ブエルタ・ア・エスパーニャ2023第19st:グローヴスが落車でポイント賞確定的ならず!果たしてエヴァネポエルはポイント賞も狙うか?ステージを制したのはダイネーゼ、歓喜の男泣き(ダイジェストあり)
もしも今日のステージでカデン・グローブス(アルペシン・ドゥクーニンク)が勝利していたのであれば、ポイント賞ジャージはほぼ手中に収めていただろう。ポイント賞争い2番手につけているのは大会ステージ3勝と山岳賞ジャージを確定的としているレムコ・エヴァネポエル(ソウダル・クイックステップ)、しかしこの日の中間スプリントでは興味を見せず、ゴールスプリントの際にも先頭付近にチームが集結することがなかったことから、ポイント賞はグローヴスに譲ったものと思われる。しかしこのステージでグローヴスがまさかの落車でポイントを取りこぼしたことから、翌20ステージでまたもエヴァネポエルがステージ勝利を狙った場合、逆転する可能性が出てきたのだ。
ただ不幸中の幸いと言えるのが、グローヴスはタイミングよくバイクから飛び降り着地、地面に転がることはなかった。その後道路に横たわる鬼門の表情を浮かべる落車のきっかけとなったチームメイト声をかけるなど、冷静に対応していた。
そんな可能性の揺らぎが生み出されたこのステージを制したのは、アルベルト・ダイネーゼ(チームDSMフィルメニッヒ)だった。今大会エーススプリンターとして乗り込むも全くいいところなく終わっていたが、ここへきて現れたちゃんすに一発回答、先行してスプリントを開始したフィリッポ・ガンナ(イネオス・グレナディアス)の逆サイドへと展開し猛烈な加速、ガンナを唯一捉えて勝利、歓喜の男泣きを見せた。そんなダイネーゼのアシストたちはグローヴスと共に落車に巻き込まれていたが、勝利を聞き流血しながらガッツポーズと勝利の雄たけびを上げた。
スプリンターにとってはこのステージと最終日が残されたチャンス、そうなれば177.4㎞のこのステージは逃げ切りが容認される可能性は限りなく少なかった。それでも4人の逃げが発しペースメーカーとなった。この4人は4分ほどのタイム差を許されるが、後続のメイン集団をコントロールすのはアルペシン・ドゥクーニンクであり、常に射程圏内の捉えたままレースは展開していく。
そしてゴール手前20㎞の中間スプリントを目指し集団のペースが上がると逃げは崩壊、そのうち一人が先頭通過はするが4人はここで吸収され、この日の逃げ切り勝利は夢と潰えた。
そして始まったスプリント勝利を目指す展開、総合系主力チームも危険回避の為に集団先頭に位置取る為に、さらにペースが上がっていく。総合表彰台独占を狙うユンボ・ヴィズマもこの日は勝負せずともその存在感は際立っていた。
そして迎えたゴールスプリント勝負、各チームが隊列を組んで進んでいく。イネオス・グレナディアスがガンナの為にトレインを形成、そしてアルペシン・ドゥクーニンクとチームDSMフィルメニッヒも隊列を組む。しかしここへきてEFエデュケーションイージーポストのトレインが豪快にペースを上げ加わってくる。そしてそのタイミングでアルペシン・ドゥクーニンクのアシストの選手がタイミング悪く後ろを振り返ったのだった。EFエデュケーション・イージーポストの隊列が全く目に入っていなかったことで、かぶせてきた選手と接触、そのまま落車し、背後の多くの選手たちを巻き込む大落車となってしまった。
難を逃れた選手たちはここからさらに展開していくと、最高のアシストから飛び出していったガンナだった。スプリンターではないがパワーある走りでスプリントもできてしまうガンナが先頭に躍り出ると、そのままゴールまで行ってしまうかに思われた。しかしスプリンターたちにも意地があった。コース左側を駆け上がったダイネーゼはガンナを上回る加速を見せ一瞬で抜きさり、念願のブエルタ初勝利を手にした。ゴール後にはようやく勝てたことへの安堵感から涙、グランツールの勝利というものがいかに価値あるものなのかを改めて感じさせた。
アルベルト・ダイネーゼ(ステージ1位):「ようやく勝てたよ。第1週目に勝利を狙っていたんだけど、まったく何もできなかったからね。チームメイトが落車してしまったのは残念だったけど、あの段階でい位置取りを保てたことが勝因だよ。向かい風だったので、皆少し早めに仕掛けたんだど、そこでぐっとこらえて得意の距離まで待ったんだよ。来シーズンの移籍が決まっているから、このチームでスプリントで切る数少ない機会だったから、なお特別だよ。感謝しかないよ。」
ブエルタ・エ・エスパーニャ第19ステージダイジェスト
https://youtu.be/6KoOK7HieM8?si=5v9MgwNnbtsRwWu2
ブエルタ・ア・エスパーニャ第19ステージ順位
1位 アルベルト・ダイネーゼ(チームDSMフィルメニッヒ) 3h42’09”
2位 フィリッポ・ガンナ(イネオス・グレナディアス)
3位 マレィン・ファン・デン・ベルグ(EFエデュケーション・イージーポスト)
4位 ダビデ・チモライ(コフィディス)
5位 イヴァン・ガルシア(モビスター)
6位 マウリス・ベラーステッド(アルペシン・ドゥクーニンク)
7位 ルイス・アスキー(グルーパマFDJ)
8位 ユーゴ・ホフステッター(チームアルケア・サムシック)
9位 フェルナンド・バルチェロ(カハルーラル・セグロスRGA)
10位 ヨナス・コッホ(ボーラ・ハンスグロエ)
ブエルタ・ア・エスパーニャ総合順位
1位 セップ・クス(ユンボ・ヴィズマ) 69h13’36”
2位 ヨナス・ヴィンゲガード(ユンボ・ヴィズマ) +17”
3位 プリモズ・ログリッチ(ユンボ・ヴィズマ) +1’08”
4位 ホァン・アユソ(UAEチームエミレーツ) +4’00”
5位 ミケル・ランダ(バーレーン・ヴィクトリアス) +4’19”
6位 エンリック・マス(モビスター) +4’30”
7位 キアン・アイデブルックス(ボーラ・ハンスグロエ) +7’37”
8位 アレクサンダー・ヴラソフ(ボーラ・ハンスグロエ) +8’35”
9位 ジョアオ・アルメイダ(UAEチームエミレーツ) +10’20”
10位 サンティアゴ・ブイトラゴ(バーレーン・ヴィクトリアス) +12’20”
H.Moulinette