ブエルタ・ア・エスパーニャ2023第9st:危険と判断で激坂バトル短縮も、計測ポイント2転3転で勝負に水を差す、ステージを制したのはケムナ、すべてのグランツールでのステージ勝利達成(ダイジェストあり)


©La Vuelta
ブエルタ・ア・エスパーニャの主催者はツール・ド・フランスと同じASOではあるのだが、お国柄というものは大きく異なる。ツール・ド・フランスでは全てがシステマチックにきっちりしているのに対して、ブエルタ・ア・エスパーニャは昔からだが全てがおおざっぱでアバウトすぎる。そして今大会でも安全面などでレムコ・エヴァネポエル(ソウダル・クイックステップ)が3日連続で怒り心頭、3日目にはそれにより落車、出血もして「我慢の限界」というところまで行った。

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そのせいか変に神経質になった主催者は、危険と判断したステージで、ゴール計測タイムのみをゴールライン手前に設置することを既に一ステージで行ったが、その際は何とスマホで動画撮影をしたうえで手作業で紙の上での作業という超アナログな作業を行った。果たして正確なのかどうかさえ疑わしいが、このステージでもレース開始直後に道路に先日の雨で泥が流れ出したので危険とのことで一旦は残り2.6㎞で計測することが発表された。しかしその後今度は選手たちが残り30kっまで来た段階で2.05㎞地点に変更さた。さらにはその計測ポイントには小さな赤のラバーコーンが道路わきに置かれているというだけだった。多くの選手たちがどこが計測ポイントだったかがよくわからなかったらしく、結果として大きなタイム差ではないがクスはタイムロスをし、いくつかの総合順位も入れ替わった。ベルギーなどの新聞社がこぞって後手後手の対応に対し「ブエルタ主催者はアマチュア」、「大会の唯一の敗者は主催者」と書き立てており、今後大きな改善が求められそうだ。例年とは異なる異常気象とはいえ、1秒を争う世界にしては対応が後手後手で場当たり的なのは見る側にっても競技者にとってもマイナスが大きい。

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そんなステージはこの計測ポイント変更で、本来見られるはずだった総合バトルはほぼ行われずに、不完全燃焼に終わったが、これはエヴァネポエルにとっては大きなアドバンテージになったかもしれない。アシストの力の圧倒的な差による総攻撃をこのステージでこなす必要がなくなり、それ尾どころか計測地点のごたごたの間にクスとのタイム差を僅かに詰めることができたことで、体力を温存したまま休息日明けの個人TTに挑めそうだ。
そんなステージは、ステージ勝負だけは本来のゴールラインで行われた。逃げ集団の逃げ切りが容認されたことで、全てのグランツールでのステージ勝利を狙っていたレナード・ケムナ(ボーラ・ハンスグロエ)が激坂区間を利用し飛び出すと、見事な走りで独走勝利を飾った。まだ26歳にして総合力も高く結果を安定して残しているケムナの評価はますます上がりそうだ。

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184.5㎞のこのステージは、横風による影響が大きかった。横風は集団を分断する作戦をとりやす個、場合によっては大きな差がつくステージとなる。このステージでも横風が吹くたびにソウダル・クイックステップ矢ユンボ・ヴィズマが攻撃的な走りに切り替え集団を分断する。しかしこの日は総合の計測ポイントが変更となったことで、総合系のメイン集団はこの日は大きな勝負ならないと判断、先行していた逃げ集団を容認することとなる。

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先行していた逃げには、ケムナ、マッテオ・ソブレロ(ジェイコ・アルーラ)や、出場選手中最年長40歳のダニエル・ナヴァーロ(ブルゴスBH)らが名を連ねた。ステージ勝利を狙う選手たちにとっては、総合系の計測ポイントが代わっても関係なし、勝負はあくまでもゴールラインにある。残り5㎞でケムナが仕掛けると、ライバルたちは誰も付いていけず、そのままゴールまで一人旅を続けた。最後はゴールでガッツポーズ、余裕をもっての勝利となった。

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レナード・ケムナ(ステージ1位):「実はブエルタでのステージ勝利でのグランツールステージ勝利コンプリートを狙うのに、ツール・ド・フランス出場をやめてこのレースに絞ってきたんだ。それに僕はスプリントで一度も勝利したことがないから、勝つなら独走しかないんだよね。それがこの間はうまくいかなかったけど、こうして結果に繋がってよかったよ。」
エンリック・マス(総合ステージ9位、総合8位 ):「天気が良ければ最高のステージになったんだけどね。天候だけはコントロールできないからね。僕らは勝負の世界で生きているから、ついリスクを冒してでも勝ちに行ってしまう。だから主催者がこうして判断をしてくれるようになったこと自体はいいことだよ。」
セップ・クス(総合1位):「まあそもそも舗装が悪いうえに泥が乗って滑りやすかったから、勝負となっていれば落車は発生していただろうね。前半は横風で分断がしやすかったので仕掛けていたんだよ。常に集団先頭にいることが大事だよね。後は明後日の個人TTでベストを尽くしてどこまでできるかだね。。」
ブエルタ・ア・エスパーニャ第9ステージダイジェスト
https://youtu.be/uxe4Xuydxd8?si=8oOvbgWDw5deap51
ブエルタ・ア・エスパーニャ第9ステージ順位
1位 レナード・ケムナ(ボーラ・ハンスグロエ) 4h28’59”
2位 マッテオ・ソブレロ(ジェイコ・アルーラ) +13”
3位 クリス・ハミルトン(チームDSMフィルメニッヒ) +1’12”
4位 アマニュエル・ゲブレザビエル(リドル・トレック) +1’00”
5位 ヨン・バレネチェア(カハルーラル・セグロスRGA) +1’37”
6位 ルーベン・フェルナンデス(コフィディス)
7位 ヨハン・カイセド(EFエデュケーション・イージーポスト) +2’11”
8位 ダニエル・ナヴァーロ(ブルゴスBH) +2’41”
9位 エンリック・マス(モビスター) +3’16”
10位 アレクサンダー・ブラソフ(ボーラ・ハンスグロエ) +3’11”
ブエルタ・ア・エスパーニャ総合順位
1位 セップ・クス(ユンボ・ヴィズマ) 35h23’30”
2位 マルク・ソレル(UAEチームエミレーツ) +43”
3位 レニー・マルティネス(グルーパマFDJ) +1’02”
4位 レムコ・エヴァネポエル(ソウダル・クイックステップ) +2’22”
5位 ミケル・ランダ(バーレーン・ヴィクトリアス) +2’29”
6位 プリモズ・ログリッチ(ユンボ・ヴィズマ)
7位 ヨナス・ヴィンゲガード(ユンボ・ヴィズマ) +2’33”
8位 エンリック・マス(モビスター)
9位 ホァン・アユソ(UAEチームエミレーツ) +2’43”
10位 ジョアオ・アルメイダ(UAEチームエミレーツ) +2’55”
H.Moulinette
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