イル・ロンバルディア2023:シーズン最後のモニュメントを制したのはポガチャル!伝説のコッピ以来の大会3連覇を達成!足がつりながらも根性で独走勝利!(ダイジェストあり)
今シーズン最後のモニュメントとなった落ち葉のクラシック、イル・ロンバルディアは、新たな伝説の誕生となった。多くのクラシックハンターが狙うクラシック、さらにはその頂点にあるモニュメントと言えば、各チームのエース格が勢ぞろいする。更には一発勝負であり、一つでもトラブルがあれば挽回することは難しい過酷な条件の中で連覇することは限りなく困難だ。そんな中で世代最強の一人タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ)はイル・ロンバルディア3連覇を成し遂げた。これは1946年から1949年まで4連覇を果たした伝説の選手ファウスト・コッピ以来であり、近代ロードレースにおいては初の快挙となった。連覇を成し遂げた選手はフィリップ・ジルベール、ダミアーノ・クネゴ、ホアキン・ロドリゲス、ミケーレ・バルトリと複数名いるが、皆名選手でありそれを若干25歳にして超えて見せた。
今シーズンはステージレース、クラシックで勝利を重ね圧倒的な結果で迎えたリエージュ・バストーニュ・リエージュで手首を骨折、選手にとって致命的となり兼ねない手首の骨折にもかかわらず、手術から完治しているとは言い切れない段階でツール・ド・フランスに強行出場、総合2位に終わったがステージ2勝を挙げ完全復活を感じさせた。このイル・ロンバルディアの勝利で今シーズンはモニュメント2勝、クラシック2勝、生きる伝説の名にふさわしい結果を残して見せた。
過去2度のイル・ロンバルディアの勝利に比べ、今大会での勝利はポガチャルにとっては苦しいものとなった。残り30㎞以上を独走したが、残り12㎞ほどで右足が攣り、更には左足も攣るハプニングに見舞われる。それでも足を叩きながら懸命の走りを見せた。更に幸運だったのチームメイトのアダム・イェーツ(UAEチームエミレーツ)が追走の小集団におり、プリモズ・ログリッチ(ユンボ・ヴィズマ)、カルロス・ロドリゲス(イネオス・グレナディアス)らの追走を抑えきったことだ。これで見事勝利を手中に収めた。
この日のレースはスタート直後に大波乱が起きる。ポガチャルの最大ライバルとなるはずだった一人、レムコ・エヴァネポエル(ソウダル・クイックステップ)がまさかの落車に見舞われる。そこから何とか戦列に復帰し最後まで上位争いにこだわりを見せたが、ブエルタ・ア・エスパーニャに続き、勝利の女神には見放される結果となった。
そんなレース後半の残り83㎞で逃げ集団を追走する形でアタック、その存在感を猛烈にアピールしたのはベン・ヒーリー(EFエデュケーション・イージーポスト)、今シーズン春先のクラシックとジロ・デ・イタリアで躍進した男が、ここでも積極的な走りでその存在感をアピールして見せた。逃げに合流したのはヒーリーとオスカル・オンリー(DSMフィルメニッヒ)、だが逃げには余力がなく、ここからヒーリーが必死の走りを見せる。その背後ではそのヒーリーがアシストするエースリ、チャード・カラパズ(EFエデュケーション・イージーポスト)とミケル・ランダ(バーレーン・ヴィクトリアス)が落車にしてしまう。
ヒーリーは最後の一人となったが、逃げはそう長くは続かなかった。アダム・イェーツのアタックを号砲にメイン集団は一機器活性化、ジュリアン・アラフィリップ(ソウダル・クイックステップ)がそれに反応、だがエースのエヴァネポエルは前半の落車の影響で動けない。するとログリッチやポガチャルが動き出す。
残り33㎞の最後の大きな上りでポガチャルとアレクサンダー・ヴラソフ(ボーラ・ハンスグロエ)が仕掛けるが、頂上までのログリッチらが合流し一つになる。しかし頂上を超えた直後にテクニカルなダウンヒルでポガチャルがまたしても動く。躊躇ない走りで一気に後続を突き放すと、その差はじわじわと広がっていく。途中足が攣りながらもそのままゴールまで独走し、大会3連覇を決めて見せた。
追走の集団はスプリント勝負となり、アンドレア・バジョーリ(ソウダル・クイックステップ)が殊勲の2位に入った。ログリッチは何度となく呉をとるも粘りの走りで最後はスプリント、3位表彰台に入った。エヴァネポエルは猛追を仕掛けたが、ステージ9位に終わった。
イル・ロンバルディア順位
優勝 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ) 5h55’33”
2位 アンドレア・バジョーリ(ソウダル・クイックステップ) +52”
3位 プリモズ・ログリッチ(ユンボ・ヴィズマ)
4位 アレクサンダー・ヴラソフ(ボーラ・ハンスグロエ)
5位 サイモン・イェーツ(ジェイコ・アルーラ)
6位 アダム・イェーツ(UAEチームエミレーツ)
7位 カルロス・ロドリゲス(イネオス・グレナディアス)
8位 リチャード・カラパズ(EFエデュケーション・イージーポスト) +1’06”
9位 レムコ・エヴァネポエル(ソウダル・クイックステップ) +1’26”
10位 アンドレアス・クロン(ロット・デスティニー)
H.Moulinette