ブエルタ・ア・エスパーニャ2023第4st:昨日の借りは今日返す!気持ちを切り替え目標新たにエヴァネポエルが逃げ切り独走勝利!総合勢は攻めて欠きユンボ・ヴィズマの牙城崩せず(ダイジェストあり)
僅か24時間前に地獄を見た男が、気持ちを入れ替えて新たな目標を掲げて挑んできた。昨日のステージで大会連覇の夢がほぼ潰えたレムコ・エヴァネポエル(ソウダル・クイックステップ)は、決して心折れることなく新たな目標を掲げて挑んだこのステージで逃げ集団から飛び出し快走、最後は一緒に逃げ続けたロメイン・バルデ(チームDSMフィルメニッヒ)を振り切り独走、納得のステージ2勝目を挙げた。これで山岳賞ジャージも獲得、新たなモチベーションを得た。
総合上位勢は昨日のタイムロスが大きかったレムコの逃げを容認し続け、自分たちの直接対決に専念をした。全く無理をすることが無くなった総合トップ3独占のユンボ・ヴィズマはライバルたちの攻撃を防御、結局攻め手を欠いたライバルたちとともに集団でゴール、難関山岳ステージ2日目は差がつくことがなかった。
ピレネー二日目は156.2㎞のショートステージ、昨日の雪辱を果たすべくスタート直後からエヴァネポエルは波状攻撃を仕掛ける。そして発生した24名の逃げにエヴァネポエルが名を連ねる。山岳賞を狙うマイケル・ストーラー(グルーパマFDJ)、バルデ、そして山岳でのオーバータイム失格を避けたいスプリンターたちがこの24名の逃げに加わった。アルベルト・ダイニース(チームDSMフィルメニッヒ)、カデン・グローヴス(アルペシン・ドゥクーニンク)らが名を連ねるが、ハイペースで展開する状況、更には躊躇なく集団先頭でペースを上げるエヴァネポエルの走りに、逃げは徐々にバラなら担っていく。
その背後のメイン集団ではユンボ・ヴィズマが同じくハイペースを維持すると、ゲラント・トーマス(イネオス・グレナディアス)とヒュー・カーシー(EFエデュケーション・イージーポスト)ら総合上位勢が脱落していく。
そしてこの日最初のウルセール峠をトップ通過したエヴァネポエルは、そこからの下りでバルデと共に飛び出すと、そのままさらにペースを上げていく。山頂通過時点で後続の総合集団との差は3分以上にまで広がり、さらにそこから差を広げにかかる。そのまま二人で逃げ続けるエヴァネポエルとバルデは二つ目の山頂もそのままクリアしていくと、頂上ゴールを目指して最後の山岳へと突入する。その背後には山岳賞狙いのストーラーが単独で追走を仕掛けているが、その差もじわじわと広がっていく。
そして残り4㎞、エヴァネポエルがペースをさらに上げるとバルデが脱落、あっという間に独走態勢となる。そのまま妥協なき走りを見せるエヴァネポエルは狙い通り納得の勝利を挙げた。ステージ2位にはバルデがそのまま入った。
メイン集団はタイム差が広がることにはあまり関心を示さず、総合の直接対決に専念する。バーレーン・ヴィクトリアスがペースを作りユンボ・ヴィズマの走りに綻びを探すが皆無、結局ユンボ・ヴィズマの完璧なまでのトップ3の強固な防御の前に、ライバル勢は攻め手を欠いてそのまま集団でのゴールとなった。このクラスの山頂ゴールステージで総合上位勢が集団でゴールするのは稀なことではあるが、それほどまでにユンボ・ヴィズマの強さに対して攻撃の手札がないという事だ。
レムコ・エヴァネポエル(ステージ1位):「昨晩はとにかくネガティブな思考がずっと頭の中に流れ続けたよ。でも今朝起きて、気持ちを切り替えたよ。やるしかない、今できるベストを尽くせ、これしかないってね。今日のステージは総合勝負には重要になることはわかっていたのでコースは熟知していたんだよ。だからどうやって攻略していけばいいかは頭の中にインプットされていたんだよ。ステージ2勝目を獲れたことは大きいね。特に昨日のタイムロスの後での勝利は意味があるよ。」
セップ・クス(総合1位)「今日みたいなタフなステージは攻めのためのステージだよ。だからエヴァネポエルが気持ち新たに来るとは思っていたよ。彼の実力からすればこれくらいはやるだろうと思っていたよ。」
ブエルタ・ア・エスパーニャ第14ステージダイジェスト
https://youtu.be/gAubNLMJUfM?si=LYfm6vfcXgxwhnTg
ブエルタ・ア・エスパーニャ第14ステージ順位
1位 レムコ・エヴァネポエル(ソウダル・クイックステップ) 4h13’38”
2位 ロメイン・バルデ(チームDSMフィルメニッヒ) +1’12”
3位 レナート・ファン・エタフェルト(ロット・デスティニー) +6’33”
4位 ヨナタン・カストロビエホ(イネオス・グレナディアス) +6’35”
5位 マイケル・ストーラー(グルーパマFDJ) +7’24”
6位 ダビ・デ・ラ・クルス(アスタナ・カザフスタン) +8’21”
7位 アレクサンダー・ヴラソフ(ボーラ・ハンスグロエ) +8’22”
8位 セップ・クス(ユンボ・ヴィズマ)
9位 ワウト・ポエルス(バーレーン・ヴィクトリアス)
10位 ホァン・アユソ(UAEチームエミレーツ)
ブエルタ・ア・エスパーニャ総合順位
1位 セップ・クス(ユンボ・ヴィズマ) 51h04’54”
2位 プリモズ・ログリッチ(ユンボ・ヴィズマ) +1’37”
3位 ヨナス・ヴィンゲガード(ユンボ・ヴィズマ) +1’44”
4位 ホァン・アユソ(UAEチームエミレーツ) +2’37”
5位 マルク・ソレル(UAEチームエミレーツ) +3’06”
6位 エンリック・マス(モビスター) +3’10”
7位 ミケル・ランダ(バーレーン・ヴィクトリアス) +4’12”
8位 アレクサンダー・ヴラソフ(ボーラ・ハンスグロエ) +5’02”
9位 キアン・アイデブルックス(ボーラ・ハンスグロエ) +5’30”
10位 ジョアオ・アルメイダ(UAEチームエミレーツ) +8’39”
H.Moulinette