった。ポガチャルという異次元への対応よりも、自らの順位を優先するという至極当たり前のことではあるが、これが今大会を象徴する展開となった。
ポガチャルは独走から先行していたギウリオ・ペリッツァーリ(VFバルディアーニCSFファイザネ)にあっという間に追いつくと、抜き様に”一緒に走ろう”と声をかけると、大躍進を遂げた20歳を引き連れ加速していった。しかしペリッツァーリも結局置き去りにされ、完全独走態勢となったポガチャルは、カメラに笑顔を見せたり、沿道の子供にウォーターボトルを渡したりと、余裕を見せながら、最後は大歓声の前でガッツポーズからのお辞儀でステージを締めくくった。これで今大会20ステージで6勝、あの偉大なメルクスでさえ到達できなかった領域へと足を踏み入れた。
この日のステージは、18㎞平均勾配8%越えのモンテグラッパを2度上るハードなコース、そしてポガチャルが記録に残るステージ6勝目を狙う可能性が高かったが、それでも僅かな可能性にかけてスタート直後から逃げ切りを目指したアタックはかかる。この日はUAEチームエミレーツがそんな逃げを常に射程圏内にとどめる走りを続ける。そして残り100㎞で迎えた最初のモンテグラッパで、メイン集団に飲み込まれずに頂上に向かう3名に合流を果たしたのは、今大会の新星、ギウリオ・ペリッツァーリ(VFバルディアーニCSFファイザネ)だった。

©Giro d’Italia
4人となった逃げはそのまま逃げ続け、迎えた2度目のモンテグラッパ、今大会最後の頂上バトルであり通過点を目指しペリッツァーリがついに単独先頭に躍り出る。そしてその背後ではUAEチームエミレーツが組織的追走で、総合勢のいるメイン集団を木っ端微塵にしていく。ペリッツァーリは逆転山岳賞という可能性も視野に入れながらも、逃げ切り勝利を目指し、UAEチームエミレーツの猛追と遜色ない速度でモンテグラッパを駆け上がっていく。
メイン集団ではこの段階で総合7位のロメイン・バルデ(DSMフィルメニッヒ・ポストNL)が脱落、それに先んじて総合9位のフィリッポ・ザナ(ジェイコ・アルーラ)も脱落しており、総合トップ10争いに早くも動きが発生する。ここから一つでも上の順位を狙うサバイバルはさらに壮絶さを極めていく。山の麓で2分半あったペリッツァーリのタイム差だが、縮まり方は緩く、ポガチャルはチームメイトのアシストに声がけをしてペースアップを図るなど、さらにサバイバル感は強まる。
そして残り山頂まで6㎞、ゴールまで37㎞を残して早くも最後のアシストのラファル・マイカ(UAEチームエミレーツ)が強烈なアシストを開始する。するとようやくペリッツァーリとのタイム差はぐんと縮まり、そしてメイン集団も総合勢に加え、マイケル・ストーラー(チュードルプロサイクリング)、今大会ステージ勝利を挙げているヴァレンティン・パレ・パントレ(デカスロンAG2Rラモンディアル)を残すのみとなる。

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さらにゲラント・トーマス(イネオス・グレナディアス)が苦しい表情を見せ、集団が二つに分裂を始めた残り36㎞、頂上まで5.4㎞を残し遂にポガチャルがアタックする。いつも通りの加速に対し、ライバルたちはこれを無理に追うことはしない。ポガチャルはあっという間にペリッツァーリとの差を縮めると、そのまま追いつき、追いつき様に笑顔でペリッツァーリに声をかける。これに対しペリッツァーリもここからしばしポガチャルンハイペースについていこうと必死のあがきを見せた。

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その背後でも動きが発生、総合2位のダニエル・マルチネス(ボーラ・ハンスグロエ)、総合5位の新人賞ジャージのアントニオ・チベリ(バーレーン・ヴィクトリアス)、総合8位のアイナー・ルビオ(モビスター)が飛び出していく。それに対して総合3位のGトーマス、そして総合4位のベン・オコナー(デカスロンAG2Rラモンディアル)は順位を守るべく必死の走りが続く。
残り34㎞、ペリッツァーリがついていけず差が広がり、遂にポガチャルが単独先頭となる。ハイペースで先頭を走る、伝説と語り継がれるであろうその走りに沿道の観衆たちも興奮を超え暴徒化しそうな勢い、興奮のあまり応援のつもりでするが、選手たちの背中を通りすがりに叩くなどスルガ、これにポガチャルが激怒する瞬間も見られた。それほどまでにストイックに上りで仕掛けたポガチャルは、残り31㎞での頂上通過時には、マルチネスら追走とのタイム差を2分にまで広げていた。
ペリッツァーリはチベリ、マルチネス、ルビオらに追いつかれるが、2位で最後のモンテグラッパを通過し、そのまま総合勢に交じり下りへと突入していく。僅か15秒ほどのタイム差でGトーマスらも山頂を通過、ここから下りでの追いかけっこが始まる。

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先頭を行くポガチャルは、無理をする必要はないがそれでも攻めの姿勢は崩さずにテクニカルなダウンヒルを爆走していく。この2分差は全く縮まることなくゴールまで続いていく。時に沿道の少年にボトルを渡したり、カメラに向かって笑顔を見せながら走り続けたポガチャルは、ゴール前の観衆に向けて大きくガッツポーズを決め、今シーズン13勝目、今大会6勝目を掴み取った。

©Giro d’Italia
その背後では二つの集団は一つへと合流、そのままゴールスプリント勝負まで持ち込まれた。スプリントを得意とするマルチネス優位かに思われたが、Vパレ・パントレがまさかの豪快なスプリントを披露、ステージ2位を確保した。マルチネスはステージ3位でゴールをし、総合2位を確定的とした。ポガチャルと2位のマルチネスとの差は9分56秒もう少しで二桁タイム差となりそうだった。
総合トップ10では順位が変動、ルビオ、ヤン・ヒルト(ソウダル・クイックステップ)がそれぞれ順位を上げ、バルデが順位を下げた。さらにはストーラーが最後の最後でトップ10入りを果たした。
タデイ・ポガチャル(ステージ1位、総合1位)
「今日はどうしてもステージ勝利を狙いたかったんだ。チーム皆が組織的な走りをしてくれて素晴らしいチームワークが見せられたよ。そして山頂迄に大きなタイム差をつけられたことで、下りでは無理をする必要がなかったね。これは本当によかったよ。今回は第2ステージから総合リーダージャージを守り抜いたけど、これはすべて夏(ツール・ド・フランス)への予行演習にもなったよ。最後まで最高のメンタルでジロを駆け抜け、最高のコンディションで勝利を達成できたね。」
ダニエル・マルチネス(ステージ3位、総合2位)
「ステージを狙っていたけど、ポガチャルはただただ素晴らしかった。彼の走りについていける人間はいないよ。トーマスに差をつけるために自分のペースで走り続けたんだ。うまくはいかなかったけど、チームとしては結果的に上出来のステージになったよ。」
ギウリオ・ペリッツァーリ(ステージ6位)
「勝てはしなかったけど、沿道の観衆が僕の名前を叫んでいて勇気と勢いをもらったよ。まるで足がもう一本は得ているかのような走りができたよ。」
ジロ・デ・イタリア第20ステージ順位
1位 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ) 4h58’23”
2位 ヴァレンティン・パレ・パントレ(デカスロンAG2Rラモンディアル) +2’07”
3位 ダニエル・マルチネス(ボーラ・ハンスグロエ)
4位 アントニオ・チベリ(バーレーン・ヴィクトリアス)
5位 アイナー・ルビオ(モビスター)
6位 ギウリオ・ペリッツァーリ(VFバルディアーニCSFファイザネ)
7位 ゲラント・トーマス(イネオス・グレナディアス))
8位 ベン・オコナー(デカスロンAG2Rラモンディアル)
9位 マイケル・ストーラー(チュードルプロサイクリング) +2’31’
10位 ラファル・マイカ(UAEチームエミレーツ)) +3’08”
ジロ・デ・イタリア総合順位
1位 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ) 76h22’13”
2位 ダニエル・マルチネス(ボーラ・ハンスグロエ) +9’56”
3位 ゲラント・トーマス(イネオス・グレナディアス) +10’24”
4位 ベン・オコナー(デカスロンAG2Rラモンディアル) +12’07”
5位 アントニオ・チベリ(バーレーン・ヴィクトリアス) +12’49”
6位 サイメン・アレンスマン(イネオス・グレナディアス) +14’31”
7位 アイナー・ルビオ(モビスター) +15’52”
8位 ヤン・ヒルト(ソウダル・クイックステップ) +18’05”
9位 ロメイン・バルデ(DSMフィルメニッヒ・ポストNL) +20’32”
10位 マイケル・ストーラー(チュードルプロサイクリング) +21’11”
H.Moulinette












