ブエルタ・ア・エスパーニャ2023第3st.:いきなりの総合バトル勃発!ステージを制したのはエヴァネポエルだが、ゴール後関係者に突っ込み落車流血、ヴィンゲガードが2位、アユソ3位
ブエルタは過酷だ。第3ステージていきなり迎える頂上ゴール勝負は、今大会用意されている9つの頂上ゴールの一発目だ。いきなり大会3日目にして総合争いが明確に影響を受けるだけに、悪天候だけは避けたかった。昨日の予報では雨だったが、山頂付近は前日に雪が降ったが、この日は風が吹き荒れ選手たちを容赦なく苦しめた。そしてそんなステージを制したのは総合優勝を狙うレムコ・エヴァネポエル(ソウダル・クイックステップ)、だがこの日もエヴァネポエルにとっては主催者に苦情と苦言を呈したいステージとなった。何とあまりの速度にゴール後に減速するのに十分なスペースがなくスタッフに突っ込み落車、顔面から地面に叩き付けられ顔右側面から大きく流血する羽目となった。「流石に堪忍袋の緒が切れる。この3日間、安全面が考慮されてない。」と勝者インタビューで開口一番で苛立ちを口にした。
だがエヴァネポエルはステージ優勝と共に総合リーダージャージも奪取、泣き笑いが一度に来るステージとなった。そのエヴァネポエルに迫ったのはツール・ド・フランスからのグランツール連覇を狙うヨナス・ヴィンゲガード(ユンボ・ヴィズマ)、軽快な走りでエヴァネポエルの様子を伺いながらそのあとを追いステージ2位、これで総合でも4位まで順位を上げ間違いなく調子は良さそうだ。そしてUAEチームエミレーツのホァン・アユソがステージ3位に入り、今大会の総合優勝争いに名乗りを上げた。
逆にこのステージでイネオス・グレナディアスが完全に苦戦、残り数キロまでは複数名の選手たちが先頭集団にいたが、あっという間に散り散りとなり、エースのゲラント・トーマス(イネオス・グレナディアス)がこのステージだけで47秒遅れてしまった。代わりにサイメン・アレンスマン(イネオス・グレナディアス)が最後まで踏ん張り切りエヴァネポエルから21秒差で先着した。
このステージは山岳の小国、アンドラ公国での2連1級山岳での頂上ゴールが用意された158.5㎞の短いステージ、しかしだからこそハイペースバトルが予感され、一つのミスが大会そのものを失うことになり兼ねないだけに、リスクとギャンブルをどう捉えていくが問われるところだ。
予想通り時速50kオーバーのハイペースで最初の一時間が展開すると、ようやくこの日の逃げが決まる。グランツールでの総合上位も狙えるダミアーノ・カルーソ(バーレーン・ヴィクトリアス)、この大会ですべてのグランツールステージ勝利を達成したいレナード・カムナ(ボーラ・ハンスグロエ)を筆頭に、9名の逃げがこの日のペースを作っていく。
そのままレースはチームDSMフィルメニッヒが追走を主導して最後の2連山岳へと突入していくと、追走のメイン集団では総合リーダージャージを奪還したいのロメイン・バルデ(チームDSMフィルメニッヒ)がアタックを仕掛ける。しかしこれは不発に終わると、今度はUAEチームエミレーツ、そしてユンボ・ヴィズマと主導権が移り変わる。今大会が今シーズン3つ目のグランツール出場となる最強アシストのセップ・クス(ユンボ・ヴィズマ)も揺さぶりをかけ、ヴィンゲガード、プリモズ・ログリッチ(ユンボ・ヴィズマ)のダブルエースを擁する黄色い軍団は今大会でも目立った動きを見せる。
先頭ではカムナとカルーソが逃げ切り勝利を目指し一騎打ちとなっていくが、追走集団の先頭をジェイ・ヴァイン(UAEチームエミレーツ)が引き始めると、その差は瞬く間に縮まっていった。そして最後まで粘り続けたカムナを吸収すると、集団は人数を減らしながら山岳スプリントへ向け進んでいく。
スプリント力のあるログリッチとエヴァネポエルの一騎打ちとなるかに思われたが、先に仕掛けたエヴァネポエルに対して反応できたのはヴィンゲガード、しかし爆発力のあるエヴァネポエルを仕留めることはできず、1秒差でのゴールとなった。
レムコ・エヴァネポエル(ステージ1位、総合1位):「最後の上りでも気持ちよく走れたよ。長くてハードなスプリントになったけど、それも完ぺきにこなせた。結果には最高にハッピーだね。本当は逃げ切りが決まってくれていたら、直接勝負はここまで激しくならなかったんだけどね。カムナを捉えた時点で、チームメイトが”ステージ勝利を狙おうぜ”と言って来たので、そこで気持ちを引き締めたんだよ。アンドラの高山で勝てたという事は、準備がうまくいったという事だよ。」
ヨナス・ヴィンゲガード(ステージ2位、総合4位):「最高の日じゃない日もあるさ、それがレースだろ。今日はチームとしていい仕事ができた、それだけでこの2位は価値あるものなんだよ。」
セップ・クス(:「天気さえよければアンドラは最高だね。アユソは最終的に表彰台争いの直接のライバルになってくると思うよ。ログリッチとヴィンゲガードが調子がいいだけで、チーム全体やる気が出るんだよ。」
ゲラント・トーマス:「調子は悪くなかったんだよ。でも脚がなかったんだよ。ただそれだけのことだよ。まだ大会序盤だから、ここから盛り返していくよ。」
ブエルタ・ア・エスパーニャ第3ステージダイジェスト
https://youtu.be/dZUgrIuj2F4?si=bzifZoBtcEtK2Nh4
ブエルタ・ア・エスパーニャ第3ステージ順位
1位 レムコ・エヴァネポエル(ソウダル・クイックステップ) 4h15’39”
2位 ヨナス・ヴィンゲガード(ユンボ・ヴィズマ) +1”
3位 ホァン・アユソ(UAEチームエミレーツ)
4位 プリモズ・ログリッチ(ユンボ・ヴィズマ)
5位 マルク・ソレル(UAEチームエミレーツ)
6位 エンリック・マス(モビスター)
7位 レニー・マルティネス(グルーパマFDJ)
8位 キアン・アイデブルックス(ボーラ・ハンスグロエ)
9位 ジョアオ・アルメイダ(UAEチームエミレーツ)
10位 アレクサンダー・ヴラソフ(ボーラ・ハンスグロエ)
H.Moulinette
ブエルタ・ア・エスパーニャ総合順位
1位 レムコ・エヴァネポエル(ソウダル・クイックステップ) 8h43’11”
2位 エンリック・マス(モビスター) +5”
3位 レニー・マルティネス(グルーパマFDJ) +11”
4位 ヨナス・ヴィンゲガード(ユンボ・ヴィズマ) +31”
5位 アレクサンダー・ヴラソフ(ボーラ・ハンスグロエ) +33”
6位 キアン・アイデブルックス(ボーラ・ハンスグロエ)
7位 ロメイン・バルデ(チームDSMフィルメニッヒ) +35”
8位 サンティアゴ・ブイトラゴ(バーレーン・ヴィクトリアス)
9位 ウィルコ・ケルデルマン(ユンボ・ヴィズマ) +37”
10位 プリモズ・ログリッチ(ユンボ・ヴィズマ)
H.Moulinette