ストラーデ・ビアンケ2024:誰もが唖然の圧勝!”白い道”に未舗装路決戦でポガチャルが81㎞を独走勝利、過去最高のタイム差をつけ余裕の笑顔でゴール!すでに歴史上最強の呼び声
史上最強とも言われている男は、今年の自身初レースとなったストラーデ・ビアンケであまりにも衝撃的で圧倒的なレースを見せた。今大会から距離が延び、モニュメントと呼ばれるクラシック最高峰レースに匹敵するとも言われている未舗装路のアップダウンが配されたレースは、タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ)の独断場となった。残り81㎞以上を残して、レース前の宣言通りの場所で集団から飛び出すと、そこからじわじわと後続を引き離し続け、気が付けば各最大タイム差の2分44秒差を2位につけての歴史的勝利となった。
3年連続UCI世界ランキング1位、ツール・ド・フランス制覇2回、ステージレースの総合優勝が11回、モニュメント5勝、クラシック5勝を積み上げていた男は、これでクラシック6勝目、2022年に続いて自身2度目のストラーデ・ビアンケ制覇を成し遂げて見せた。今シーズンもどこまで勝利を積み上げていくのか、25歳の若手選手がすでに歴史上に名を遺す名選手たちに肩を並べつつある。
「あの場所で仕掛けることはレース前の戦略だったんだよ。序盤からハードなレースになることはわかっていたんだ。それに雨で降ってきて、早めに選手たちが削られていったからね。あの時点で25名ほどに絞られていたし、チームメイトがペースを上げてくれていたので、地震の脚のコンディションを考えても単独で逃げ切れると感じたんだよ。」ポガチャルは戦略通りに事を運び、新たなチームメイトたちが完璧に機能したチーム戦略を讃えた。
そんな215㎞のレースは、朝から時折顔を出す太陽と生ぬるい風から雨が降り路面を濡らすなど、刻一刻と変化していく展開となる。コース全体のおよそ3分の1にあたる71㎞以上が未舗装路だが、序盤から激しいアタックの応酬となる。トム・スクインス(リドル・トレック)はこのレース開始から積極的な動きを見せるが、逃げを形成するには至らない。6名の逃げがその後決まるが、この日はUAEチームエミレーツがメイン集団をコントロール、パンクなどのトラブルに見舞われた逃げは中盤には吸収されてしまう。
しかしそんな中盤ではクイン・シモンス(リドル・トレック)らが動きを見せるが、昨年度覇者のトム・ピドコック(イネオス・グレナディアス)、ポガチャルらが機を伺う展開となる。しかしチームメイトのティム・ウェレンス(UAEチームエミレーツ)の背後にぴたりと位置取ると、そのまま残り81㎞の未舗装路の上りで一気に飛び出していく。誰もが”早すぎる”、”捕まえられる”と思ったのか、ポガチャルはあっという間に単独となり、どんどんと後続との差が開いていく。
皇族の集団ではシモンスが濡れた路面で落車、エースのスクインスを巻き添えにしてクラッシュしてしまう。この後もスクインスはパンクに見舞われるなど、トラブル続きとなったがそれでも粘りの走りで追走集団を形成する。
残り60㎞を切りタイム差は3分まで広がるが、追走集団もセップ・クス、クリストフ・ラポルトのチームヴィズマ・リースアバイクコンビに加え、レナード・ケムナ(ボーラ・ハンスグロエ)、ベン・ヒーリー(EFエデュケーション・イージーポスト)、ダビデ・フォルモロ(モビスター)、マテイ・モホリッチ(バーレーン・ヴィクトリアス)らの実績あるメンバーが顔を連ねる。
しかしこの面子がいかにペースを維持しようと、ポガチャルの一人タイムトライアル状態の速さは際立っていた。その差が4分を超えていき、ポガチャルの逃げ切りが見えてくる中、残り35㎞でマクシム・ファン・フィルス(ロット・デスティニー)が追走の単独アタック、そしてそこにスクインスが単独追走を仕掛けていく。残り21㎞でファン・ヒルスに合流したスクインスは、ここで協調体制を結びポガチャルを追走していく。
しかしその差は縮まってこない。残り5㎞を切りポガチャルは勝利を確信、笑顔を見せながら、時折コース脇の観衆とハイタッチをしながら、シエナ市街地の激坂も笑顔でクリアしていく。まさにパレードランのような走りを見せながら独走ゴールを果たすと、ゴールラインでは自らのバイクを掲げてその勝利を満喫した。
これだけペースを落としたポガチャルに対して、結局大きくタイム差を詰めることができなかった追走はシエナ市街地の激坂でスクインスがファン・ヒルスを振り切り2位、粘ったファ・・ヒルスは殊勲の3位表彰台を獲得した。ピドコックは何も動きができないままに4位、不完全燃焼に終わった。
ストラーデ・ビアンケ2024順位
1位 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ) 5h19’45”
2位 トム・スクインス(リドル・トレック) +2’44”
3位 マクシム・ファン・フィルス(ロット・デスティニー) +2’47”
4位 トム・ピドコック(イネオス・グレナディアス) +3’50”
5位 マテイ・モホリッチ(バーレーン・ヴィクトリアス) +4’26”
6位 ベノワ・コスネフロイ(デカスロン・AG2Rモンディアル) +4’39”
7位 ダビデ・フォルモロ(モビスター) +4’41
8位 レニー・マルチネス(グルーパマFDJ) +4’48”
9位 フィリッポ・ザナ(ジェイコ・アルーラ) +4’49”
10位 クリストフ・ラポルト(チームヴィズマ・リースアバイク) +5’17”
H.Moulinette