ツール・ド・フランス2023第4st:ファン・デル・ポエルが連日のスーパーアシスト!お膳立てに答えたフィリップセンが完璧なスプリントでステージ連勝!(ダイジェストあり)
ステージ連勝というのはグランツールでは非常に難しい。しかし最高のアシストと、最高のスプリンターが揃った時、それは現実のものとなる。昨日ステージを制したヤコブ・フィリップセン(アルペシン・ドゥクーニンク)は完璧なアシストからの切れ味鋭い加速で豪快にステージ連勝を成し遂げた。これでポイント賞ジャージも獲得、今年もフィリップセンの勢いは止められそうにない。
レースコースという最高のロードコンディションの中でのスプリントとなった最終局面、昨日勝利を挙げたヤコブ・フィリップセン(アルペシン・ドゥクーニンク)はアシストからはぐれていた。高速で展開する中での”迷子”は即敗北を意味するかに思われた。しかしそこへ現れたのはスーパーアシスト、マシュー・ファン・デル・ポエル(アルペシン・ドゥクーニンク)だった。昨日も完璧なアシストでエースを発射したファン・デル・ポエルは、ギリギリでフィリップセンを見つけると、そのまま肩で進路を切り開きコースのど真ん中を一気に加速していく。圧倒的な速度のアシストはライバルスプリンターたちの速度よりも早く、さらにそこから発射されたヤコブセンは迫りくるカレブ・ユワン(ロット・デスティニー)を振り切ってみせた。3位にはフィル・バウハウス(バーレーン・ヴィクトリアス)が入り、好調なところを見せた。
総合勢はこの日も安泰、しかしユンボ・ヴィズマはスプリンターのワウト・ファン・アールト(ユンボ・ヴィズマ)の姿が見えない中でも積極的な加速でメイン集団を残り3㎞の救済措置圏内まで牽引、さらにヨナス・ヴィンゲガード(ユンボ・ヴィズマ)はそのままゴールを狙うのではという走りを残り1㎞手前まで続けるなど、各選手たちは無駄なタイムロスをしないために最後まで力が抜けないステージとなった。
この日は珍しく、全く逃げ切りアタックがないままに平均時速もなんと37㎞という低速でダラダラとスタートから2時間を過ぎた。しかしロードレースとは、逃げが発生して、そこから展開が動くもの、ベノワ・コスネロイ(Ag2Rシトロエン)とアンソニー・デ・ラプラス(アルケア・サムシック)の二人が飛び出し、ようやくレースは活性化を見せる。山岳賞ジャージを守りたいニールソン・パウレス(EFエデュケーション・イージーポスト)も、この日は逆転されないし、獲得できるポイントが少ないとしてチームが積極的な動きをすることはなかった。
この日のゴールはポール・アルマニャックサーキット、普段は自動車レースが行われるサーキットコースでのスプリント、そこへ向け各チーム後半どんどんとペースを上げていく。皮肉なもので、サーキットに入るまでは落車無く進んだが、サーキットに入ると落車が続出、その最大の犠牲者となったのはこの日の優勝候補の一人ファビオ・ヤコブセン(ソウダル・クイックステップ)だった。クラッシュしたヤコブセンのフレームは粉砕され、3つに折れるほのどの衝撃、ジャージも破れ痛々しい姿でゆっくりとゴールを目指すこととなった。
そんなゴール勝負は思ったよりも路面からのグリップが得られない展開に、各選手コーナーで大きく膨らみながらクリアしていく。そのため各チームの隊列は崩壊、混沌とした状態で最後の直線700mを迎えた。この段階でフィリップセンは単独で後方だったが、ここからファン・デル・ポエルが驚異のアシストを見せる。まずはフィリップセンの前に入ると、進路がない状況からインターマルシェ・サーカス・ワンティのエーススプリンターのビニアム・ギルメイを肩で押しながら進路を確保、ライバルたちがコース右端でごちゃつく中で、コースど真ん中を一気に駆け上がった。
そして満を持してフィリップセンを発射、ユワンとは僅差になったものの、お膳立てを完ぺきに活かしきってステージ連勝を成し遂げ、グリーンのポイント賞ジャージ獲得に花を添えた。
ヤスパー・フィリップセン(ステージ1位):「僅差だったんで昨日よりすぐに勝利が確定してくれてほっとしたよ(笑)。今日はとにかく楽なステージだった。皆あしたからのピレネー山脈に脚を残したいんじゃないかな。でもサーキットに入ってからは一気にペースが上がって、落車の音が何度も響いたんで緊迫したね。アシストを見失ってしまったけど、最後はファン・デル・ポエルが来てくれて勝利に繋がったよ。でも脚がつりそうだったんで必死だったよ。」
アダム・イェーツ(総合1位):「今日は楽なステージだったね。でもそれはすべて明日からの為だよ。まああしたぼくがこのジャージ(マイヨ・ジョーヌ)をキープするのは難しいかもしれないけど、幸いなことにうちには絶対的エースのタデイ・ポガチャルがいるからね。」
ツール・ド・フランス第4ステージダイジェスト
ASO 公式ダイジェスト https://youtu.be/UzzHFNLH08M
ツール・ド・フランス第4ステージ
1位 ヤスパー・フィリップセン(アルペシン・ドゥクーニンク) 4h25’28”
2位 カレブ・ユワン(ロット・デスティニー)
3位 フィル・バウハウス(バーレーン・ヴィクトリアス)
4位 ブライアン・コカード(トータルエナジーズ)
5位 マーク・カベンディッシュ(アスタナ・カザフスタン)
6位 ダニー・ファン・ポッペル(ボーラ・ハンスグロエ)
7位 アレクサンダー・クリストフ(UNO-Xプロサイクリング)
8位 ルーカ・メズゲック(ジェイコ・アルーラ)
9位 ワウト・ファン・アールト(ユンボ・ヴィズマ)
10位 マッズ・ペデルセン(リドル・トレック)
ツール・ド・フランス総合順位
1位 アダム・イェーツ(UAEチームエミレーツ) 18h18’01”
2位 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ) +06”
3位 サイモン・イェーツ(ジェイコ・アルーラ)
4位 ヴィクトル・ラフェイ(コフィディス) +12”
5位 ワウト・ファン・アールト(ユンボ・ヴィズマ) +16”
6位 ヨナス・ヴィンゲガード(ユンボ・ヴィズマ) +17”
7位 ジャイ・ヒンドリー(ボーラ・ハンスグロエ) +22”
8位 マイケル・ウッズ(イスラエル・プレミアテック)
9位 マティアス・スケルモース(リドル・トレック)
10位 カルロス・ロドリゲス(イネオス・グレナディアス)
H.Moulinette