ジロ・デ・イタリア第4ステージ:雨と霧と山越えの後にアンドラ公国でスプリント、昨日の借りは今日返す!昨日僅差の2位のミランが完璧なアシストからの豪快な勝利!最高出力1940W
勝たなければ報われない戦いがそこにはある。どんなに最高のアシストをしても、勝利に届かなければ全ては敗北の味でしかない。それがロードレースの醍醐味であり厳しさでもある。そしてそれが一番顕著に感じられるのがスプリントだ。昨日は総合リーダーのタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ)のアタックに翻弄され、結果スプリントの隊列が崩れ僅差で敗れステージ2位に沈んだヨナタン・ミラン(リドル・トレック)だが、この日も昨日と似た様なフィリッポ・ガンナ(イネオス・グレナディアス)のアタックを猛追の末に捉えると、そこから完璧なチームメイトのリードアウトから勢いよく飛び出し勝利をもぎ取った。
この日はアンドラ公国へと向かうステージ、つまりは山越えをしなければならないハードなステージとなった。そんな山頂は気温8度と冷え込み、更には霧が出て視界不良、路面は雨で濡れ最悪のコンディションとなった。しかしそんな中スタートから、リリアン・カルメジャーヌ(インターマルシェ・ワンティ)、ステファン・デ・ボッド(EFエデュケーション・イージーポスト)、フランシスコ・ムニョス(チームポルティ・コメタ)が飛び出していく。一時はガンナがこれに合流するが、ポイント賞ジャージのティム・メリエール擁するソウダル・クイックステップはこの日もスプリントに持ち込みたい為にペースを上げることとなる。これを見たガンナは自ら逃げから離脱、集団へと戻ったことで、この日の逃げがようやく容認された。
そしてカルメジャーヌも山岳ポイントを稼いだ後無理することなく逃げから離脱、先頭はデ・ボッドとムニョスの二人となった。この日は昨日ステージ3位に入ったビニアム・ギルメイ(インターマルシェ・ワンティ)が、2度の落車の末にリタイアを余儀なくされた。そんな中逃げの二人は粘りの走りを披露、残り4.5㎞の最後の難所迄逃げ続けた。
そして迎えたこの勾配セクションで、昨日のリプレイを見ているかのようなアタックを、今回はガンナが決める。独走力があるだけでなく、山岳もある程度上れてしまうだけに、この逃げは強烈だった。何度となく追走がかかるがこれはことごとく失敗、誰もガンナに追いつくことができない。先頭で頂上を超えると、そのまま下りに入っても10秒ほどのタイム差を維持したまま激走を続ける。
そのまま逃げ切ってしまうのでは、と思われたが、そうは問屋が卸さないとばかりにリドル・トレックが最後の最後で猛烈な牽引でエースのミランを引っ張っていく。これで何とか残り900mでガンナを捉えると、シモーネ・コンソーニ(リドル・トレック)がここから素晴らしいリードアウトを見せる。ミランはぴたりとアシストの背後から一気に加速、お膳立てを生かし切ったミランがそのまま先頭でガッツポーズを決めた。ミランに迫ったのはカデン・グローヴス(アルペシン・ドゥクーニンク)、そしてフィル・バウハウス(バーレーン・ヴィクトリアス)が3位に入り、メリエールは5位に終わった。
総合はこの日は動かず、ポガチャルも常に危険回避の走りに徹した。ただポガチャルのマリア・ローザのジャージに関して、主催者が用意したもの何も関わらず、UCIがそれを規定違反だとして着用を認めないというハプニングがあった。結局主催者が用意したスキンスーツは着ることができず、ノーマルジャージでの出走となった。メーカーのカステリもUCIの規定に違反していないと主張したが、UCI幹部の機嫌を損ねたこの一件は、UCI会長の裁定を待つ形となったようだ。
ヨナタン・ミラン(ステージ1位)
「感無量だよ。ここには勝利という目的のために来たんだ。でもそれはすべてチームメイトのお膳立てがなければ成しえなかった。またジロで勝利することができて、本当に嬉しいよ。特に今日は僕の両親も見に来てくれていたから尚の事特別だよ。」
タデイ・ポガチャル(総合1位)
「主催者から提供されたマリア・ローザとパープルのツートーンスキンスーツ着てたんだけどUCIがそれは規定違反だ、着るようなら失格にするって言うんだよね。だから今日はパンツはスキンスーツじゃなくてただのジャージだよ。だから今日はきっと速くは走れないよ(笑)
ジロ・デ・イタリア第4ステージ順位
1位 ヨナタン・ミラン(リドル・トレック) 4h16’03”
2位 カデン・グローヴス(アルペシン・ドゥクーニンク)
3位 フィル・バウハウス(バーレーン・ヴィクトリアス)
4位 オラフ・クーイ(ヴィズマ・リースアバイク)
5位 ティム・メリエール(ソウダル・クイックステップ)
6位 ダビデ・バレリー二(アスタナ・カザフスタン)
7位 フェルナンド・ガヴィリア(モビスター)
8位 エンリコ・ザノンチェロ(VFグループバルディアー二CSFファイザネ)
9位 マディス・ミケルス(インターマルシェ・ワンティ)
10位 ジョバンニ・ロナルディ(チームポルティ・コメタ)
ジロ・デ・イタリア総合順位
1位 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ) 15h19’05”
2位 ゲラント・トーマス(イネオス・グレナディアス) +46”
3位 ダニエル・マルチネス(ボーラ・ハンスグロエ) +47”
4位 キアン・アイデブルックス(ヴィズマ・リースアバイク) +56”
5位 アイナー・ルビオ(モビスター)
6位 ロレンツォ・フォーチュナト(アスタナ・カザフスタン) +1’07”
7位 ホアン・ペドロ・ロペス(リドル・トレック) +1’11”
8位 ヤン・ヒルト(ソウダル・クイックステップ) +1’13”
9位 アレクセイ・ルチェンコ(アスタナ・カザフスタン) +1’26”
10位 エステバン・チャベス(EFエデュケーション・イージーポスト)
H.Moulinette