ブエルタ・ア・エスパーニャ2023第15st:試合巧者の元世界チャンピオンのコスタが巴スプリントを制して10年ぶりのグランツール勝利!エヴァネポエルは元気に2日連続の逃げ(ダイジェストあり)
世界チャンピオンになったあの年に、ルイ・コスタ(インターマルシェ・サーカスワンティ)はグランツールのツール・ド・フランスのステージを制した。そしてあれから10年、心機一転チームを移籍して迎えた今シーズン、36歳になったベテランは復活を遂げた。バレンシア一周レースでステージ勝利と総合優勝を成し遂げると、その勢いのままに世界最高峰のグランツールで見事ステージ勝利を手にして見せた。今シーズンはまさに絶好調、若き世代にはまだ譲れぬとばかりに26歳のレナード・ケムナ(ボーラ・ハンスグロエ)と23歳のサンティアゴ・ブイトラゴ(バーレーン・ヴィクトリアス)との三つ巴のゴール勝負を見事制して見せた。
このステージでは昨日同様にレムコ・エヴァネポエル(ソウダル・クイックステップ)がまたしても何度となくアタックを繰り返し逃げにのると、そのまま最後までメイン集団に追いつかれることなく走り続け、先行した3人の続いてステージ4位に入り、これで2日間で10分以上のタイムを挽回して見せた。しかし総合トップ3を独占するユンボ・ヴィズマにとってはまだ16分以上のタイム差があるだけに無理をしての対エヴァネポエルの作戦はとらず、この日も総合の直接ライバルのUAEチームエミレーツとの勝負に徹した。
自分の脱落がレースを面白くないものにしたくはない、そんな思いを吐露したレムコ・エヴァネポエル(ソウダル・クイックステップ)はこの日もスタート直後からアタックを仕掛けまくった。158.3㎞のレースの最初の1時間の平均時速は47.4㎞の超高速の展開となり、なかなか逃げが容認されない。パンチャー向けのこのステージは、逃げが決まりやすく、総合上位の危険な選手を逃すまいと各チーム目を光らせるため、なかなか決定打とはならない。
総合8位のアレクサンダー・ヴヴラソフ(ボーラ・ハンスグロエ)がレムコと逃げたかと思えば、総合5位のマルク・ソレル(UAEチームエミレーツ)も逃げを試みれ、ヨナス・ヴィンゲガード(ユンボ・ヴィズマ)がそれを追走、そしてそんなタックの応酬の中で総合9位のキアン・アイデブルックス(ボーラ・ハンスグロエ)は一旦遅れ猛追をすることになるなど、荒れ模様の状況が続いた。
レースが落ち着いたのはスタートから100㎞を過ぎ山岳セクションに入ってから。最初に40人ほどの逃げとなった集団から、エヴァネポエルがさらに飛び出していき、15名の逃げが最終的にこの日のペースメーカーとなった。そしてこの逃げをもってメイン集団は追走を止めレースは落ち着きを取り戻す。
今大会の勝利でですべてのグランツール勝利を達成したケムナ、総合トップ20圏内のブイトラゴ、エヴァネポエルと強力なメンバーが牽引する集団は、メイン集団に対し3分ほどの差を維持したまま最後の山岳へと突入していく。しかし連日集団を牽引するエヴァネポエルはアタックを仕掛けたブイトラゴとコスタのアタックについていけない。じわじわとその差が広がり30秒ほどの差になるが、そこでケムナが追走アタックを決め先頭の二人に合流を果たす。
そして山頂をそのまま通過しての下りでケムナがまさかの落車を喫するが、コスタとブイトラゴが、どちらが牽引するかで脚を緩めたことで、ケムナが何と合流を果たす。そうなればゴール勝負はこの3人によるスプリントとなる。「スプリントで勝利したことがない」と語ったことのあるケムナ、山岳スペシャリストのブイトラゴ、となれば有利なのは圧倒的にコスタだった。先行してスプリントをしたケムナに対してそれを見てスプリントを開始したコスタは余裕をもってステージ勝利を挙げた。
ルイ・コスタ(ステージ1位):「チームが僕に絶対的な信頼を寄せてくれていること、これがすごく重要なことなんだ。だからいい形でシーズンを過ごしてこれたし、ここで勝利することもできた。だからこの勝利は僕にとってはとても重要なものだよ。」
ブエルタ・ア・エスパーニャ第15ステージダイジェスト
https://youtu.be/fKS5EKi_axo?si=EHJMb_PifnXW6iPo
ブエルタ・ア・エスパーニャ第15ステージ順位
1位 ルイ・コスタ(インターマルシェ・サーカスワンティ) 3h30’56”
2位 レナード・ケムナ(ボーラ・ハンスグロエ)
3位 サンティアゴ・ブイトラゴ(バーレーン・ヴィクトリアス)
4位 レムコ・エヴァネポエル(ソウダル・クイックステップ) +02”
5位 アンドレアス・クロン(ロット・デスティニー)
6位 エイナー・ルビオ(モビスター)
7位 クリスチャン・ロドリゲス(チームアルケア・サムシック)
8位 クリス・ハミルトン(チームDSMフィルメニッヒ)
9位 ニコ・デンツ(ボーラ・ハンスグロエ) +1’07”
10位 ジミー・ヤンセンス(アルペシン・ドゥクーニンク) +2’52”
ブエルタ・ア・エスパーニャ総合順位
1位 セップ・クス(ユンボ・ヴィズマ) 54h38’42”
2位 プリモズ・ログリッチ(ユンボ・ヴィズマ) +1’37”
3位 ヨナス・ヴィンゲガード(ユンボ・ヴィズマ) +1’44”
4位 ホァン・アユソ(UAEチームエミレーツ) +2’37”
5位 マルク・ソレル(UAEチームエミレーツ) +3’06”
6位 エンリック・マス(モビスター) +3’10”
7位 ミケル・ランダ(バーレーン・ヴィクトリアス) +4’12”
8位 アレクサンダー・ヴラソフ(ボーラ・ハンスグロエ) +5’02”
9位 キアン・アイデブルックス(ボーラ・ハンスグロエ) +5’30”
10位 ジョアオ・アルメイダ(UAEチームエミレーツ) +8’39”
H.Moulinette