ヴォルタ・ア・カタルーニャ2024総括:もはやモンスター!圧倒的な強さを見せたポガチャルの一人舞台!7ステージ4勝、第6では30㎞独走!ベルナルが復活、2021年以来のWT表彰台
山岳ステージレースのヴォルタ・ア・カタルーニャは、史上最強男がそのトップパフォーマンスを披露した。全7ステージで4勝を挙げる格の違いを見せつけた。ツール・ド・フランス制覇へ向け絶好調なタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ)は、まず第2ステージで勝利を挙げると翌日の第3ステージも勝利、更には勝負所の第6ステージでは30㎞を独走しての圧勝、極めつけは最終日も制して総合優勝と合わせて僅か1週間で5勝(ステージ4、総合1)を挙げて見せた。もはやライバルが存在するのかさえ疑わしくなるほどの強さ、それでも一切の妥協も手抜きもせず、その差を示す男の今シーズンは伝説の一年となるかもしれない。
パリ~二-スとティレーノ・アドリアティコのステージレースで最大ライバルのユンボ・ヴィズマ・リースアバイク勢のヨナス・ヴィンゲガードと新星マッテオ・ヨルゲンセンが制したのに対し、ポガチャルはワンデイ・クラシックのストラーデ・ビアンケを制し、ミラノ・サンレモで表彰台ときっちりと結果を残してきた。そして迎えたステージレースで「攻撃は最大の防御」という自らのポリシーを貫く走りを見せた。
第2ステージでは頂上ゴール勝負で残り6.5㎞でアタックし独走、ステージ2位のミケル・ランダ(ソウダル・クイックステップ)に1分24秒の大差をつけて、一気に総合リーダーに躍り出た。そしてその勢いのまま迎えた翌第3ステージ、ソウダル・クイックステップの攻撃をしのぐと残り7.5㎞でアタック、またしても独走態勢となり、ステージ2位のランダに48秒の差をつけて総合で2分27秒差まで広げた。
「ランダが仕掛けたんで、少し早いとは思ったけどアタックしたんだ。リズムよく上れたし、残り2㎞からさらにもう一段階自分のギアを上げられたからね。最後はちょっとペースが落ちたけど、いい感じで粘れたね。」第3ステージを走り切ったポガチャルは、満面の笑みでそう語った。
第6ステージではクラシックレースで見せた走りをそのまま山岳でもやって見せた。残り30㎞で飛び出すと、そのままゴールまで逃げ切った。ステージ2位には57秒差でイーガン・ベルナル)イネオス・グレナディアス)とランダが入った。これで総合2位のランダには3分31秒差、総合優勝は確定的となった。
そして迎えた最終ステージ、少人数スプリントとなったゴール勝負だが、ここでもポガチャルが新たな側面を見せる。先日のミラノ・サンレモでヤスパー・フィリップセン(アルペシン・ドゥクーニンク)とマイケル・マシューズ(ジェイコ・アルーラ)の二人のトップスプリンターに迫るスプリント力を見せた男は、ここでもその強さを見せる。少人数スプリントに持ち込まれたゴール勝負で、勝利をもぎ取って見せた。有終の美を飾る勝利、そして総合優勝を確定させた。レース後には、「今日は勝利を狙う予定はなかったんだけど、アシストがいい仕事をしてくれたのと、ただ調子が良かったんだ。」と笑顔で語った。
あまりにも圧倒的なその走りに、ライバルたちも「彼は違う次元から来た」、「別の星の生き物」、とただただその実力に脱帽するしかなかった。実際にグランツールでの総合を競い合うライバルたちに対して、これだけの圧倒的な走りは間違いなく大きな印象を残しただろう。更には総合優勝を狙えるジョアオ・アルメイダ(UAEチームエミレーツ)と組めば、チームとしてこれほどまでに攻撃力があることも示す形となった。
今大会で想像以上のパフォーマンスを見せたのは、心機一転新天地への移籍を果たしたミケル・ランダ(ソウダル・クイックステップ)だろう。昨年度までのバーレーン・ヴィクトリアスでは総合系エースとして期待されながらも、思ったような成績がなかなか残せないでいた。しかし最強曲者集団へと合流を果たすと、終始ポガチャルと拮抗する安定した走りを見せ、最終的に総合2位を獲得して見せた
また元グランツール覇者のベルナルは、止まっていたバスの後部に高速で突っ込み大怪我を負ってからなかなか事故前のような走りができなかったが、ここへきて復活の兆しを見せた。山岳ステージでも安定した走りを見せ、総合3位で大会を終えるとともに、一時代を築き上げた最強イネオス・グレナディアスの一角として、今シーズン新たな高みを見せてくれそうだ。
ヴォルタ・ア・カタルーニャ2024総合順位(全7ステージ終了時)
優勝 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ) 28h21’29
2位 ミケル・ランダ(ソウダル・クイックステップ) +3’41”
3位 イーガン・ベルナル(イネオス・グレナディアス) +5’03”
4位 アレクサンダー・ブラソフ(ボーラ・ハンスグロエ) +5’56”
5位 エンリック・マス(モビスター) +6’01”
6位 クリス・ハーパー(ジェイコ・アルーラ)
7位 レニー・マルティネス(グルーパマFDJ) +6’02”
8位 アントニオ・ティベリ(バーレーンヴィクトリアス) +6’33”
9位 ジョアオ・アルメイダ(UAEチームエミレーツ)
10位 ロレンツォ・フォーチュナト(アスタナ・カザフスタン) +7’27”
H.Moulinette