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©ASO

勝負に情けは必要ない、それが本気の勝負だからだ。今シーズン限りで引退を決めているマーク・カベンディッシュ（アスタナ・カザフスタン）にとっては最後のツール・ド・フランス、伝説のエディ・メルクス越えのステージ35勝目を狙ったが、容赦ない男の爆走の前に、この日の伝説越えの夢は砕け散った。

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すでに今大会のスプリント勝負で2戦2勝を挙げているヤスパー・フィリップセン（アルペシン・ドゥクーニンク）は3度目のスプリントなったこのステージでも圧倒的な速さを見せつけた。そしてその速さをおぜん立てしたのはまたしてもマシューファン・デル・ポエル（アルペシン・ドゥクーニンク）だった。最高のタイミングでトップスピードのままフィリップセンを牽引すると、ファン・デル・ポエルが外れるとともにコース反対側で先に仕掛けたカベンディッシュをぴたりとマーク、そしてそこから一気に加速するとカベンディッシュをあっさりと抜き去り今大会3勝目を飾った。カベンディッシュは惜しくも2位に終わったが、まだその脚力がトップクラスであることを示した。

猛暑に襲われたこのステージ、選手たちはレース前からアイスベストを着るなどして、コンディションの維持に努めた。そんなステージは選手会と主催者による話し合いがスタート前に行われ、危険回避の為に救済措置の範囲をゴール前3㎞からゴール前3.6㎞へと変更される措置が取られた。

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この日の逃げはサイモン・グジリエルミ（アルケア・サムシック）、メイン集団も一人ならと逃げを完全に放任する姿勢を見せ、レースは緩やかなペースで展開する。中間スプリントを超え、その差が縮まると、新たにピエール・ラトゥール（トータルエナジーズ）とナンス・ピータース（AG2Rシトロエン）がメイン集団から飛び出し合流、すると程なくして炎天下の中逃げ続けたグジリエルミが脱落していく。そしてスプリント勝負へ向けこの日は各チームが協調、二人の逃げは残り10㎞を切り吸収されてしまう。

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危険回避の為にユンボ・ヴィズマが先頭を牽引したが、それも危険回避ポイントを超えたら終了、一気にスプリントチームによる覇権争いが始まる。この日のコースは何度となく右へ左へ、そしてロータリーが繰り返すトリッキーな設定、位置取りが大きく展開を左右し続けた。残り2㎞からはアルペシン・ドゥクーニンクが完璧なトレインでそのまま行くかに思われたが、残り1㎞を切り一旦その姿が集団に沈んだかに思われた。だが残り600m、ファン・デル・ポエルが猛然と加速しフィリップセンを集団から引き出すコース左へと展開する。空いた右側では前に出されてしまった形のカベンディッシュが早仕掛けを余儀なくされる。

これを見たフィリップセンはすぐさまカベンディッシュの背後をとると、そのカベンディッシュのスピードをリードアウトに利用して自らが発射、見事に今大会3勝目を力でもぎ取った。2位にはカベンディッシュ、3位にはビニアム・ギルメイ（インターマルシェ・サーカス・ワンティ）が入った。

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ヤスパー・フィリップセン（ステージ1位）：「僕の勝利はチーム抜きにはありえないよ。あの混沌の中でもしっかりとお互いの位置を把握して戦略を立てて仕掛けられる、それがすべてだよ。カベンディッシュは強かったよ。僕も彼が歴史を塗り替える瞬間を見たいと思っている一人だよ。まだまだこの先狙ってくるだろうからね。」

マーク・カベンディッシュ（ステージ2位）：「ギアが11T と12T の間で飛びまくってうまくスプリントできなかったよ。なんかフィリップセンが左から僕の側に進路を変えたことでうちの監督含めていろいろ言っているみたいだけど、彼は邪魔していないし、僕の妨害もしていないよ。ただ負けたのが悔しいだけだよ。」

ビニアム・ギルメイ（ステージ3位）：「ツールに来た意味があることを今日の結果で示せたと思うよ。、でもフィリップセンが寄ってきて、コースバリアにペダルが接触したので肝を冷やしたよ。」

ツール・ド・フランス第7ステージダイジェスト
ASO 公式ダイジェスト　https://youtu.be/fMpFcgyXl8s

ツール・ド・フランス第7ステージ
1位　ヤスパー・フィリップセン（アルペシン・ドゥクーニンク）　　　3h46’28”
2位　マーク・カベンディッシュ（アスタナ・カザフスタン）
3位　ビニアム・ギルメイ（インターマルシェ・サーカス・ワンティ）
4位　ルーカ・モッツァート（アルケア・サムシック）
5位　ディラン・グローネウェーヘン（ジェイコ・アルーラ）
6位　ヨルディ・ミーウス（ボーラ・ハンスグロエ）
7位　フィル・バウハウス（ボーラ・ハンスグロエ）
8位　ブライアン・コカード（トータルエナジーズ）
9位　アレクサンダー・クリストフ（UNO-Xプロサイクリング）
10位　マッズ・ペデルセン（リドル・トレック）

ツール・ド・フランス総合順位
1位　ヨナス・ヴィンゲガード（ユンボ・ヴィズマ）　　29h57’12”
2位　タデイ・ポガチャル（UAEチームエミレーツ）　　　+25”
3位　ジャイ・ヒンドリー（ボーラ・ハンスグロエ）　　　+1’34”
4位　サイモン・イェーツ（ジェイコ・アルーラ）　　+3’14”
5位　カルロス・ロドリゲス（イネオス・グレナディアス）　　　+3’30”
6位　アダム・イェーツ（UAEチームエミレーツ）　　　+3’40”
7位　ダビ・ガウドゥ（グルーパマFDJ）　　　+4’03”
8位　ロメイン・バルデ（チームDSMフィルメニッヒ）　　+4”43”
9位　トム・ピドコック（イネオス・グレナディアス）
10位　セップ・クス（ユンボ・ヴィズマ）　　　+5’28”

H.Moulinette