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©ASO

勝負師というのは時に驚くような勝負勘を発揮する。ヤスパー・フィリップセン（アルペシン・ドゥクーニンク）はここまでのステージではマシュー・ファン・デル・ポエル（アルペシン・ドゥクーニンク）の圧倒的なスーパーアシストからの力勝負で勝利してきたが、このステージではそのアシストなくともライバルたちを自らのアシスト代わりに使い鮮やかに勝利を奪い取って見せた。

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アシストがないならライバルたちの動きを利用し、その僅かな隙間を縫うように最前列まで駆け上がると、先頭で仕掛けたディラン・グローネウェーゲン（ジェイコ・アルーラ）を完ぺきなリードアウトに利用して見せた。そのまま格の違いを見せつける爆発的スプリントで、他を寄せ付けない圧勝で今大会早くも4勝目を挙げた。あまりの圧倒的なスプリントの実力差に、ライバルたちはあきらめの表情を見せた。

この日も総合は動かず、ただ毎ステージのようにユンボ・ヴィズマは常に危険回避の為に先頭で残り3㎞へと突入していく。徹底した走りで総合優勝へ向け、万全の状態を保っている。

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昨日の荒れた展開とは異なり、このステージでは3名の逃げがすんなりと容認され決まった。しかしこの日のスプリント勝負を望むアルペシン・ドゥクーニンクが追走集団前方でペースをコントロール、逃げは大きなアドバンテージを築くことができない。更にジェイコ・アルーラやソウダル・クイックステップも加わり、逃げ切りの勝利への道筋は全く見えないままにレースは進む。

残り13.5㎞で逃げが吸収されえると、一気にスプリンターチームが動き出す。各チームトレインを組みエーススプリンターたちの準備をを整える。しかしこの日もコースは右へ左へと曲がりくねり、さらにはロータリの左右どちらかを抜けるかで大きなタイムロスが生まれるなど、位置取り合戦が激しく繰り返された。

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そんな激しい位置取り争いの中で、いつもならファン・デル・ポエルに引き連れられ強引に先頭に躍り出て勝負するフィリップセンだが、アシストを失いライバルたちの囲まれてしまう瞬間さえあった。だがそこから驚異的な嗅覚でライバルたちの間をすり抜けていく。上空からの映像でもあまりにも鮮やかに、そして軽やかにライバルたちを交わしていくと、そのまま自らの間合いに入ると豪快なスプリントを開始した。あっという間に先行したグローネウェーゲンを追い越すと、最後は1車体以上の差をつけての勝利となった。アシストがあったから勝てたのではないか、そんな外野の声を黙らせる見事な勝利を挙げて見せた。

2位に入ったグローネウェーゲンはあまりの速度差に半ば諦めにも似た表情を見せた。そしてステージ3位にはフィル・バウハウス（バーレーン・ヴィクトリアス）が入り、ブライアン・コカード（ダイレクトエナジーズ）はまたしても勝利とはならなかった。

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ヤスパー・フィリップセン（ステージ1位）：「（チームにジャスパー・ザ・デザスターというあだ名をつけられたことに対して）今日かったらねって言ってたんだけど、勝っちゃったね（笑）hん等に信じられないようなツール・ド・フランスになっているよ。本当に勝ち続けられていることを誇りに思う。そして今日みたいなシチュエーションでも勝てたことは本当に意味があると思う。ヴァン・デル・ポエル抜きでも勝てたけど、そりゃ彼がいてくれた方がずっと楽だよ。」

ヨナス・ヴィンゲガード（総合1位）：「きゅみたいなステージが一番不用意なタイムロスをしやすいんだよ。それどころか落車に巻き込まれれば、ツールが終わってしまう。だから慎重に走ったんだよ。チームはそのあたりしっかりとしてくれていて、残り3㎞を切ってからも無理なく他の選手たちの流れに乗っていく感じでゴールまで行ったんだ。」

ツール・ド・フランス第11ステージダイジェスト
ASO 公式ダイジェスト　https://youtu.be/hlMqDefkt6A

ツール・ド・フランス第11ステージ
1位　ヤスパー・フィリップセン（アルペシン・ドゥクーニンク）　　　4h01’17”
2位　ディラン・グルーネウェーゲン（ジェイコ・アルーラ）
3位　フィル・バウハウス（バーレーン・ヴィクトリアス）
4位　ブライアン・コカード（ダイレクトエナジーズ）
5位　マッズ・ペデルセン（リドル・トレック）
6位　アレクサンダー・クリストフ（UNO-Xプロサイクリング）
7位　ルーカ・モッツアート（アルケア・サムシック）
8位　ピーター・サガン（トータルエナジーズ）
9位　ワウト・ファン・アールト（ユンボ・ヴィズマ）
10位　サム・ウェルスフォード（チームDSMフィルメニッヒ）

ツール・ド・フランス総合順位
1位　ヨナス・ヴィンゲガード（ユンボ・ヴィズマ）　　46h34’27”
2位　タデイ・ポガチャル（UAEチームエミレーツ）　　　+17”
3位　ジャイ・ヒンドリー（ボーラ・ハンスグロエ）　　　+2’40”
4位　カルロス・ロドリゲス（イネオス・グレナディアス）　　+4’22”
5位　ペッロ・ビルバオ（バーレーン・ヴィクトリアス）
6位　アダム・イェーツ（UAEチームエミレーツ）　　　+4’39”
7位　サイモン・イェーツ（ジェイコ・アルーラ）　　　+4’44”
8位　トム・ピドコック（イネオス・グレナディアス）　　+5’26”
9位　ダビ・ガウドゥ（グルーパマFDJ）　　　+6”01”
10位　セップ・クス（ユンボ・ヴィズマ）　　　+6’45”

H.Moulinette