ブエルタ・ア・エスパーニャ2023第8st:ユンボのエヴァネポエル包囲網!ログリッチがステージ優勝、クスが総合リーダーに!マルチネスは脱落も粘りの走りで新人賞ジャージ死守(ダイジェストあり)


©La Vuelta
チーム力の差は徐々に今後のステージでボディーブローのように効いてくるかもしれない。圧倒的優位に立っているユンボ・ヴィズマは、終始レースをコントローすると、残り6.5㎞からの激坂で、プリモズ・ログリッチ、ヨナス・ヴィンゲガード、セップ・クスの3枚体制でレムコ・エヴァネポエル(ソウダル・クイックステップ)を追いつめた。3対1の構図に、クスが陽動を仕掛けるがエヴァネポエルは動かず、ただひたすらにマイペース走法でユンボ勢にアタックの隙を与えないハイケイデンス走法に徹する。

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ユンボ勢はそれに対して積極的に大きく動くこともなくエヴァネポエルの背後でひたすら徹底マークを続けると、頂上を超えてからの下りの後のゴールスプリント勝負でようやくログリッチが動きエヴァネポエルの前に出る。ログリッチそのまま先頭でゴールし、通算11度目のブエルタステージ優勝を挙げた。そしてその背後でゴールしたクスはそのまま総合リーダージャージを奪取、エヴァネポエルには2分31秒差を維持している。
敗北したエヴァネポエルだが、凡ミスで勝利を逃したことにレース後激怒している。無線が途中から聞こえなくなり、逃げが先にゴールしていると勘違いしゴールスプリント勝負をきちんとせぬままログリッチとのタイム差がつかないようにゴールしてしまったのだ。「勝てたかもしれない。」と悔しがったが後の祭り、やはりチーム力の差からくる焦りは間違いなくあったのだろう、冷静な判断をし損ねてしまったようだ。

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この日は165㎞の山岳ステージ、頂上ゴールではないが、ゴール前に3.9㎞にわたる激坂区間があり、間違いなく総合勢によるバトルが勃発する予感を感じさせた。そんなステージで飛び出したのは、ミスター逃げ男ことトーマス・デ・ヘント(ロット・デスティニー)、ベテランの逃げのスペシャリストは14人に逃げを形成するが、これは集団に飲み込まれてしまう。しかしそれでも諦めないデ・ヘントは再び逃げを敢行し、ダミアーノ・カルーソ(バーレーン・ヴィクトリアス)、バウク・モレンマ(リドル・トレック)らと30名の大逃げを形成した。

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メイン集団は総合リーダーのレニー・マルチネス(グルーパマFDJ)の為にチームがメイン集団をコントロール、それに対して先頭集団ではデ・ヘントがまたしても仕掛けて一時ソロになるが、その後激しい先頭争いの中でフェイドアウトしていってしまった。逃げ切りを目論むカルーソらが必死の破城を見せるが、メイン集団はユンボ・ヴィズマが徐々にその牙をむき始めていた。ペースを上げていくユンボ・ヴィズマの牽引で、メイン集団も徐々にその数を減らしていく。
そして残り10㎞で先頭集団の残りのメンバーとメイン集団との差が1分を切ると、激坂ではゲラント・トーマス(イネオス・グレナディアス)がまず脱落、更にはマイヨ・ロホのロドリゲスも上半身を大きく左右に振りながらの苦しい走行となり遅れていく。何とかマイケル・ストーラー(グルーパマFDJ)のアシストでそのダメージを最低限に抑えるべく懸命の走りを見せるが、じわじわとその差は広がっていく。

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逃げがすべて捉えられ、気が付けば先頭には ログリッチ、ヴィンゲガード、クスのユンボ・ヴィズマのトリプルエースに加え、エンリック・マス(モビスター)、ホァン・アユソ(UAEチームエミレーツ)、エヴァネポエルという総合上位勢のみという状況となる。
その状況でまず動いたのはクス、先行しながら後ろを振り返り状況を確認しながら激坂を上っていく。数的不利となったエヴァネポエルはこれに対し反応はせず、だがしかし追加でのユンボ・ヴィズマのアタックを妨げるべくハイペースで走り続ける。

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数的優位に立ったユンボ・ヴィズマは無理することなくエヴァネポエルに力を使わせ続ける。そしてそのまま山頂を通過して迎えると、ジョアオ・アルメイダ(UAEチームエミレーツ)、マルク・ソレル(UAEチームエミレーツ)も合流しゴール勝負、ログリッチが満を持して渾身のスプリントを披露、見事にステージ勝利を挙げた。そしてそれに2秒遅れでゴールしたクスが念願のマイヨ・ロホを獲得した。エヴァネポエルは単独でも強いが、それに脚を使わせる作戦に出たユンボ・ヴィズマ、またそれに便乗した形となったUAEチームエミレーツはそれぞれこれで3名ずつを総合トップ10に送り込んでおり、エヴァネポエルにとってはこれからもきつい攻撃にさらされることとなりそうだ。
またロドリゲスは粘りの走りで総合3位に踏みとどまり、新人賞ジャージをキープしている。

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プリモズ・ログリッチ(ステージ1位、総合7位):「今日は完璧に戦略通りだったよ。チームも終始レースをコントロールしてくれたあれだけの働きをしてくれたんだから、そりゃ勝つしかないでしょ。スプリントは運任せのところまるけど、まだ脚が残っていたからね。僕はちゃんと逃げをすべて吸収していたことを把握していたよ。だからステージ勝利のためにスプリントしている認識はあったよ。あとうちは3人エース体制だからね、でももっとその人数が増えるかもよ(笑)」

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セップ・クス(ステージ7位、総合1位):「できることならこのジャージを最終日まで着ていたいね。正直ぼくがこのじゃじに袖を通すことがあるとは想定していなかったんだよね。でもツール・ド・フランスと違って、ブエルタでは色々な選手たちにチャンスが巡ってくる、そんなレースでこのジャージを獲得できたことが何よりも嬉しいね。これは僕のような選手にとっては日常的に起きることではないからね。今日の僕の仕事は、エヴァネポエルに追走をさせて脚を使わせることだったから、完璧にうまくいったよ。本当はそのまま行ってもよかったんだけど、さすがにエヴァネポエルの馬力が凄くてそれは難しかったよ。そうしたらログリッチがステージ狙いたい、と言って来たから、彼が勝負したんだよ。」

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レムコ・エヴァネポエル(ステージ2位、総合6位):「ステージ勝利のためにスプリントしているとは思わなかったよ。無線が聞こえてなかったので、他に選手たちがゴールしているとばかり思っていたよ。それがなければ僕が勝てたかもしれない。ここは僕のホームで近所だし、だからこそモチベーション高かったんだけど、本当に残念だよ。」
ブエルタ・ア・エスパーニャ第8ステージダイジェスト
https://youtu.be/IZ6nMMzbKgg?si=0wKRhlEqe9biclv6
ブエルタ・ア・エスパーニャ第8ステージ順位
1位 プリモズ・ログリッチ(ユンボ・ヴィズマ) 4h13’52”
2位 レムコ・エヴァネポエル(ソウダル・クイックステップ)
3位 ホァン・アユソ(UAEチームエミレーツ)
4位 エンリック・マス(モビスター) +02”
5位 ヨナス・ヴィンゲガード(ユンボ・ヴィズマ)
6位 ジョアオ・アルメイダ(UAEチームエミレーツ)
7位 セップ・クス(ユンボ・ヴィズマ)
8位 マルク・ソレル(UAEチームエミレーツ)
9位 ワウト・ポエルス(バーレーン・ヴィクトリアス) +34”
10位 アレクサンダー・ブラソフ(ボーラ・ハンスグロエ) +39”
ブエルタ・ア・エスパーニャ総合順位
1位 セップ・クス(ユンボ・ヴィズマ) 30h51’06”
2位 マルク・ソレル(UAEチームエミレーツ) +43”
3位 レニー・マルティネス(グルーパマFDJ) +1’00”
4位 ワウト・ポエルス(バーレーン・ヴィクトリアス) +2’05”
5位 ミケル・ランダ(バーレーン・ヴィクトリアス) +2’29”
6位 レムコ・エヴァネポエル(ソウダル・クイックステップ) +2’31”
7位 プリモズ・ログリッチ(ユンボ・ヴィズマ) +2’38”
8位 ヨナス・ヴィンゲガード(ユンボ・ヴィズマ) +2’42”
9位 エンリック・マス(モビスター)
10位 ホァン・アユソ(UAEチームエミレーツ) +2’52”
H.Moulinette
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