ブエルタ・ア・エスパーニャ2023第13st:ユンボ最強伝説、ステージ1‐2‐3、総合でもこれで1‐2‐3!ヴィンゲガードがステージ勝利と山岳賞ジャージ、クス総合キープ、エヴァネポエル序盤に撃沈(ダイジェストあり)


©La Vuelta
圧倒的な力と組織力、そしてそれを生かす戦略とチーム力、これほどまでに最強で圧倒的な走りを、グランツールの超難関山岳ステージで見たことがあっただろうか。オービスク峠、スパイデル峠、そしてトゥールマレー峠へゴールという怒級の山岳ステージで、チーム7人で集団のペースを落とすことなくライバルたちを削り続け、そしてツール・ド・フランス覇者のヨナス・ヴィンゲガード(ユンボ・ヴィズマ)がアタックを決め独走態勢を築くと、それをセップ・クス(ユンボ・ヴィズマ)が追走アタックで単独2位、そしてそれを追走したジロ・デ・イタリア覇者のプリモズ・ログリッチ(ユンボ・ヴィズマ)が3位でゴールを果たした。ステージ1-2-3、そしてその結果により総合順位もクス、ログリッチ、ヴィンゲガードによる1-2-3、もはやライバルがいるのかとさえ思えてしまうほどに別格の強さを見せつけてくれた。

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それに対して大会連覇を狙い最強のライバルとなるはずだったレムコ・エヴァネポエル(ソウダル・クイックステップ)は、序盤のオービスク峠でまさかの脱落、そこからズルズルと遅れは広がっていき、最終的には27分以上遅れてのゴール、一気に総合上位争いからも脱落し、総合連覇は遥か彼方に遠のいた。

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僅か134㎞のショート山岳ステージ、だがしかし一級、超級が連なる鋸刃のような超難関ステージは序盤から大きな動きが発生する。先行する逃げに対しメイン集団は総合トップ10に3人ずつを送り込んでいるユンボ・ヴィズマとUAEチームエミレーツがペースを作る。するとこの日3つある大きな山岳のうち、最初のオービスク峠の上りで早くもエヴァネポエルが脱落する。まさかの大ブレーキに対しユンボ・ヴィズマは素早く反応、一気にペースを上げエヴァネポエルを置き去りにしていく。更には総合6位のジョアオ・アルメイダ(UAEチームエミレーツ)もそのペースアップについていくことができない。何度となくアルメイダは合流を果たすが、結局その都度後れを取るという事を最後まで続ける形となり、苦しいステージとなった。

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逃げを吸収したユンボ・ヴィズマを中心としたメイン集団は、その人数を減らしながらも二つ目の山岳スパイデル峠を上っていく。この段階で先頭グループは総合上位勢のみに絞られてしまう。さらにはその頂上からの下りでマイヨ・ロホのクス、ヴィンゲガード、ミケル・ランダ(バーレーン・ヴィクトリアス)、ダミアーノ・カルーソ(バーレーン・ヴィクトリアス)が仕掛け、UAEに追走せざるを得ない状況を作り出す。そんな中ログリッチは明確な意思をもってアシストに徹する。常に追走の集団の中で睨みを利かせ、無言の圧力をかけ続ける。
総合2位のマルク・ソレル(UAEチームエミレーツ)とホァン・アユソ(UAEチームエミレーツ)はアシスト1人と共に総合9位のエンリック・マス(モビスター)と共に何とかユンボ・ヴィズマの揺さぶりと攻撃を耐えしのぐ。だが辛うじて食らいついていた総合5位のレニー・マルチネス(グルーパマFDJ)は途中何度も脱落しかけ踏みとどまったが、最終的には脱落、2度目の山岳賞を視野に入れていたマイケル・ストーラー(グルーパマFDJ)のアシストを仰ぎながらゴールを目指すこととなる。残り40㎞の段階でエヴァネポエルはすでに7分以上遅れを取り、もはや挽回不可能、チームメイトたちに守られながら耐えしのぐだけとなっていた。

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先頭の人数は僅か16名となり最後のツールマレー峠へと突入すると、クス、ヴィンゲガード、ログリッチに加えロベルト・ヘーシンク(ユンボ・ヴィズマ)がまだ残っているユンボはヘーシンクが最後の強烈なペースアップでアシスト、これにより人数は一気に減っていく。そして残り7.8㎞で満を持してヴィンゲガードが様子見のアタックをしかけてライバルたちの動きを確認すると、すぐさまそのまま再度アタックを仕掛け、一気に独走態勢へと持っていく。

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この段階まで残れたのはユンボのトリプルエースに加えてマス、アユソ、ソレル、ランダ、アレクサンダー・ブラソフとキアン・アイデブルックスのボーラ・ハンスグロエコンビ、ステフ・クラス(トータルエナジーズ)にまで絞られる。そして今度は独走のヴィンゲガードを追うようにマスがアタックを仕掛けるが、これにクスが反応、本来のアシストの役割の動きでマスをマークし、このアタックをつぶす。明確な意思をもってライバル全てを脱落させようと目論むユンボ・ヴィズマはログリッチが石のように動かずもくもくとアシストを続け、結果生き残ったマス、アユソ、アイデルブルックスの3人が交代でヴィンゲガードを追走せざるを得なくなる。

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そして満を持してクスがヴィンゲガードを追走するアタックを決めると、そのままマイヨ・ロホも単独走となる。先頭でゴールしたヴィンゲガードとのタイム差は一時的に1分差近くまで広がっていたが、クスは瞬く間にその差を30秒差まで縮めて満面の笑みでステージ2位ゴールを決めた。そしてその背後ではログリッチも余裕の表情でステージ3位、これでこのステージでの表彰台独占を決めた。

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アユソ、アイデルブルックス、マスの順でゴールを果たしたが、結果総合でもこれでユンボ・ヴィズマが表彰台を独占状態となり、さらにはチームとして年間グランツールスイープがほぼ確実となった。もし異なる選手で年間全てのグランツールを制するとなればおそらく史上初の快挙、今最強のチームがその強さを遺憾なく発揮している。

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これで総合も大シャッフルとなり、トップ10が大きく変動した。特にエヴァネポエルは総合3位から一気に27分50秒差の19位まで順位を落とした。
セップ・クス(ステージ2位、総合1位):「ただ今日はひたすらきつかったよ、ハイペースだったしね。でもチームメイトたちが牽引してくれたのがこの結果に繋がったよ。オービスク峠でエヴァネポエルが遅れていると聞いたので、一気にペースを上げたんだよ。ヴィンゲガードはいい感じで独走に持ち込んだし、僕もライバルを引き上げないようにタイミングを見ながら追走アタックを仕掛けたんだよ。」
ヨナス・ヴィンゲガード(ステージ1位、総合3位):「ツールの時のような調子のよさはないよ。現状はツールの時の9割ってところかな。今日はステージ勝利狙いだったんだ。これで総合でも1‐2‐3だろ、僕自身それに驚くよ。でもチーム内でのバトルはないよ。僕らの目的はブエルタ制覇、これは変わらないし、ほぼ達成可能なところまで来ていると思うよ。今日は娘の誕生日だったから、どうしても勝ちたかったんだよ。」
レムコ・エヴァネポエル:「今日は完全に最初からガス欠だったよ。それでも諦めないで最後まで走り抜いたよ。そのことに後悔はないし、それに付き合ってくれたチームメイトたちには感謝しかないよ。今日行こう何を目標としてレースに挑むかをこれから皆で話し合うよ。」
ブエルタ・ア・エスパーニャ第13ステージダイジェスト
https://youtu.be/6FcHUslyEmk?si=ucWxZY3wc2fI8ccD
ブエルタ・ア・エスパーニャ第13ステージ順位
1位 ヨナス・ヴィンゲガード(ユンボ・ヴィズマ) 3h51’10”
2位 セップ・クス(ユンボ・ヴィズマ) +30”
3位 プリモズ・ログリッチ(ユンボ・ヴィズマ) +33”
4位 ホァン・アユソ(UAEチームエミレーツ) +38”
5位 キアン・アイデブルックス(ボーラ・ハンスグロエ)
6位 エンリック・マス(モビスター) +40”
7位 ミケル・ランダ(バーレーン・ヴィクトリアス) +1’15”
8位 アレクサンダー・ヴラソフ(ボーラ・ハンスグロエ) +2’10”
9位 ステフ・クラス(トータルエナジーズ) +2’32”
10位 マルク・ソレル(UAEチームエミレーツ) +3’08”
ブエルタ・ア・エスパーニャ総合順位
1位 セップ・クス(ユンボ・ヴィズマ) 46h42’54”
2位 プリモズ・ログリッチ(ユンボ・ヴィズマ) +1’37”
3位 ヨナス・ヴィンゲガード(ユンボ・ヴィズマ) +1’44”
4位 ホァン・アユソ(UAEチームエミレーツ) +2’37”
5位 マルク・ソレル(UAEチームエミレーツ) +3’06”
6位 エンリック・マス(モビスター) +3’10”
7位 ミケル・ランダ(バーレーン・ヴィクトリアス) +4’12”
8位 アレクサンダー・ヴラソフ(ボーラ・ハンスグロエ) +5’02”
9位 キアン・アイデブルックス(ボーラ・ハンスグロエ) +5’30”
10位 ジョアオ・アルメイダ(UAEチームエミレーツ) +8’39”
H.Moulinette
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