ジロ・デ・イタリア第15St:史上最強のメルクス以来のマリア・ローザによるリヴィーニョのクイーンステージ制覇、ポガチャルが歴史に残る圧倒的な走りでステージ4勝目、ジロ覇者のキンターナが2位

©Giro d’Italia
往年の名選手一人ベルナール・イノーが、「タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ)はすでに史上最強のエディ・メルクスに並びつつある。」と語る通り、今我々は歴史的な瞬間を目撃している。2度と現れないと思われたメルクスクラスの選手が、今まさにロードレース界で圧倒的な強さを見せている。しかも機材の向上により、メルクスの時代とは比較にならないほどにハイスピードで、難しいレース展開となる中でのこれだけの強さは、ただただ圧巻という言葉しか思いつかない。
雪が積もる山頂ゴール、気温はわずか6度のこの山頂に誰よりも早く上ってきたのは総合リーダージャージのマリア・ローザに身を包んだポガチャルだった。過去にここをマリア・ローザが制したのはメルクスのみ、そんな山頂まで残り13.9㎞で追走集団から爆発的な加速で飛び出すと、そのままライバルたちを一気に置き去)りにし独走、さらには先行の逃げの選手たちを次々と追いつき様に置き去りにし、最後はガッツポーズで山頂を制した。「攻撃は最大の防御」を自ら体現する圧倒的な王者、躊躇なくライバル達に格の差を見せつけるが、ゴール後のコメントでは2位のナイロ・キンターナ(モビスター)や3位のゲオルグ・スタインハウザー(EFエデュケーション・イージーポスト)の走りに言及するなど、謙虚さも持ち合わせている。
これでポガチャルは今大会4勝目だが、マリア・ローザでの3勝目は1934年のレアロコ・ゲレーロ、1973年のエディ・メルクス、2018年のサイモン・イェーツに次ぐ4人目となった。そしてポガチャルはグランツールのステージ勝利は18勝目となった。また15ステージ終了時の2位とのタイム差6分41秒は、1954年以来70年ぶりの大差となっている。記録づくめのポガチャルの走り、まだまだこれから残り6ステージあり、山岳ステージも残る中、どこまで記録を伸ばしていくのかが楽しみだ。
最難関ステージといわれるのがクイーンステージ、それが休息日前にあるということで、激しい展開が予想された。総合リーダーのポガチャルの走りにも注目が集まるが、総合トップ10がかなり流動的な状況であり、このステージでライバルを脱落させ、一つでも上の順位を狙えるチャンスだけに、各チーム総合系の選手たちはステージ前から気合が入っていた。

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そんなステージは222㎞の長丁場に、3つの一級山岳、獲得標高は5400mを超えるというクイーンステージの名にふさわしいハードなステージだ。この日積極的な動きを見せたのはサイモン・ゲシュケ(コフィディス)だ。繰り上げで山岳賞ジャージを着用しているが、ポガチャルには45ポイント差ということもあり、この日ポイントを荒稼ぎしてジャージを奪取する狙いがあった。しかし最初の逃げに乗り損ねてしまう。だがその後チームが積極的に動き、何とか追走の第2集団を形成する。この集団は先頭の逃げ集団を吸収し、50名ほどの大所帯の集団となる。この集団にはジロ覇者のナイロ・キンターナ(モビスター)やジュリアン・アラフィリップ(ソウダル・クイックステップ)、マックス・シャフマン(ボーラ・ハンスグロエ)ら実力者たちが顔をそろえる。
だがゲシュケはここから思ったようにポイントを稼ぐことができない。集団が大きくなったことで、それぞれの選手たちの異なる思惑に翻弄されてしまう。すると頂上からの下りで6名が飛び出していき、先行集団を形成する。これでこの日の3つの集団がそれぞれの走りを続けることとなる。メイン集団はUAEチームエミレーツ、イネオス・グレナディアスの2チームが完全に支配し、逃げる前方の選手たちのとの差を射程圏内にとどめ続け、最後の山岳を残し3分半ほどまでタイムを縮める。

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そして最後の上りに突入すると、残り22㎞でまず動いたのはスタインハウザーだった。ここからヨナタン・ナルバエス(イネオス・グレナディアス)を含め、次々とアタックの応酬となるが、存在感を示したのは10年前にジロを制したキンターナだった。数名での追走の後単独となりスタインハウザーを追いかける。そしてその背後では、ついにポガチャルが動く。

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残り13.9kmでラファル・マイカ(UAEチームエミレーツ)のアシストから、山肌側の狭い隙間を抜けて一気に加速していく。それに総合3位のダニエル・マルチネス(ボーラ・ハンスグロエ)が反応するが、ポガチャルはあっという間に差を広げていく。この段階で先頭のスタインハウザーとの差は3分ほどあったが、それも一気に縮まっていく。そしてそのまま総合系の集団との差もどんどんと開いていく。この段階になると、総合順位をそれぞれが守る、一つでも上を狙うという駆け引きが始まり、結果的にポガチャルの独走態勢の後押しとなってしまう。ポガチャルを利用して仕掛けようにも、あまりにも早い加速とペースに、誰もそれを活かすことができなかった。

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キンターナはスタインハウザーを捉え先頭に躍り出ると、僅かな下りセクションへと戦闘で突入していく。ポガチャルもスタインハウザーをかわし、また下りへと突入していく。そして迎えた最後の上り区間では、あっという間にキンターナとの差を縮めると、残り2㎞であっさりと追い越し、沿道の観衆の熱気は最高潮に達する。絶叫するファンたちの合間を搔い潜り、ポガチャルは容赦なくペースを刻んでいく。ポガチャルはそのまま最後の激坂もダンシングで一気に駆け上がると、最後は派手なガッツポーズでステージ優勝を決めた。キンターナは粘り続けて2位、スタインハウザーも総合系集団に飲み込まれることなく3位をキープしてゴールした。

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その背後では総合8位のロメイン・バルデ(DSMフィルメニッヒ・ポストNL)と、アイナー・ルビオ(モビスター)がアタック、さらにサイメン・アレンスマン(イネオス・グレナディアス)のアタックで総合系集団は粉砕され、総合2位と3位のゲラント・トーマス(イネオス・グレナディアス)とマルチネスの激しいバトルとなる。総合4位のベン・オコナー(デカスロンAG2Rラモンディアル)とヤン・ヒルト(ソウダル・クイックステップ)は必至にそれに食らいついたが、フィリッポ・ザナ(ジェイコ・アルーラ)、アントニオ・チベリ(バーレーン・ヴィクトリアス)らは苦戦を強いられてそれぞれタイムを失うこととなった。
総合ではポガチャルと後続との差が広がったが、総合2位から6位は3分差の中にひしめき合っており、最後まで表彰台をかけた戦いは続きそうだ。

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タデイ・ポガチャル(ステージ1位、総合1位)
「過去最高のレースというわけではないけど、かなり上位にランクインレースだったと思うよ。ここリビーニョはジュニアのころからよくトレーニングで来ていたし、今の彼女とのは秘めてのデートの場所でもあったから、特に思い入れがあるんだ。」
「子供のころはキンターナの活躍を見ていて、ぎりぎりまで仕掛けをしないのでもっと早く仕掛けなきゃ!って思っていたけど、今日は彼は素晴らしくいいアタックをしたよね。それにスタインハウザーもこのステージであれだけ逃げて3位というのは誇れる結果だと思うよ。」
ゲラント・トーマス(ステージ6位、総合2位)
「彼は勝てるだけ勝つべきだと思うよ。これは勝敗を決める自転車レースだしね。でも誰も彼と対等にやり合えないのは残念だと思う。だってタイム差がおかしなことになっているからね。彼だけ一人別の次元にいるんだよ。ただそれ以外の選手の中では僕がベストだけどね。もうこれ以上ポガチャルを称える言葉が無くなってしまったよ。今日のアタックも来るのはわかっていた、でもUAEがちゃんとメイン集団をけん引していたし、ステージ勝利を狙っていたのは明白だった。あれはチームとしてのフェアプレイだよ。」
ナイロ・キンターナ(ステージ2位)
「自分でもこうした走りができたことに満足しているよ。惜しむらくは勝利出来たら最高だったんだけど、ポガチャルはやっぱり強かったよ。彼はステージを狙うといっていて、公言通り勝利したのだから大したものだよ。でも大事なのはチームとしてそれに挑んだこと、最後まで今日みたいに挑み続けるよ。」
ジロ・デ・イタリア第15ステージ順位
1位 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ) 6h11’43”
2位 ナイロ・キンターナ(モビスター) +29”
3位 ゲオルグ・スタインハウザー(EFエデュケーション・イージーポスト) +2’32”
4位 ロメイン・バルデ(DSMフィルメニッヒ・ポストNL) +2’47”
5位 ダニエル・マルチネス(ボーラ・ハンスグロエ)
6位 ゲラント・トーマス(イネオス・グレナディアス) +2’50”
7位 アイナー・ルビオ(モビスター)
8位 ベン・オコナー(デカスロンAG2Rラモンディアル) +2’58”
9位 サイメン・アレンスマン(イネオス・グレナディアス) +3’05”
10位 ヤン・ヒルト(ソウダル・クイックステップ) +3’20”
ジロ・デ・イタリア総合順位
1位 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ) 56h11’42”
2位 ゲラント・トーマス(イネオス・グレナディアス) +6’41”
3位 ダニエル・マルチネス(ボーラ・ハンスグロエ) +6’56”
4位 ベン・オコナー(デカスロンAG2Rラモンディアル) +7’43”
5位 アントニオ・チベリ(バーレーン・ヴィクトリアス) +9’26”
6位 サイメン・アレンスマン(イネオス・グレナディアス) +9’45”
7位 ロメイン・バルデ(DSMフィルメニッヒ・ポストNL) +10’49”
8位 フィリッポ・ザナ(ジェイコ・アルーラ) +11’11”
9位 アイナー・ルビオ(モビスター) +12’13”
10位 ヤン・ヒルト(ソウダル・クイックステップ) +13’11”
H.Moulinette












