ツール・ド・フランス2023第9st:伝説の山頂を制したのは36歳のウッズ!激坂単独猛追で大逆転勝利!総合バトルも勃発、ポガチャルがヴィンゲガードに攻撃仕掛け7秒奪い取る(ダイジェストあり)


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1964年、この山頂ゴールでレイモンド・ポリドールとジャック・アンティクルはツール・ド・フランス史に残る伝説のバトルを繰り広げた。
35年ぶりにコースに組み込まれたレ・ペイ・デ・ドムの頂上ゴール、残り4㎞からは一般客立ち入り禁止の10%以上の勾配の細い道をひたすら上り続ける過酷なコースだ。そんな伝説の山頂ゴールは曲がりくねった急勾配ではなく直線的に上っていくだけに、精神的にプレッシャーとなる難コースだ。そんなステージを制したのは、逃げ集団から飛び出し先行していた面々を、後方からひたすら淡々と上り続けて一人、また一人と仕留めていったマイケル・ウッズ(イスラエル・プレミアテック)、36歳のベテラン実力者が試合巧者ぶりを発揮し、残り400mで大逆転の勝利を飾った。

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そして総合優勝争いでも激しいバトルの応酬となった。翌日に休息日を控え全面バトルとなったが、最終的には総合リーダーのヨナス・ヴィンゲガード(ユンボ・ヴィズマ)と、総合2位のタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ)の一騎打ちとなった。そしてゴールまで残り1.5㎞でポガチャルが仕掛けると、ヴィンゲガードは必死の走りでタイム差を喰いとどめようと粘りの走りを見せた。僅か7秒だがポガチャルが先着、ヴィンゲガードはマイヨ・ジョーヌを何とか守り抜いたが、苦しいステージとなった。総合3位のジャイ・ヒンドリー(ボーラ・ハンスグロエ)は早々に脱落したものの、そこから粘りの走りでまたしても踏ん張り切り、総合3位をキープして見せた。

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そんなステージは序盤から14名の逃げが容認された。山岳賞ジャージのニールソン・パウレス(EFエデュケーション・イージーポスト)を筆頭に、マテイ・モホリッチ(バーレーン・ヴィクトリアス)、ピエール・ラトゥール(トータルエナジーズ)など実力者に加え、マッテオ・ヨルゲンセン(モビスター)といった若手も加わり、快調に後続のメイン集団とのタイム差を広げていく。パウレスも順調に山岳ポイントを積み重ね、着々と山岳賞ジャージ固めに入る。

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メイン集団もこの日の逃げを無理に追うことはなく、タイム差はどんどんと開いていき最大で12分以上にまで広がり、この日の逃下集団によるステージ優勝争いが確定的なものとなる。それに先駆けヨルゲンセンは残り50㎞で飛び出し単独でのステージ勝利を狙いに行く。
そのまま単独で最後のレ・ペイ・デ・ドムに突入していくと、その背後にはさらに山岳ポイントを積み重ねたいパウレス、モホリッチ、マシュ・ブルガドー(トータルエナジーズ)が続く。勾配が厳しくなり、この3人がばらけていく中、そのはるか背後から淡々とマイペースで刻んできたのがウッズ、残り2㎞を切りパウレスらを追い抜くと、残り1.4㎞ではモホリッチを捉え、そして残り450mでヨルゲンセンを捉え大逆転の勝利を飾った。そしてステージ2位にはこちらも猛追を仕掛けたラトゥールが入り、モホリッチ、ヨルゲンセンと続いた。

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そしてその後ろでもメイン集団のバトルが始まる。この日も牽引したのはユンボ・ヴィズマ、ウィルコ・ケルデルマンが、セップ・クスとヨナス・ヴィンゲガードを引き連れペースを上げていく。一度はケルデルマンが外れるが、すると集団はペースダウン、UAEチームエミレーツが主導権を一瞬握るが、攻めを貫きたいユンボ・ヴィズマはケルデルマンが再び集団先頭まで上がり、もう一仕事を果たす。
この牽引により集団は大きく削られ、クス、ヴィンゲガード、ポガチャル、アダム・イェーツ(UAEチームエミレーツ)、サイモン・イェーツ(ジェイコ・アルーラ)、トム・ピドコックとカルロス・ロドリゲス簿イネオス・グレナディアスコンビの7人に絞られる。この段階でヒンドリーは脱落してしまうが、ここからヒンドリーもマイペース走法でこらえ続けた。

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そして残り1.7㎞、クスが役目を終えペースを落としたが、通常ならこのタイミングで動くはずのヴィンゲガードが動かない。代わりにサイモン・イェーツが動くと、アダム・イェーツが脱落していく。そしてこの段階でヴィンゲガードが動けないのではと感じたポガチャルが残り1.5㎞で猛然とアタックを仕掛ける。これにヴィンゲガードはついていくが、数m離れた差が縮まらない。これを見たポガチャルはさらにペースを上げつつ、ゴール前の14%の勾配で懸命にもがきさらにその差を僅かながら広げて見せた。ヴィンゲガードは苦しみながらもなんとかポガチャルの背中を捉えたままゴール、7秒のタイムロスにとどめて見せた。その後サイモン・イェーツとピドコックが続き、ロドリゲス、アダム・イェーツ、ヒンドリーと総合上位勢が順次ゴール、アシストを続けたクスもここでゴールし総合での順位を9位へと上げた。

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マイケル・ウッズ(ステージ1位):「勝利が信じられなくて、ほっぺをまだつねっているよ。今年37歳になるんだけど、伝説の舞台で勝利できたことは最高の気分だよ。ツールで勝利することは究極の目標だったからね。皆が僕のことをマークしていたんで(逃げ集団の中で)、息を潜めて何も考えずにひたすら無心で走った結果だよ。」
タデイ・ポガチャル(総合2位):「今日のは小さな勝利だよ。皆が勾配含めきついと言っていたけど、脚が良く回ったから飛ぶように軽やかに走れたよ。去年の教訓で、毎ステージ勝利は狙えないという事を学んだからね。逃げは放任して、自分の勝負に徹したよ。」
ヨナス・ヴィンゲガード(総合1位):「大会前半は僕向きじゃないと言って来たけど、それでも総合首位でいられるのはいい状況だよ。今日はタイム差をつける方が失うよりはよかったけど、それでも総合は守れたからね。」
ツール・ド・フランス第9ステージダイジェスト
ASO 公式ダイジェスト https://youtu.be/c6XyIo-qCmQ
ツール・ド・フランス第9ステージ
1位 マイケル・ウッズ(イスラエル・プレミアテック) 4h19’41”
2位 ピエール・ラトゥール(トータルエナジーズ) +28”
3位 マテイ・モホリッチ(バーレーン・ヴィクトリアス) +35”
4位 マッテオ・ヨルゲンセン(モビスター)
5位 クレメント・ベルセット(AG2Rシトロエン) +55”
6位 ニールソン・パウレス(EFエデュケーション・イージーポスト) +1’23”
7位 アレクセイ・ルチェンコ(アスタナ・カザフスタン) +1’39”
8位 ヨナス・グレガード(UNO-Xプロサイクリング) +1’58”
9位 マシュー・ブルガドー(トータルエナジーズ) +2’16”
10位 ダビ・デ・ラ・クルス(アスタナ・カザフスタン) +2’34”
ツール・ド・フランス総合順位
1位 ヨナス・ヴィンゲガード(ユンボ・ヴィズマ) 38h37’46”
2位 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ) +17”
3位 ジャイ・ヒンドリー(ボーラ・ハンスグロエ) +2’40”
4位 カルロス・ロドリゲス(イネオス・グレナディアス) +4’22”
5位 アダム・イェーツ(UAEチームエミレーツ) +4’39”
6位 サイモン・イェーツ(ジェイコ・アルーラ) +4’44”
7位 トム・ピドコック(イネオス・グレナディアス) +5’26”
8位 ダビ・ガウドゥ(グルーパマFDJ) +6”01”
9位 セップ・クス(ユンボ・ヴィズマ) +6’45”
10位 ロメイン・バルデ(チームDSMフィルメニッヒ) +6’58”
H.Moulinette
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